薬剤師修行ファイルNo.080309:漢方セミナー

2008年2月研修記録
★品質管理に対する取り組みについて【株式会社ツムラ 医薬営業部より】 
・ツムラは原料生薬の80%を中国から輸入(15%は国内、5%は韓国)しており、最近、毒入りギョウザなど中国製品の安全性が問題になっており、ツムラにも漢方は問題ないかとの問い合わせが多くなっている。
・ツムラでは自社基準を設定し、微生物、重金属、ヒ素、害虫、残留農薬等に関して厳密・厳格な検査を実施し、製品の品質と安全性を保証している。中国での原料生薬の調達ルート、検査体制を含めて安全な製品供給へ向けて取り組んでいる。

★わかりやすい漢方医学概論
・現代医学的における漢方診療の役割として、①一般治療の効果を助ける、②一般治療が合わない(副作用などで)症例に漢方薬を使用する、③漢方治療しか、現在も治療法がない疾患に使用することが言われている。
・皮膚科疾患で漢方を使用する場合は、①ステロイドの効果を高める、②ステロイドや抗アレルギー剤では十分な治療ができない症例、③ステロイド治療を希望しない患者などがある。そこで、アトピー性皮膚炎でステロイド中止によるリバウンドで症状が悪化したが、【白虎加人参湯】7日服用でほぼ軽快した。アトピー性皮膚炎には舌診により、【消風散】や【黄連解毒湯】を使用する。また、小児アトピー性皮膚炎には【越婢加朮湯】や【黄耆建中湯】を使用して効果が確認されている。
・消化器外科で使われることが多い【大建中湯】は、消化管運動改善作用、血流改善作用などのほか抗炎症作用も期待されている。また、術後管理を良好にコントロールできるため、イレウスでは第一選択薬になっている。
・PPIでは治療しきれない逆流性食道炎に【六君子湯】を併用すると、1週間ほどで、劇的に症状は改善し、自覚症状は消失した。
・気管支喘息患者でテオフィリンを服用すると、動悸の発現により服薬困難となった。そこで、気虚、水毒、柴胡剤(胸脇苦満がある)を満たす方剤として、【柴朴湯】を服用すると、1ヵ月服用で咳が消失した。
・漢方診療以外有効な治療があまりない疾患として、冷え症と全身倦怠感がある。冷え症には【当帰四逆加呉茱茰生姜湯】や【当帰芍薬散】使用し、全身倦怠感には【補中益気湯】を使用している。

★生活習慣病と漢方
・メタボリックシンドロームの診断基準に内臓脂肪があるが、肥満が原因である。また、内臓肥満を基盤としたインスリン抵抗性が存在することは明らかで、肥満を中心とした危険因子の集積への包括的対応が重要である。
・肥満症に保険適用をもつ西洋薬は、【サノレックス】のみであるが、適用(BMI35%以上)、投与期間(3ヵ月しか使用できない)及び副作用(精神が不安定な患者は、自殺の可能性がある)など問題が多い。また、メタボリックシンドロームの包括的な新薬(西洋薬)が各製薬会社で開発されているが、現時点では市販されていない。
・メタボリックシンドロームの代表的な漢方処方は、【防風通聖散】及び【防己黄耆湯】である。これらは「肥満症」に対して保健が適用されている。それ以外には【大柴胡湯】(堅太り:実証、肩こり、胸脇苦満、便秘)、【桃核承気湯】(水太り:血行不良、気逆<強いのぼせ、精神不安定>、月経異常)、【桂枝茯苓丸】(水太り:血行不良、冷えのぼせ、肩こり、月経異常)を使用している。
・【防風通聖散】は、実証のメタボリックシンドロームではもっとも代表的な方剤である。食毒・水毒を解毒するとされ、体力が充実している体質で、便秘気味、いわゆる肥満重役型の太鼓腹のタイプに適している。作用機序が解明されつつあり、麻黄に含有されているエフェドリンが交感神経終末からのノルアドレナリン放出を増強して、褐色脂肪組織のβ2、β3、α2アドレナリン受容体を活性化する。また、甘草・荊芥・連翹にはカフェイン様作用があり、ホスホジエステラーゼ阻害作用でcAMPの分解を抑制し、ノルアドレナリンの効果を持続させる。臨床的にも、肥満者で体重減少及び基礎代謝の有意な増加、さらに内臓脂肪減少、インスリン抵抗性改善作用がある。ただし、投与に際して、大黄、芒硝といった瀉下作用のある生薬が含まれているため、便秘傾向のない患者には注意する必要がある。
・【防己黄耆湯】は、虚証のメタボリックシンドロームの代表的方剤である。色白でいわいる水太りのブヨブヨした肥満で、疲れやすく、汗が多く、膝関節の腫脹する患者、変形性膝関節症で運動不足の患者などが目標とされている。臨床的には6ヵ月服用すれば、内臓脂肪に有意な改善が認められている。作用機序は明らかではないが、運動療法が困難(眼が悪い、膝が痛い等)な内臓脂肪型肥満症でも有用性が期待できる。
・甘草によって引き起こされる高血圧、浮腫、低カリウム血症は甘草誘発性偽アルドステロン症と呼ばれている。厚労省では1日6~7gまでとしているが、量は関係がなく、体質(遺伝)が原因である。血圧上昇と血液検査でカリウム低下がないか確認しておく必要がある。

薬剤師修行ファイルNo.080308:呼吸フォーラム

2008年3月研修記録
★喘息治療配合剤 アドエアディスカスについて【グラクソ・スミスクライン㈱より】
・アドエアは、アレルギー疾患診断・治療ガイドライン2007において、軽症持続型から推奨され、早期導入の有用性が認められている。
・喘息の重症度は4段階(軽症間欠型、軽症持続型、中等症持続型、重症持続型)に分類されているが、アドエアのステップ別用量として、軽症持続型はアドエア100、中等症持続型はアドエア250、重症持続型はアドエア500を使用する。

★気管支喘息治療 ~最新の話題~
・日本の喘息死は、年々減少している。しかし、人口10万人における喘息死は、フィンランド0.3人、オーストラリア1.1人、アメリカ1.3人であるが、日本は2.2人であり、欧米と比較して、日本の喘息死は高い水準にあるのが現状である。
・日本の喘息死が多い理由は、吸入ステロイド薬の普及率が低いためである。吸入ステロイド薬普及のために解決すべき課題として、①吸入ステロイド薬の効果を早期に実感できない、②吸入ステロイド薬に併用薬が多いと治療が煩雑になる、③吸入ステロイド薬に対する安全性への誤解などがある。
・2000年と2005年に全国喘息患者電話調査において、吸入ステロイド薬使用率が増加し、日中/夜間の喘息症状、喘息による入院、救急治療室受診あるいは予定外受診、欠勤・欠席の経験率も減少したことが示されている。ただし、喘息コントロールは十分でなく、肺機能検査を受けたことがない患者が57%にのぼり、ピークフローメーターの使用頻度もきわめて低く、多くの喘息患者が「自分の喘息はコントロールされている」と過大評価している実態がある。
・アドエアは世界で最も使用されている喘息治療薬であり、その有効性を示すエビデンスも豊富であるが、日本では長時間作用性β2刺激剤連用のリスクに対する懸念も残っている。しかし、国内外においてセレベントの上市後は喘息死が減少し続けていることから、吸入ステロイド薬により、長時間作用性β2刺激剤単独使用のリスクは消失すると考えられる。セレベントは単独使用でなく、必ず吸入ステロイド薬と併用することが重要である。
・ アドエア(吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激剤の配合剤)は服薬アドヒアランスやQOLを改善し、1剤で喘息コントロールの達成を可能にすることにより治療に吸入ステロイド薬の普及や喘息死の減少に貢献し、日本の喘息治療に改革をもたらすと思われる。
<Q1>吸入ステロイド薬の服薬アドヒアランスを向上させる方法はどうすれば良いですか?
<A1>時間をかけて、吸入ステロイド薬の有効性と安全性を説明(特に、吸入ステロイド薬を使用しないと喘息死になることを説明することが重要)することである。吸入方法については医師とコメデカルスタッフである薬剤師及び看護師の協力が必要である。
<Q2>アレルギー疾患診断・治療ガイドライン2007において、吸入ステロイド薬で効果が不十分な場合、併用薬として、テオフィ徐放製剤、ロイコトリエン受容体拮抗薬、長時間作用性β2刺激剤のいずれか1剤と記載されているが、最も有効性が高い薬剤は?
<A2>長時間作用性β2刺激剤である。
<Q3>日本の喘息死を減少させる方法は?
<A3>喘息死は重症難治症、不規則受診(喘息が良くなったと勘違いして受診しない)及び短時間型β2刺激剤信者(短時間型β2刺激剤を服用すれば喘息が良くなっていると勘違いする)が原因である。重症難治症を除いて、改善策はあると思われる。
<Q4>吸入ステロイドにはドライパウダー型とスプレー(エアゾル)型があるが、服薬アドヒアランスはどちらが良いですか?
<A4>医師により意見が異なる。最近あまり使用されなくなっているフルタイドのロタディスクタイプは内服と同じ感覚(1ブリスターをつぶす)で吸入できるため、服薬アドヒアランスは良いように思われる。

薬剤師修行ファイルNo.080221:高血圧フォーラム

2008年2月研修記録
★プレミネント錠の薬理作用【万有製薬㈱学術部より】
・食塩とレニン・アンジオテンシン(RA)系は密接な関係がある。食塩摂取の少ない太古の時代においては、RA系は食塩を腎臓から失われないようにし、かつ、血圧を維持していた。現在は食塩の過剰摂取時代であり、RA系を抑制しても降圧が不十分であるケースがある。
・食塩摂取量とRA系は天秤の両端にある重りのような関係にあり、食塩摂取量が低下すればRA系が亢進し、逆に、食塩摂取量が増大すればRA系が抑制されて、血圧には大きな変化はみられない。したがって、減塩に伴って活性化されるRA系の作用を抑制すれば、大きな降圧が得られる。
・プレミネント錠はARB/利尿薬の合剤であり、RA系を抑制すると腎よりナトリウム排泄を促進する。利尿薬は体液量を減少させて降圧効果を示すが、一方ではRA系を活性化することにより、その降圧効果及びナトリウム排泄効果は弱減する。したがって、ARB/利尿薬配合剤はAⅡの血管収縮作用の阻止による血管拡張と利尿効果がともに増強され、両者の降圧効果が相乗的に発現する。一方、強力な降圧作用と利尿作用があるため脱水などに対する注意も必要である。
・プレミネントの相乗的薬理作用として、ニューロタンのカリウム上昇の副作用をダイクロトライドでカリウムを低下させるため、相殺される。また、ダイクロライトで尿酸を上昇させるが、ニューロタンで尿酸を下げる作用があるため相殺される。血圧は相乗効果があり、理想的な組み合わせである。

★認知症と血管リスク
・日本における認知症患者は約190万人になっており、高齢化が進む2050年には400万人以上になると予想されている。最近、脳血管性認知症よりもアルツハイマー型認知症が多くなっている。
・アルツハイマー病は加齢に伴って発症し、特に65歳以降その発症率は急増(性差では女性が多い)しており、社会的問題になっている。
・アルツハイマー病と高血圧は相関関係がある。高血圧患者において、未治療群と治療群(降圧剤を服用)と比較して、未治療群の方がアルツハイマーの発症が有意に高くなることを確認している。血管障害が関与していると考えられる。
・アルツハイマーの薬物治療として、現在使用できるのはアリセプトだけであるが、開発中の薬剤が3品目あり、その中の1品目は臨床試験が終了しており、申請中である。アリセプト及び開発中の3品目は根治治療ではなく、アルツハイマーの進行を遅らせる作用である。根治治療が期待されるのがワクチン療法である。
・アルツハイマー病は脳に蓄積するアミロイドβ蛋白が凝集して形成されたものである。ワクチン療法はアミロイドβ蛋白を抑制する方法であり、開発中である。

★利尿薬
・利尿薬は食塩感受性の高い高血圧患者(食塩を多く摂取している)には効果があり、1950年代より広く使用されている。脳卒中の発生や虚血性心疾患の発症を低下させる。
・利尿薬は尿を出す薬剤であり、その効果は、吸収、体内動態、各種疾患における腎血行動態や尿細管機能の変化、神経体液性因子の影響を大きく受ける。一方、利尿薬の種類により尿細管機能や腎血行動態に及ぼす影響に違いが見られる。糸球体濾過量(GFR)と血清クレアチン値を考慮して、利尿剤を使い分ける(ループ、サイアザイド、カリウム保持)必要がある。
・高血圧になると腎障害及び心血管障害の原因になるため、蛋白尿と微量アルブミンの測定は必須項目である。腎臓を守ることが生命を守ることである。
・家庭血圧における収縮期血圧が140mmHg以上は許されない血圧であり、早期に治療することが重要である。

薬剤師修行ファイルNo.080216:米国医療保険制度と薬剤師

2008年2月研修記録
★米国の医療保険の特徴
公的医療保険制度があるのは、連邦政府が運営する高齢者向け医療保険(メディケア:約4,239万人が加入)及び州政府が運営する低所得者向け医療保険(メディケイド:約5,630万人が加入)のみで、民間保険(約1億7,487万人)が主流であり、無保険者が多い(約4,660万人)。従って、国民の健康意識が高い。
★メディケア(高齢者医療保険制度)
・オリジナルメディケアプラン(連邦政府が保険者→最大の加入者を抱えている。)
 パートA(入院サービスなどを保障する強制加入):病院保険又は入院保険(65歳以上の高齢者は自動的に被保険者となる。腎臓移植、末期腎臓病患者は、年齢に無関係。) ・入院医療サービス ・高度看護施設サービス ・在宅医療サービス ・ホスピスケア ・血液Blood
 パートB:補足的医療保険(任意の保険)、パートAに登録されており、一定の保険料を払えば被保険者となる(月額:$93.50)。 ・医師等による医療サービス ・病院外来サービス ・臨床検査サービス ・在宅医療サービス ・予防医療サービス
・メディケア・アドバンテージ・プラン(メディケアから毎月被保険者1人当たり一定金額を受け取り、加入者にサービスを提供)
 メディケアHMO・プラン
  受診できるのは契約している医師・病院に限られる。
  加入時にPCPに登録。専門医の受診には、紹介状が必要となる。
・メディケアPPO・プラン
  プランのネットワークを利用した場合は、償還率が低く、自己負担が増える。
・メディケア・民間出来高払い・プラン
 民間保険会社の提供する出来高払いプラン。パートB保険料に加え、サービスごとに保険会社の設定する自己負担額を支払う。このプランを受け入れる医師・病院ならどこでも受診可能。
・メディケア・スペシャルニーズ・プラン
 特定の疾病や状態にある人々を対象。
・メディケア・ドラッグ・プラン(追加料金を支払うことにより、薬剤給付を受け取る。)
 オリジナル・メディケア・プランには、外来医薬品に対する公的補助・給付は存在しなかったが、2006年から外来薬剤給付が創設された。標準的な保険プランは、月額35ドル。低所得者に対しては、給付、保険料ともに負担額の措置が講じられている。
★メディケイド(高齢者医療保険制度)
 連邦政府ガイドラインに基づいて各州が独自に運営。受給資格、給付タイプ、範囲、給付額は、州によって異なる。基本的に低所得者の子供がいる世帯や障害者に対する医療保障。高齢者や障害者への介護、低所得のメディケア加入者への補助。
★民間医療保険の現状
 企業が福利厚生の一部として提供するが、従業員15名以下の企業は、従業員に対して医療保険を提供する義務なし。保険料負担を軽減するため、従業員に費用を移転することになった。 → マネジドケア:医療内容に医師以外の第三者(保険者)が介入し、医療サービスについて何らかの管理・制限をする。財政リスクを医療提供者と共有する。コスト抑制のインセンティブを高め、効率的な医療を提供する仕組み
★民間保険HMO(Health Maintenance Organization)
 プライマリ・ケア医および 専門医・病院は、HMOネットワークに所属する。加入者は、ネットワークに加入した医師および医療機関のみ利用できる。専門医の受診および病院への入院は、プライマリ・ケア医を通じて行われる。予防給付の実施。
★民間保険POS(Point of Service Plan)
 POSネットワークに所属しているプライマリ・ケア医および専門医・病院はHMOと同様に低額な負担で利用できる。ネットワーク外の医師や医療機関の利用も可能であるが、自己負担が増える。ネットワーク内の医師および病院ではHMOと同様に予防給付を実施。
★民間保険PPO(Preferred Provider Organization)
 HMOやPOSのようなアクセス制限なし。PPOのネットワーク以外の医療機関を利用した場合は、自己負担が増える。ネットワーク内医師および病院で予防給付が受けられることが多い。

米国の薬剤師は、社会的信頼性が非常に高い職種として国民に認識されている。
★薬剤師になるには
 2003年以降は、薬学博士以外の課程では認定しない。薬大で少なくとも6年間(4年間+実習1000~2000時間)の教育が必要。州政府により認可され、薬学部の専門課程を修了した証明書を有し、州政府の薬剤師資格試験に合格者したもの。
★薬剤師の需要と職場(米国薬剤師の平均年収は、1,100万円以上。)
 60% 地域薬局、29% 病院薬局または施設(24% 病院、4% 長期療養所、2.4% 在宅看護)、1% 製薬会社/卸企業(推定)、1% 教師/行政機関、4% その他 <薬局の形態>調剤薬局(独立系個人薬局)ドラックストア(チェーン薬局)、メールオーダー薬局、インターネット薬局、調合薬局、非公開薬局
★調剤薬局における各スタッフの役割
 事務員(Pharmacy Aid):電話対応、レジ、接客、商品陳列など薬剤業務以外の作業
 ファーマシーテクニシャン(Pharmacy Technician):事務業務および調剤業務(要資格)
 薬剤師(Pharmacist):監査、服薬指導、保険請求、ジェネリックへの切替、電話処方対応
★薬局薬剤師の業務
 処方せん:リフィル(一度医師が出した処方せんが、くり返して使える制度)、電話処方、インフルエンザの予防接種、血糖値のスクリーニング(血糖値測定)、骨粗鬆症のスクリーニング、禁煙に対する患者支援、緊急避妊薬の処方、患者教育など

薬剤師修行ファイルNo.080220:冷え症

2008年2月研修記録
冷え症に対する漢方療法【ツムラ営業所より】
・漢方治療に必要な「気・血・水」理論で考えると、冷え症のタイプには新陳代謝低下型(気)、血流障害型(血)及び水分貯留型(水)に3分類できる。
・新陳代謝低下型はエネルギー代謝が低下し、熱の産生能が落ちているので疲れやすい。漢方治療として、胃腸機能を整えるため、真武湯、人参湯、大建中湯を使用する。また、補剤として、十全大補湯、人参養栄湯を使用し、補腎剤として、八味地黄丸、牛車腎気丸を用いる。
・血流障害型は血の循環の滞りが原因(漢方では瘀血という)であり、駆瘀血剤といわれる漢方を使用する。代表的な漢方には当帰四逆加呉茱萸生姜湯、桃核承気湯、桂枝茯苓丸、温経湯、加味逍遙散、当帰芍薬散がある。
・水分貯留型は水分が体内に貯留(水毒)でむくみやすいため、利水効果のある漢方として、苓姜朮甘湯、防己黄耆湯、半夏白朮天麻湯、真武湯、当帰芍薬散を使用する。

<Q1>冷え症の疫学調査はありますか。日本では冷え症患者は何万人いますか。また、女性が多いと言われていますが、男女比は、また、女性では何歳代が多いですか?
<A1>疫学調査はあるが、病態が人それぞれの感じ方に任せた形になっており、具体的な数字は不明であり、男女比も不明である。相対的には若年女性の70%は冷えがある。働く女性が増加し、ストレスも影響しており、冷え症は増加している。女性では冷えを自覚する割合は更年期障害が増加する55歳から急速に増える。
<Q2>「冷え性」が一般放送用語になっているが、漢方では「冷え症」となっているが、冷え症は疾患名ですか?
<A2>現代医学的に考えると、「冷え性」は疾患名ではありません。漢方医学的において、体が冷えやすい体質のことを称して、「冷え性」と言う。その中の症状として、「冷え症」がある。
<Q3>漢方は生薬の組み合わせですが、生薬は「なまもの」と思われますが、使用期限において、錠剤は3年間保証が多いが、ツムラ漢方は5年間保証できる根拠は?
<A3>自主設定に基づく安定性試験の結果、ツムラ大建中湯は「3年間保証」であるが、その他のツムラ漢方はすべて5年間安定であることを確認しており、「5年間保証」にしている。
<Q4>冷え症で使用されるツムラのブシ末は、漢方と併用する必要がある(単独使用不可)が、化研生薬のアコニンサン錠(ブシの錠剤)は単独使用が可能であり、その違いは?
<A4>アコニン酸錠は製剤として効能・効果が承認されているため、単独使用可能であるが、ツムラのブシ末は調剤用で承認されているため、単独使用はできない。今後も単独使用の承認は考えていない。<Q5>冷え症の特効薬と言われるツムラ当帰四逆加呉茱萸生姜湯は苦味があり、服用しにくいのはどの生薬ですか?また、他にも服用しにくい漢方がありますか?
<A5>当帰四逆加呉茱萸生姜湯に含まれている「呉茱萸」や「当帰」などが苦味のある生薬です。他にも飲みにくい漢方として、「荊芥連翹湯」、「当帰芍薬散」、「呉茱萸湯」、「三黄瀉心湯」などがある。一般的に「黄連」、「黄芩」、「当帰」、「呉茱萸」などが飲みにくい生薬です。飲みにくい漢方にはオブラートを使用する方法、砂糖又はハチミツをお湯に溶かして服用する方法及び漢方薬が飲みすい漢方ゼリー(龍角散)が最近市販されており、漢方ゼリーと併用して服用すると飲みやすくなる。いずれの方法でも漢方の効果が弱くなることはほとんどない。
<Q6>冷え症を改善する方法は
<A6>偏食をしないで温かい食べ物を摂取する。「なまもの」よりも「加熱したもの」を摂取する。また、半身浴も効果がある。

薬剤師修行ファイルNo.080216:呼吸器疾患臨床研究会

2008年2月研修記録
★クラリシッドの最近の話題【アボットジャパン㈱学術部より】
・急性の咳嗽の原因は、多くの場合呼吸器感染症であり、急性呼吸器感染症患者30例にクラリシッド200mg1日2回を7日及び14日間投与した結果、咳嗽の消失80%、客痰の低下76%と高い臨床効果が認められている。
・成人や高齢者の百日咳感染者が、ワクチン未接種者の感染源となることが注目されている。百日咳はグラム陰性桿菌である百日咳菌の感染であり、鼻咽頭や気道からの分泌物の飛沫感染及び接触感染である。百日咳菌に対してクラリシッドは高い除菌効果がある。
・クラリシッドが高い臨床効果を示す理由として、マクロライド系抗生物質の中で強い抗菌力があり、呼吸器系組織(肺組織)への移行が優れているためである。また、酸にも安定であり、胃酸によって分解されない。

★成人慢性咳嗽と百日咳
・慢性咳嗽とは一般的には8週間以上続く咳である。咳はその持続期間によって、急性、亜急性、慢性と分類され、3週間までが急性、8週間以上が慢性、その間が亜急性になる。咳には痰を伴った湿性咳漱と伴わない乾性咳漱があるが、問題になるのは乾性咳漱である。
・慢性咳嗽の三大原因として、後鼻漏(鼻水が口腔内に流れ出てその刺激で咳が出る)、咳喘息(普通の喘息のように喘鳴はないが、鎮咳剤は無効で、喘息治療剤が有効な咳)及び胃食道逆流による咳がある。その他にはACE阻害剤服用による咳がある。
・臨床的によく遭遇するのは感染後に起こってくる咳嗽である。原因として最も多いのは、かぜ症候群であるウィルスによるものであるが、その他にもマイコプラズマ、肺炎クラミジア感染による咳が報告され、百日咳菌感染による咳もここに分類される。
・百日咳というと今まででは小児の病気として成人ではあまり注目されていなかったが、最近、成人での感染報告がみられ、慢性咳嗽の一つの原因として注目されている。
・百日咳感染症者は他の慢性咳嗽に比して年齢が若く、また末梢血の白血球数が多く、とくに好中球が有意に多い。成人における百日咳の臨床症状は小児での典型例と異なり、激しい咳、時には嘔吐や眼瞼結膜の出血などを伴うような症状を欠くので診断が困難である。そのため、百日咳と診断されず、乳幼児への感染源になることが問題である。
・百日咳の薬物療法として、第一選択が経口マクロライド薬で罹患して1~2週間以内に服用すれば症状が軽減されるが、服用が遅くなると効果は弱くなる。ワクチンが無い時代では罹患率10万人あたり約200人と高かったが、ワクチン導入で10万人あたり約2人と激減した。しかし、ワクチンの効果は約10年であり、抗体価が下がってくる思春期や成人での発症が問題になってきている。ワクチンの再接種も必要になってくる。
・百日咳の診断方法として、抗体価測定(百日咳毒素である東浜株、山口株が約4倍上昇すれば百日咳と診断可能)は正確で簡便であるが、測定結果に時間がかかるため、今後はより簡単で、早期に診断できる方法が必要になる。家族の感染があるため、受診した患者以外にも家族の状況を把握する必要がある。
・抗生物質の適正使用(耐性化の防止)のため、セフェム系薬剤の使用量は、10年前と比較して約40%まで減少している。

薬剤師修行ファイルNo.0802015:乳幼児喘息

2008年2月研修記録
★キプレスの最新情報【キョーリン製薬㈱サポートセンターより】
・1歳以上6歳未満の小児喘息治療剤として、昨年10月からキプレス細粒4mgを販売している。体重、年齢及び症状等による用量調節をせず、全量(1包;0.5g入り)を1日1回就寝前に経口投与する。同種同効品であるオノンドライシロップは1日2回の服用になっており、キプレス細粒の方がコンプライアンスの向上が期待される。
・キプレス細粒の臨床効果は1歳から6歳未満の小児気管支喘息患者における中等度以上の有効率は81.7%であった。また、1歳から5歳の喘息患者にキプレス細粒4mgで臨床試験を実施した結果、年齢、体重及び重症度による差は認められなかった。
・キプレス細粒は水なしでそのままで服用できる。味はなく、口の中ですぐ溶ける。なお、キプレス細粒は光に不安定であり、開封後(15分以内)に服用する必要がある。また、再分包はできない。
・キプレスは今年1月にアレルギー性鼻炎の効能追加が承認されている。そこで、アレルギー性鼻炎用の製剤として、キプレス錠5mgが新発売(現時点で薬価基準未収載)されることになっている。
・キプレスチァブル錠5は、キプレス錠5mgと生物学的に同等ではなく、キプレスチァブル5はキプレス錠5mgと比較してバイオアベイラビリィが高いため、それぞれ相互には代用できない。
・キプレス錠5mgは新医薬品になるため、14日以内の処方になる。
・キプレス錠5mgが販売されると、キプレスは4製剤になり、小児用製剤にはキプレス細粒4mg(1歳以上~6歳未満)、キプレスチァブル錠5(6歳以上~15歳未満)があり、効能・効果は気管支喘息である。また、成人用製剤にはキプレス錠10、キプレス錠5mgの2製剤があり、キプレス錠10の効能効果は気管支喘息及びアレルギー性鼻炎であるが、キプレス錠5mgの効能・効果はアレルギー鼻炎のみである。

★乳幼児喘息アップデート: ロイコトリエン拮抗薬の役割を考える
・吸入ステロイドの普及により、喘息死は減少しているが、4歳以下の喘息患者の入院は増加しており、治療が不十分である。
・乳幼児の喘息患者の特徴として、好酸球の増加はあまりなく、好中球の増加がある。吸入ステロイドは好酸球の増加には効果があるが、好中球の増加には効果がない。
・ロイコトリエン拮抗薬(日本ではオノン、アコレート、シングレア、キプレスの4製品が市販されている)は、好酸球及び好中球の増加のどちらにも効果がある。薬理作用は気管支拡張作用だけでなく、抗炎症作用がある。最近、気道壁の再構築(リモデリング)を抑制する効果も見出されている。
・発作時の対応として、アミノフィリンの点滴が使用されているが、頭痛などの副作用がある。治験中であるが、ロイコトリエン拮抗薬の点滴は効果があり、副作用がほとんどないため、承認されればロイコトリエン拮抗薬が点滴されることになる。
・ロイコトリエン拮抗薬は鼻粘膜の腫脹を抑制する働きがあり、鼻腔抵抗の上昇を抑え、鼻づまりを改善する。また、鼻汁分泌を抑制することにより、くしゃみ、鼻汁にも効果がある。
・ロイコトリエン拮抗薬は従来から花粉症にも使用されてきたが、今年1月にシングレアとキプレスがアレルギー鼻炎の効能追加を取得されたため、使いやすくなる。

薬剤師修行ファイルNo.080202:感染症

2008年2月研修記録
★ザイボックスの製品紹介【ファイザー㈱ 学術部より】
・ザイボックスは、2001年4月に国内初めてのバイコマイシン耐性腸球菌感染治療薬として承認され、その後、2006年6月にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の適用が追加された。
・ザイボックスには注射剤と錠剤があり、錠剤(国内初の抗MRSA薬)の生物学的利用率がほぼ100%であるため、静脈内投与から同量で経口投与に切り替えが可能である。なお、抗MRSA薬は硫酸アルベカシン(ハベカシン)、塩酸バンコマイシン及びテイコプラニン(タゴシット)はすべて注射剤である。
・ザイボックスは既存の抗MRSA薬と異なり、腎障害患者、肝障害患者、高齢者にも使いやすい。
・ザイボックスとバンコマイシンとの比較試験において、院内肺炎を対象とした臨床試験ではザイボックス投与群の方が有意に高い生存率を示した。この理由として、バンコマイシンの蛋白結合率が高く(80%以上)、また分子量が大きく組織移行性が劣るのに対し、ザイボックスは蛋白結合率が31%と低く、さらに分子量もバンコマイシンの1485.1に比して、337.35と遥かに小さく、組織移行性が高いことにより、十分な組織内濃度が確保できるためと考えられる。

★日本の院内感染症診療の問題点とその克服のための処方箋★
・院内感染は医師だけでは防ぐことができない。コメデカルである薬剤師、看護師、検査技師及び事務員等の協力が必要である。過去の院内感染を調査した結果、不注意な事例(手洗い、消毒、カビ対策など)もあり、約50%は防ぐことができた。
・日本の院内感染において、1970年代は緑膿菌が主流であったが、1980年代になり、MRSAが院内感染の主流になっている。MRSAは医療従事者の手指や医療器具を介して院内感染する場合が多い。
・院内感染した場合、抗MRSA薬を使用することになり、病院の経営が苦しくなる。その理由として、耐性化を防ぐために、厚労省は抗MRSA薬や第4世代セファロスポリンについて、使用しない又は使用量を減少すれば、病院の報酬(利益)が良くなる制度がある。

PK/PD理論に基づく感染症診療のあり方
・抗菌薬の効果的な投与量や投与法の決定にあたっては、抗菌薬の吸収、分布、代謝、排泄を示す薬物動態学(pharmacokinetics;PK)的指標と薬物濃度変化と抗菌作用の関係を示す薬力学(pharmacodynamics;PD)的指標をふまえたPK/PDパラメータが重要である。
・市販されている抗菌薬(バナン、クラリシッド、クラビットなど)は添付文書での用量では効果が不十分であり、用量を増やす必要がある。この理由として、軽症の市中肺炎を対象とした臨床試験で用量設定したためであり、重症の肺炎患者の用量設定が必要である。なお、ジスロマック及びアベロックスは適正な用量になっている。
・製薬会社は用量が少ない事実は確認しているが、用量を変更するには莫大な資金が必要になるため、用量変更の臨床試験が実施されていない。今後は海外データの利用や学会(医師)主導で用量を変更する必要がある。
・耐性化を防ぐには抗菌薬を使用しないことも重要であるが、適正な用量(低用量で長期使用しない)で短期間使用することが必要である。
・イタリアのミラノ大学で抗菌薬治療法にPK/PD理論を取り入れた結果、入院期間は16日から11日に短縮し、死亡率も10.9%から4.9%に減少した。

薬剤師修行ファイルNo.080124:スピリーバ

2008年1月研修記録
スピリーバの製品紹介【日本ベーリンガーインゲルハイム㈱より】
・スピリーバは、2004年12月に日本で販売を開始した慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療剤である。COPD患者の息切れなど臨床症状を改善し、健康関連QOLを向上させる。また、COPD患者の肺機能を上昇させ、1年間投与においても減弱しない。海外では75カ国以上で発売されている。
・スピリーバは1日1回投与を可能にした初めての長時間作用型吸入気管支拡張剤である。

<Q1>吸入はエロゾルタイプとドライパウダータイプがあるが、ドライパウダータイプにした理由は?
<A1>COPDの治療には選択性の高い抗コリン剤を呼吸器の終末部に直接投与する方法が有効である。そのためには2~3μm(ミクロン)以下にする必要があったが、エアゾルタイプでは、開発当初は5~10μm程度であり、COPDの治療要件を満足できなかった。先に開発に成功したのがドライパウダータイプである。エアゾルタイプも開発の目処がつき、臨床試験中である。
<Q2>25℃を超えるところに保存しないことになっている理由として、40℃、75%RH、6箇月保存の加速試験において、不純物がかなり増加するためとなっているが、具体的な数字は?
<A2>弊社の規格では、不純物の含量は7%以下としているが、40℃、75%RH、6箇月保存で不純物の生成量が7%をわずかに超えた。このことから、夏場において、スリピーバは冷蔵庫保存が望ましい。
<Q3>第Ⅲ相臨床試験の用量は、36μgで実施しているが、製品は18μgにした根拠は?
<A3>第Ⅲ相臨床試験において、副作用の発現率は用量に依存して増加したが、効果は18μgと36μgの双方で有意差はなかった。このことから、用量は18μgに設定した。(日本の開発において、第Ⅲ相臨床試験の用量と異なる用量で市販されることはほとんどない。第Ⅱ相臨床試験での用量設定試験が不十分なのか、導入品のためなのか、最近、厚労省とのヒアリングで第Ⅲ相臨床試験の用量よりも低用量で市販されている製品が多いのも現状である。)
<Q4>気管支喘息に効果はありますか?
<A4>抗コリン剤は効果発現に時間がかかり、気管支喘息には不向きとされている。気管支喘息に対する効果は充分に試験していないため、エビデンスはない。
<Q5>心拍数の増加と循環器系の副作用は?
<A5>抗コリン剤の副作用として、心悸亢進が知られているが、スピリーバはM3選択性の抗コリン剤を作用部位に少量・直接に吸入投与する薬剤であり、循環器系の副作用の発現率は極めて低い。また、心拍数の増加は通常は認められていない。
<Q6>誤って内服した場合の副作用は?
<A6>成分により薬理作用に強弱があるが、通常の抗コリン剤(経口剤)の用量は大体10~20mgであり、スピリーバは18μgのため、約1000倍近い開きがあり、1カプセル誤飲してもほとんど無作用である。ドイツにおいて、認知症の高齢患者が約50カプセルまとめて誤飲した事例があったが、この時発現した副作用は便秘であり、浣腸処理により回復した。
<Q7>肺への到達度は何%程度ですか?
<A7>COPD患者は呼吸機能が低下しているが、スリピーバは専用の吸入器具「ハンディヘラー」を用い、カプセル内の成分を極めて微量とし、また、薬剤を極度に乾燥・軽量化し、確実に薬剤が吸入できるように製剤設計しており、肺への到達度は約60%である。

薬剤師修行ファイルNo.080126:地域がん診療研修会

2008年1月研修記録
★「大阪府のがん対策について」
・大阪府の「がん対策の沿革」(主なもの) : 1959年9月 府立成人病センター開設、1984年~1993年 第1次対がん10ヵ年総合戦略、1987年4月 大阪がん予防検診センター開設、1994年~2003年第2次対がん10ヵ年総合戦略、1997年2月成人病克服おおさか10ヵ年プラン、2001年7月大阪府立健康科学センター設立、2001年8月健康おおさか21、2004年~2013年 第3次対がん10ヵ年総合戦略、2006年3月健康おおさか21中間報告、2007年4月がん対策基本法施行、2008年4月健康増進法による健康増進事業(がん検診、健康教育等)、高齢者医療確保法施行(特定検診等を保険者が実施)
・大阪府がん対策基本方針 : がん患者を含めた府民の視点に立ったがん対策の実施、重点的に取り組む課題を定めた総合的・計画的ながん対策の実施。
・がん制圧総合対策 : 1.がん検診受診率の向上、2.がん予防の推進、3.がん医療の充実 → 早期発見・早期治療が重要、医療の「質」の向上
・がん予防の推進 : 1.たばこ対策(受動喫煙の防止、未成年者の喫煙防止、禁煙サポート、たばこ対策の啓発など)、2.食生活の改善(野菜バリバリ朝食モリモリ元気っ子推進キャンペーン、健康おおさか21食育推進、おおさか食育通信など)、3.アルコール対策。
・がん検診受診率向上 : がん予防キャンペーン、啓発ポスター、パンフレット、がん検診受診向上関連事業、生活習慣病検診協議会(精度管理)など
・がん医療の充実 : 大阪府の拠点病院(大阪府立成人病センター)、地域がん診療連携拠点病院 : がん診療連携拠点病院の指定要件 1.診療機能(緩和医療の提供体制 ; 心の痛みからスタート、地域医療機関への診療支援、病病連携、病診連携)、2.診療従事者(専門的ながん医療に携わる医師やコメディカルスタッフの配置、3.相談支援センターの設置 など
・肝炎肝がん緊急総合対策事業 : 肝炎フォローアップ事業(保健所・市町村における肝炎ウイルス検査、肝炎検査後肝疾患診療体制に関するガイドライン :)
・大阪府の死因のトップは、全国より10年早く「がん」が1位である。(脳血管疾患による死亡率は、全国を下回る。) → 大阪府のがん年齢調整死亡率は、1985年以来一貫して全国ワーストワン。 胃がん、肝がん(高いC型肝炎ウイルスキャリア率)は減少傾向、肺がん、大腸がんは横ばい、乳がんは増加傾向。
・府内のがん患者の5年相対生存率は、1975-1977以降は増加傾向。

薬剤師修行ファイルNo.080126:慢性閉塞性肺疾患(COPD)勉強会

2008年1月研修記録
★メプチン最近の話題【大塚製薬㈱学術部情報室より】
・慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease :以下COPDとする)の治療は、気管支拡張薬が中心であり、特に、起床時や階段昇降時などの日常生活における労作時の息切れをコントロールすることが重要である。中でも短時間作用β2刺激薬は運動容認に対しての有用性を示した報告が多く、労作性の息切れに対する効果が期待されている。
・メプチンは短時間作用β2刺激薬であり、息切れの原因である動的肺過膨張を改善し、その結果として最大吸気量を改善することが確認され、安定期の運動耐容能の向上が期待できる。
・日本において、メプチンクリックヘラーは短時間作用β2刺激薬で初めてのドライパウダータイプの吸入薬である。フルタイドディスカスと同様にカウンター付きで残りの回数がわかりやすくなっている。吸い過ぎないように2回押しても1回分しか吸入出来ない構造になっており、残量がなくなれば押せないように工夫されている。1本で200回吸入できる。
・メプチンは他の短時間作用β2刺激薬と比較して、β2選択性が高ために、気管支拡張効果が強く、代表的な副作用である心悸亢進(動悸)は少ない。
・メプチンは錠剤、顆粒剤、ドライシロップ、シロップ、吸入(エアゾルタイプ、ドライパウダータイプ)、吸入液と多くの剤型がある。今後は、ホクナリンテープのような塗布剤(吸入が上手くできない患者用)も研究開発中である。

★COPDにおける医療連携;最近の話題と考え方
・COPDとは有毒な粒子やガスの吸入によって生じた肺の炎症反応に基づく進行性の気流制限を呈する疾患である。日本での潜在的なCOPDの患者は、40歳以上の8.6%(約530万人)と予想され、今後大きな社会問題となる。
・COPDの診断において、臨床症状として、慢性の咳嗽、慢性の喀痰、労作性呼吸困難(息切れ)のいずれか、あるいは臨床症状なくてもCOPD発症の危険因子として長期の喫煙、あるいは職業性粉塵暴露があるときには、スパイロメトリーで検査する。スパイロメトリーの検査で気流制限を診断し、さらに画像検査、呼吸機能検査などの種々の検査によりCOPDの診断をする。
・スパイロメトリーの検査は患者の負担(安静呼吸では検査ができないため、大きく息を吸い込んだり、はき出したりする必要がある)が大きいため、なかなか普及していないのが現状である。スパイロメトリーの改良も必要である。
・COPDの患者は60歳前後が多いと考えられているが、受診率が低い(開業医はCOPDの検査を積極的にする必要がある)し、継続率も悪い(調子が良くなれば通院しなくなる)ため、肺機能が改善していることなど患者の励みになる指標を確立する必要がある。
・COPD治療薬の中心は、長時間作用型気管支拡張薬が使用される。抗コリン薬、β2刺激薬、テオフィリン薬を単剤又は併用する。重症度が進むに連れて複数の薬剤を併用することが望ましい。併用は単剤の用量を増加させることよりも、より効果的で副作用の軽減にもなる。重症以上では吸入ステロイド薬を併用する。
・定期的に使用される治療薬にはスピリーバがあり、1日1吸入で24時間効果があると言われているが、24時間効果が持続しない患者には、短時間作用型気管支拡張薬のテルシガンを息切れした時に使用するように指導している。また、スリピーバは緑内障患者及び前立腺肥大等による排尿障害患者には禁忌になるため、セレベントやホクナリンテープを使用することになる。
・スタチンが気道の炎症を抑制する効果が認められており、COPDに効果があることが最近確認されている。スタチンは高脂血症以外にもいろいろな薬効があり、奥が深いと考えられている。

薬剤師修行ファイルNo.080125:気管支喘息吸入指導

2008年1月研修記録
★喘息治療配合剤アドエアディスカスについて【グラクソ・スミスクライン㈱より】
・アドエアは、喘息コントロールをシンプルにするため、気管支喘息の病態である「気道炎症」と「狭窄」の両方に優れた効果がある。また、投与1日目から優れた呼吸機能改善効果がある。
・アドエアは操作が簡単なディスカス製剤であり、100、250、500の3用量があるため、1剤で幅広い患者への治療が期待できる。

★チーム医療としての気管支喘息吸入指導
・日本における喘息死は、年々減少しており、2006年度で約2700人になっている。しかし、60歳以上の高齢者の喘息死は減少していない。
・日本アレルギー協会が推薦している喘息コントロールテスト(ACT)がある。このテストは5問(喘息の症状、発作止めの吸入薬の使用、息切れなど)からなっており、1問5点で25点満点である。25点で完全な状態(トータルコントロール)、20点~25点で良好な状態(ウェルコントロール)、20点未満で喘息がコントロールされていない状態と判断している。
・喘息治療には4ステップがあり、症状の改善(発作を抑えるためにテオフィリン製剤やβ刺激剤を使用する)→ 肺機能を常に最高に保つ(ピークフローメータで確認する)→ 気道過敏の改善 → 薬剤の減量となる。
・気管支喘息治療の中心となるのが吸入ステロイドであるが、多くの剤型が使用可能となり、その種類も4製品(フルタイド、パルミコート、キュバール、オルベスコ)、7製剤(ドライパウダータイプ<ディスカス>、ロタディスク、エアゾルタイプなど)となっている。
・調剤薬局において、フルタイドディスカスを患者に服薬指導する際に、1.吸入方法のパンフレットのみ配布、2.口頭で吸入方法を指導、3.練習用のフルタイドディカスを用いて吸入方法を指導の3つ方法で実施した結果、吸入アドヒアランスに差はなかった。このことより、操作が簡単なフルタイドディスカスを第一選択薬として使用している。
・フルタイドは「嗄声」の副作用が他の吸入ステロイドよりも多く認められており(6ケ月間使用で約30%嗄声が認められる)、嗄声がある患者(中年女性の楽しみであるカラオケが出来なくなると苦情が多い)には嗄声がほとんど認められないキュバールを使用している。なお、オルベスコは新しい薬剤で1日1回の吸入で良く、嗄声はほとんどないと言われているが、使用実績がない。
・嗄声の副作用は「うがい」をしても防ぐことはできない。声帯までは届かないし、届いた場合は「誤嚥」する。
・パルミコートの利点は、小児や妊婦にも安全であり、小児には疑問もあるが、妊婦には向いている。
・キュバールは自発呼吸が弱い高齢者に向いていると言われているが、その考えは間違いである。エアゾルタイプの吸入剤にはスペーサー(吸入補助器)を使用すべきである。

<Q1>アドエア(100、250、500μg)とフルタイド(50、200、250μg)でフルチカゾンの用量が異なり、多くなっている理由は?
<A1>アドエアは海外での用量に合わせたこともあるが、フルチカゾンの用量が多くなっても副作用は変わらないことや高用量から開始した方が患者のQOLが改善することが考えられる。
<Q2>アスピリン喘息患者に安全な鎮痛・解熱剤はありますか?
<A2>塩基性の鎮痛剤を使用すれば問題はないと考えている。また、PL顆粒やカロナールも使用しており、呼吸困難にはならない。(添付文書には、塩基性鎮痛剤でも使用禁忌になっている医薬品もあるので注意が必要である。)

薬剤師修行ファイルNo.061209:CASE-Jサミット報告書

2006年12月研修記録
★CASE-J(Candesartan Antihypertensive Survival Evaluation in Japan)に学ぶ
・日本人の平均寿命は伸びてきていたが、2005年は平均寿命が低下した。この原因は高齢者の肺炎と心血管イベントの増加である。
・CASE-Jは21世紀における降圧療法のエビデンスを確立するため、日本人の、日本人のための大規模臨床試験が実施された。
・日本で最も使用されているCa拮抗剤であるアムロジピン(ノルバスク、アムロジン)もしくはARB製剤であるカンデサルタン(ブロプレス)をベースに日本人高血圧患者をどのように改善するかを検討するため、4728例が登録され、2群に分けられ、観察期間は平均3.2年で、症例追跡率は97%を超えるなど、極めて質の高い試験となった。欧米のエビデンスに頼らざるを得なかった時代から脱却し、日本の臨床に即したエビデンスに基づく新たな高血圧治療のスタートを意味する。また、医師主導の臨床試験であり、企業の関与がないため、信頼性の高いものである。
・イベント(脳血管系、心、腎及び血管)の発生は、両群に差はなかった。むしろ、カンデサルタン群がアムロジピン群でよりも収縮期血圧が2mmHg高いままの(収縮期血圧が2mmHg高くなると、脳卒中の死亡率を6.4%増加させる)血圧差が続いていたことを考慮すると、現代の日本人の降圧療法にはRA系の抑制による臓器保護作用が必要であることが示唆された。
・カンデサルタンは、より長期に使うことでイベントの発現が減少していくこと、高齢者や腎機能障害例、そして肥満例でイベント発現リスクが低下することなどが明確になった。また、近年、著しい増加が懸念されている糖尿病の新規発症は、カンデサルタン群で発症リスクが36%低下した。
・経年的イベント発現率に変化をみると、カンデサルタン投与群では、経年的にイベント発現率が低下していくことを認めた。累積イベント発現率の曲線も、途中で交差(最初はアムロジピン投与群の方がイベント発生は低い)している。RA系抑制による臓器保護や臓器障害のリセットが発揮されたことを示唆するものと考える。
・世界的にメタボリックシンドロームの増加が問題になっている。日本のメタボリックシンドロームは、欧米に見られる肥満度の高い糖尿病型優位型と異なり、肥満度が軽い高血圧型優位型である。CASE-Jにより、この高血圧優位型メタボリックシンドロームの生命予後をカンデサルタンが改善し、それに加えて糖尿病の新規発症を抑制することが明らかになった。この新知見は日本や同等の肥満度を有するアジア諸国にとどまらず、欧米諸国の高血圧やメタボリックシンドローム治療ガイドラインに強いインパクトを与えることになる。
・高血圧の発症に関与する因子は、血管リモデリングの亢進や内皮機能障害、脳の交感神経系の過剰活性化、腎の組織障害、さらには、インスリン抵抗性の惹起等が考えられる。しかし、これらのほとんどはアンジオテンシンⅡの活性化が引き金となっている。
・カンデサルタン投与後速やかに約10mmHg低下した収縮期血圧は、カンデサルタンの投与中止により、上昇するが、プラセボと同レベルまで上昇することはなく、中止後2年を経過しても2mmHg低い状態であった。この結果は単に降圧していたから得られたのではなく、アンジオテンシンⅡをブロックした結果として得られたと考えられる。
・CASE-Jの結果より、従来の降圧療法はCa拮抗剤がベースであったが、今後はARBがベースになってくる。また、CASE-Jは2006年10月に福岡県で開催された国際高血圧学会で報告されており、高い評価を得ている。

薬剤師修行ファイルNo.080120:統合失調症の薬物治療について

2008年1月研修記録
★新規抗精神病薬エビリファイの薬理作用について【大塚製薬㈱学術部より】
・エビリファイは大塚製薬が開発し、最初にアメリカで承認され販売を開始し、日本では2006年6月から販売を開始している統合失調症治療剤である。
・統合失調症はドパミン神経の異常が原因とされている。エビリファイはドパミンD2受容体パーシャルアゴニスト(部分アゴニスト)として作用することにより、ドパミン作動性神経伝達が過剰活動状態の場合にはアンタゴニストとして作用し、神経伝達を抑制する。また、ドパミン作動性神経伝達が低下している場合にはアゴニストとして作用し、神経伝達を活性化する。このような作用により、陽性・陰性症状に効果がある。
・エビリファイの副作用には「不眠」がある。しかし、服用方法を工夫(半減期が約16時間と長いため、1日1回朝食後に服用する)することで不眠の副作用は回避できる。
・大塚製薬㈱ではプレタール、ムコスタ、メプチン及びエビリファイを開発し、販売している。疾患では
関連性がないと思われるが、構造式に共通点があり、すべて同じキノリノン骨格を有している。

★統合失調症の薬物治療について
・統合失調症の病因として、明らかな成因は不明であるが、疾患の経過から想定されたストレス-脆弱性仮説と、神経伝達物質の変化から導き出したドパミン仮説が広く支持されている。
・統合失調症が発症する前ぶれとして、少しずつ変化が起こっており、神経衰弱状態、抑うつ症状、脅迫などの神経症症状がみられる。また、引きこもり、不登校や欠勤などの行動面の変化がある。IQ(知能指数)は70以下で知的障害があるが、70~80で統合失調症と言われている。
・1952年クロルプロマジン(ウインタミン、コントミン等)の統合失調症に対する効果が認められて以来、定型抗精神病が長い間治療の中心であった。なお、クロルプロマジンは麻酔薬として開発された経緯があるが、鎮静作用が認められたため、抗精神病薬となった。
・定型抗精神病薬は医師が最も懸念している錐体外路性の副作用(EPS)が多く認められており、錐体外路性の副作用が少なく、陰性症状にも効果がある非定型抗精神病薬が1996年から使用されるようになった。
・非定型抗精神病薬にも投与量が多くなれば、EPSが多いこと、また、陰性症状が改善しない場合がある。エビリファイはEPSが用量依存的に出現せず、不安や抑うつに対する効果もあり、陰性症状も改善する。
・エビリファイはドパミンパーシャルアゴニストであり今までの非定型抗精神病とは作用機序が異なり、ドパミン受容体への親和性は非常に強い薬剤である。例えば、リスペリドンにエビリファイを上乗すると、脳内のドパミン受容体はリスペリドンからエビリファイに置き換わるもとの想定できる。高用量のエビリファイを一挙に上乗せしてしまうと、前薬がドパミン受容体から急速に離脱してしまい、その離脱による副作用が出現することになる。
・エビリファイへのスイッチングのキーポイントは、①基本的には、上乗せ漸増漸減法。原則として6mg/日を前薬に上乗せする、②18mgまでまず増量し、しばらく観察する、③前薬の漸減は時間をかけて慎重にする、④エビリファイの至適用量も注意深く検討する、⑤抗パーキンソン剤の漸減は最後にする、⑥患者・家族と治療目的を共有する。エビリファイの治療により得られるメリットやスイッチング方法を患者・家族に説明する。
・エビリファイの警告として、糖尿病患者には慎重投与になっているが、海外でのエビデンスとして、糖尿病患者の危険性はなく、慎重投与しなくても良い。
・統合失調症の薬物治療は多剤併用が多いが、可能なかぎり単剤で治療すべきである。再発の原因は薬が多いため、薬を服用しなくなるためである。
・フマル酸クエチアピンには25mg錠と100mg錠の2種類の錠剤しかないが、50mg錠が存在しても良いように思われるが、急激に増量しても副作用が発現しないため、50mg錠が存在していない。
<Q1>統合失調症治療剤で適用外使用がありますか?
<A1>不安や抑うつ症状に使用する場合がある。
<Q2>統合失調症の処方せんで用量が逸脱している場合(高用量)、疑義照会をしても処方せん通り調剤して下さいと処方医師に言われて調剤しているが、どういう意図がありますか?
<A2>個々により状況が異なるが、高用量による副作用を利用している場合がある。ドパミン以外の受容体(セロトニン)を占有する必要があるためである。
<Q3>リストカット(自殺志願者)の患者にはどのような薬剤が処方され、また、薬局ではどのような対応をする必要がありますか?
<A3>リストカットの患者には、抗不安薬や気分安定剤であるリーマスなどを処方している。また、患者への対応は薬局の守備範囲を超えているが、気分を和らげる言葉が望ましいが、深入りしない方が良い。深入りすると、主治医と意見が異なり、面倒なことになる。

【最近のニュース】統合失調症治療剤の新薬「ロナセン錠」2008年1月25日

薬剤師修行ファイルNo.061221:高血圧治療

2006年12月研修記録
★アンチエイジング実現のための高血圧治療の考え方
・アンチエイジング(抗加齢)医学会は2001年に研究会として発足し、2003年に学会として改組後、現在は約6000名の会員からなる団体である。この団体の目的は老化の原因を克服することにより、老化を治療することを目的とし、最終的には健康長寿を目指す医学である。
・アンチエイジングでは、患者ごとに筋年齢、血管年齢、神経年齢、ホルモン年齢、骨年齢のそれぞれの老化度を判定し、老化を進行させる危険因子(免疫機能、代謝機能、酸化ストレス、心身ストレス、生活習慣)を取り除く。
・「人は血管とともに老いる」といわれるように、加齢においては血管機能の障害や低下が大きなポイントである。血管機能障害は最終的には心筋梗塞などの臓器障害を引き起こすため、酸化ストレスを抑制することは、血管年齢を若く保つためにも極めて重要である。酸化ストレスはアンジオテンシンⅡが関与している。
・骨粗鬆症と高血圧は一見無関係にみえるが、実は共通点が多いことが判明している。両者は加齢とともに発症率が増加することに加え、収縮期血圧が高いほど大腿骨の骨量が低下していることや、高血圧を合併していると骨折の頻度が増加することが明らかにされている。メカニズムとして、尿中カルシウム排泄の増加が考えられている。また、アンジオテンシンⅡは骨破壊を促進することが判明している。
・ARB製剤は降圧作用だけでなく、新規糖尿病の発生抑制効果(膵臓の保護作用)、抗酸化作用、認知機能改善作用、心筋繊維化抑制作用などが確認されており、臓器保護作用から臓器改善作用があると考えられる。
・高血圧患者の治療において、ARB製剤は早い時期から使用し、長期間使用することが重要であり、Ca拮抗剤は降圧効果が不十分な時に追加で使用するのが望ましい。
・老化のメカニズムの1つである肥満の状態では、活性酸素が発生しやすいことが知られている。肥満体では運動量の低下に伴い、骨量や筋肉量が減少するため若々しい身体を維持できなくなる。メタボリックシンドロームの予防においてもアンチエイジングは重要になっている。
・宇宙飛行士は早く老化すると言われている。無重力で生活すると、筋肉量が低下するためである。
・今年神戸で開催された日本肥満学会において、愛33宣言(美空ひばりのヒット曲にある愛燦燦が由来と思われる)が行われた。体重を3Kg減量し、ウエスト周囲径を3cm少なくしようとのこと。
・長生きの秘訣は腹八分目と言われているが、高齢で現在も活躍されている聖路加病院の日野原先生は、若い頃からカロリー制限をされており、必要量の2/3程度の摂取にされており、腹6~7分目が理想とのこと。

★オルメテック錠の最新情報
オルメテックの特徴は構造式にあり、AT1受容体(血圧を上げる)への結合にはカルボキシル基(COOH基)及びヒドロキシル基(OH基)の2つの側鎖(ダブルチェーンドメイン)が重要な役割を果たしている。ダブルチェーンドメインのメリットは強力にAT1受容体に結合し、レニン・アンジオテンシン(RA)系を強く抑制し、優れた降圧効果、持続する降圧効果、臓器保護作用がある。なお、他のARB製剤はダブルチェーンドメインがない。

最近のニュース:第一三共 アムロジピンとオルメサルタンの合剤がFDA承認された。

薬剤師修行ファイルNo.080112:調剤事故防止研修会

2008年1月研修記録
★ヒューマンエラー対策セミナー【ANAラーニング株式会社より】
・ヒューマンエラーをゼロにすることはできないが、事故・不具合を防止することは可能である。「誰の責任か」ではなく「誰が予防をできたか」である。→ 褒めることが大切である。
・ヒューマンエラー対策の基本的な考え方 : 人間の情報メカニズムは、無意識に「エラー」をする。
・バイオレーション(規則違反) : 1.作業基準や各種ルールを何気なく無視する習慣的行動が、エラーになる要因を作りだしている。 2.一面エラー無しで仕事が行われていても、何かのエラーと要因が組み合わさった場合は、高い確率で作業品質の不良に至る可能性がある。
・規則違反の特徴:1.規則違反は人(あなた)の「意思」によって行われる。 2.規則違反には、必ず「動機」がある。 3.規則違反者は必ず「目的」を持っている。 4.規則違反は一回限りというケースは、ほとんどない。(繰り返す。) 5.規則違反を許す企業風土や職場環境がある。 6.規則違反の可能性と人の属性との相関関係は明確ではない。 7.規則違反の罪悪感を和らげる要因があると実行に繋がりやすい。 8.規則違反が常態化するとその行為自体がグループ内で正当化される傾向がある。
・規則違反に陥らないためには、一人一人が規則違反を導きやすい状況・環境要因を減らす行動をする。
・事故は、エラーチェーンを構成する。事故が起きる前にチェーンを切る。(事故防止) → 努力して原因を探し、手当・対策を講じる。
・エラー防止法 : 【仕事中にエラーに気づく法】 ■自分で気づく(個人)、■仲間が気づく(チーム) → メモをとる。指差呼称する。 【仕組みの変更】S:基準・手順書の変更、H:工具・道具の改良、E:環境の改善、L:能力の向上・健康 → 質問できる環境をつくる。皆で考え、リーダーがまとめる。自らが進んでやることが大切である。
・エラー防止を図るための努力 : 【中心のL】訓練・自己啓発などで能力の向上、健康維持・改善提案 【LとL】チーム・マネージメント能力の向上 【外側の要因】改善・マネージメントなどにより「中心のL」にエラーを発生させない。
・安全の創生=個人×チーム×組織 (医師×看護師×薬剤師)

★調剤事故防止のための行政・企業の対応策【日本薬剤師会より】
・医薬品をめぐる事故には、1.医薬品そのものに起因するもの(物の安全、薬害肝炎など) 2.人間に起因(ヒューマンエラー:使用の安全)→ 医療従事者の資質、医薬品を取り巻く環境など( 医薬品の名前、容器・包装、法・制度など)
・オーダリングシステムによる医薬品誤選択事故 : アルサルミン(消化性潰瘍治療薬) → アルケラン(抗骨髄腫剤)、サクシゾン(ステロイド剤) → サクシン(筋弛緩剤)、エンピナース(抗炎症剤) → エンドキサン(抗悪性腫瘍剤)、ワイパックス(精神安定剤) → ワーファリン(血液凝固阻止剤)、タキソテール(抗悪性腫瘍剤) → タキソール(抗悪性腫瘍剤)、ノルバスク(降圧剤) → ノルバディックス(乳癌治療剤)など。 情報システムの発展により、利便性が考慮され先頭から1文字、2文字でも自由に候補薬品名が検索できるようになったため。
・散剤は、調剤事故が発生しやすいので、特に注意が必要である。 散剤の充填ミスによる投薬事故 : セルテクトの充填瓶にセレネースを誤って充填した。 散剤の規格違いによる誤投薬事故 : ネオフィリンの1%散(院内製剤)を出すつもりで原末を調剤した。 ジゴシンの0.01%(院内製剤)を出すつもりで0.1%散(市販品)を調剤した。
・情報伝達エラー(口頭指示の転記エラー) : インシュリン4単位のつもりが4mL(1単位=0.01mL)、インシュリン半筒(ハントウ)のつもりが3筒(サントウ)に。
・医療安全に関する行政の取組み : 「医療安全対策検討WG」で検討されたことが「医療安全対策検討会議」にかけられ、「社会保障審議会 医療部会」で議論された後、医療法改正となる。「医療安全対策検討ワーキンググループ」の「報告書」を閲覧すればどんなことが、検討されていたかが分かる。
・平成20年9月出荷分から全ての注射薬にバーコードが付与される。ロット、期限(特性は必須、その他は任意)がバーコードで読み取られる。
・医薬品や医療機器などを安全に使用するための情報を提供するホームページや医療事故情報収集のホームページなど、ヒヤリハット事例の共有化が重要である。
・まとめ : 我が国は、医薬品の「安全の使用」確保について行政等が積極的に真剣に取り組んでいる。残念ながら製薬企業は未だに医療安全対策検討会議の提言への反応が鈍い。「使用の安全」については、先発品・後発品の差はない。他人のところで起きた事は、自分のところでも起きると思って対策を!

薬剤師修行ファイルNo.070225:脳梗塞

2007年2月研修記録
【サノフィ・アベンティス株式会社より】
★はじめに
・脳疾患の内訳 : 脳出血は減少しているが、脳梗塞は増えている。日本人は、欧米人に比べ「心筋梗塞」より「脳梗塞」が多い。
・脳梗塞の種類 : 心原性脳梗塞,アテローム血栓性脳梗塞,ラクナ脳梗塞
2002年の調査では、3種類の脳梗塞の発症の割合は同じくらいである。(昔は、ラクナ脳梗塞が多かったが、食の欧米化に伴いアテローム血栓性・心原性脳梗塞が増加)
★脳梗塞の症状
・顔 面、腕、手足の突然の「脱力感」や麻痺あるいは「しびれ」 ・発語困難、会話やことばの理解が困難 ・意識消失 ・突然の視力消失(特に片側の目のみに発生する) ・めまい、平衡感覚の喪失 ・呂律緩慢 ・認知障害、性格変化
★急性期の治療ガイドライン
血栓溶解療法 tPAアルテプラーゼ:2005年10月に保険適用 (静脈内投与)
専門医師が適切な設備を有する施設で、適応基準(脳梗塞発症3 時間以内、CTで早期虚血所見がないかまたは軽微、など)を十分に満たす場合については、脳梗塞急性期の治療法として有効性が期待される(グレードA)。
実績:1年間に約3200人に使用、1年間で48人が副作用で死亡。(死亡の内訳:脳出血29人,使用基準を満たしていなかった5人)
★抗血小板療法 脳梗塞急性期
1.オザグレルナトリウム160mg/日の点滴投与は、急性期(発症5日以内)の脳血栓症(心原性脳塞栓症を除く脳梗塞)患者の治療法として推奨される(グレードB)。 【日本のみ】
2.アスピリン160~300mg/日の経口投与は、発症早期(48時間以内)の脳梗塞患者の治療法として推奨される(グレードA)。
★脳梗塞慢性期の治療方法
・降圧目標:一次目標(治療開始数ヶ月)150/95未満、最終目標(それ以降)140/90未満
脂質管理目標:TC <200 mg/dL,LDL値<120 mg/dL,HDL値³ 40 mg/dL,TG:<150 mg/dL
 EPA(エパデール)1800mg/日を摂った人は、心血管イベントを発症する割合が20%減る。
 「スタチン+EPA」の服用で「脳卒中既往患者」の再発は20%減少。
 2型糖尿病患者でアクトスを服用している脳卒中既往患者の再発は47%減少。
・脳代謝改善薬、脳循環改善薬
脳梗塞後遺症の軽減に頻用された脳循環代謝改善薬は、再評価により適応薬剤が大幅に減少し、また適応症も一部変更となった。(グレードB)。 イブジラスト(ケタス): 脳梗塞後の広義のめまいに対して有効,ニセルゴリン(サアミオン):一般の認知障害,酒石酸イフェンプロジル(セロクラール):脳梗塞後のめまいに対してそれぞれ有効である。
・再発予防のための抗凝固療法
弁膜症を伴わない心房細動(NVAF)のある脳梗塞または一過性脳虚血発作(TIA)の再発予防では、ワルファリンが第1選択薬である。INR 2.0~3.0が推奨される(グレードA)。 ただし、食事制限を受ける。
・再発予防のための抗血小板療法
「非心原性脳梗塞」の再発予防上、最も有効な抗血小板療法はアスピリン75-150mg/日(A) 、チクロピジン200mg /日(A) 、シロスタゾール200mg /日(B) である。 ラクナ梗塞の二次予防にも抗血小板薬の使用が奨められる(B) 。ただし十分な血圧コントロールを行う必要がある。
・再発予防のための抗血小板療法
心原性脳塞栓症の再発予防は、抗凝固薬ワルファリンが第1選択薬であり(グレードA)、ワルファリン禁忌の患者のみアスピリンなどの抗血小板薬を投与する(グレードB)。
・抗血小板薬の種類
COX阻害薬:アスピリン 、ADP(アデノシン二リン酸)受容体阻害薬:チクロピジン,ブラビックス(クロピドグレル)、ホスホジエステラーゼ阻害薬:シロスタゾール,ジピリダモール
ブラビックスとチクロピジンの再発予防効果は、アスピリンより優れている。ブラビックスは、チクロピジンより副作用が少ない。特に血管障害、肝機能障害は有意である。
★血小板凝集抑制薬が問題となるような手術
循環器疾患における抗凝固・抗血小板薬療法のガイドライン観血的処置【日本循環器学会等】
1)抜歯は、抗血小板薬の内服継続下での施行が望ましい。
2)体表の小手術で出血性合併症が起こった場合の対処が困難な場合、ペースメーカーの植え込み、および内視鏡による生検や切除術等などへの対処は大手術に準じる。
3)大手術の場合、アスピリンは7日前に、チクロピジンは手術の10~14日前に中止する。シロスタゾールは3日前に中止する。その間の血栓症や塞栓症にリスクが高い症例では、脱水の回避、輸液、ヘパリンの投与などを考慮する。
4)緊急手術時の対処は、出血性合併症時の対処に準じる。
抗血小板薬の休薬期間(内視鏡治療時)
アスピリン 3日休薬,チクロピジン 5日休薬,アスピリン+チクロピジン 7日休薬

薬剤師修行ファイルNo.070222:アレルギークロストーク

2007年2月研修記録
★アレロックの最新情報及びパタノール点眼液の紹介【協和発酵工業㈱学術部より】
・アレロックの特徴は、アレルギー鼻炎の三大症状(くしゃみ、鼻漏、鼻閉)の改善率が高く、特に鼻閉に対して74.3%の改善率がある。即効性があり、腎排泄型のため、相互作用が少ない。
・スギ花粉症に対するアレロックとフェキソフェナジンの臨床効果を評価するために、プラセボ対照交差二重盲検比較試験を実施した結果、アレロック群及びフェキソフェナジン群ともにくしゃみ発作の回数、鼻汁、鼻閉ともに改善したが、アレロック群の方がフェキソフェナジン群よりも改善率は高かった。また、眠気はプラセボ群、フェキソフェナジン群、アレロック群とも差はなかった。
・アレロックを4週間投与した結果、初回服用時に軽度の眠気を訴えた症例が存在したが、連用するにつれて眠気を訴えにくくなる傾向がある。現在、客観的評価をしており、眠気に慣れが生じた原因を解析中である。
・2006年10月にアレロックの一般名である塩酸オロパタジンを含む抗アレルギー点眼液であるパタノール点眼液が販売されている。パタノール点眼液は欧米で広く使用されており、メディエータ遊離抑制薬(インタール点眼液、リザベン点眼液等)とヒスタミンH1拮抗薬(ザジテン点眼液、リボスチン点眼液)を併せ持つ。また、涙液に近いpHであるため眼に「しみず」に使用できることも特徴である。
・花粉飛散前にヒスタミンH1拮抗薬などを服用する初期療法が行われているが、ヒスタミンH1拮抗薬を点眼していた患者は、点眼していない患者に比べ飛散時期の眼のかゆみ、充血、流涙などの自覚症状が有意に軽減されている。

★アスピリン喘息を考える
・アスピリン喘息とは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)や解熱鎮痛剤によって、発作が引き起こされる喘息である。症状は特徴的であり、原因となる医薬品を服用して30分以内に鼻水、鼻づまりが起こり、次に咳、喘鳴(ゼーゼーやヒューヒュと言う)、呼吸困難が出現する。
・アスピリン喘息になりやすい患者は、通年性の鼻炎症状(鼻水、鼻づまり)、慢性副鼻腔炎や鼻茸(鼻ポリープ)を合併している、成人になってからの喘息、著明な好酸球増加があるなどである。
・アスピリン喘息患者にはアラキドン酸代謝経路及びアラキドン酸代謝産物が関わる生体反応に何らかの異常があり、NSAIDSによるCOX-1阻害で顕著化し、過敏反応として現われると考えられている。過敏反応の引き金として、防御因子としてのプロスタグランジンE2の減少が考えられている。
・塩基性鎮痛剤(ソランタール、ペントイル等)やCOX-2阻害剤(モービック、ハイペン等)を使用すればアスピリン喘息を回避できる可能性は高い。
・専門病院では、患者に「アスピリン喘息患者カード」を持たせており、医療機関を受診したり、薬局で医薬品を購入したりする場合、「アスピリン喘息カード」を示すように指示している。
・慢性副鼻腔炎は非アレルギー性、アレルギー性及び好酸球性に分類されている。また、慢性副鼻腔炎の治療法にはマクロライド療法があるが、非アレルギー性及びアレルギー性には効果があるが、好酸球性にはあまり効果がない。

薬剤師修行ファイルNo.070224:糖尿病治療

2007年2月研修記録
★セイブル、グリミクロン及びメルビンの製品紹介【大日本住友製薬㈱学術推進部より】
・セイブル錠は、2006年1月に販売を開始した糖尿病食後過血糖改善剤(αグルコシダーゼ阻害薬)であり、三和化学研究所が製造販売し、大日本住友製薬㈱がプロモーション提携をしている。食後高血糖を是正することは、合併疾患を予防する上で非常に重要であり、死亡率の低下になる。
・セイブル錠の特徴は、「早い、やさしい、強い」である。「早い」は食後開始後2時間値の血糖値の低下は、競合品(ベイスンやグルコバイ)と同じである。しかし、食後開始後1時間値の血糖値の低下は、競合品よりも効果が良く、即効性がある。「やさしい」は副作用である腹部膨満感や放屁増加は競合品より少ない。「強い」は効果が競合品よりも高い。
・グリミクロンは2型糖尿病薬物治療の初期段階に適した薬剤である。β細胞に過度な負担をかけることなく、ブドウ糖に対する感受性を高める作用がある。
・メルビンの作用機序として、AMPキナーゼを促進することが明確になり、多くの作用が説明できることになった。SU薬の欠点である体重増加もなく、耐糖能障害から糖尿病への進展が抑えられるため、一次予防薬として期待されるようになってきた。
・大日本住友製薬㈱は糖尿病領域に注力しており、メルビンの高用量製剤(メルビンの用量は欧米での用量に比べて3分の1程度と少ない)や新しい作用機序の糖尿病治療薬を開発中である。

★糖尿病非薬物療法を継続するためのポイント
・食事療法のポイントは野菜をゆっくり食べることが重要である。摂取カロリーを自覚していただくため、模擬食品(肉、野菜等)を利用して、カロリー当てゲームをしている。食事療法を継続させるポイントとして、「ほめる」ことが大事である。
・運動療法は患者の状況により、心拍数(例えば、110/分)を設定して、運動していただく。単純な運動は長続きしないため、ゲーム(卓球は好評)性を加味する。
・教育入院は2週間で実施している。血糖コントロールの見直し、合併症の検査及び糖尿病の知識修得の3項目を重点的に実施している。短期間で効果を上げている。
・外来集団指導は3ケ月に1回糖尿病教室を実施している。糖尿病患者に糖尿であることを自覚していただくことが重要である。米国では糖尿病患者は3ケ月に1回程度しか受診しない。自己管理が大事であることが啓蒙されている。

★糖尿病網膜症治療の動向
・視覚障害の原因として、第1位は緑内障(約20.7%)であるが、第2位は糖尿病網膜症(約19.0%)である。また、失明では糖尿病網膜症が第1位になっている。糖尿病が増加しており、今後は糖尿病網膜症も増加すると予測される。
・糖尿病網膜症の治療は、手術(レーザー、硝子体)が基本であるが、薬物治療剤(血管新生の抑制)の開発(第Ⅱ相臨床試験終了段階)も進んでいる。また、内科医と眼科医が連絡を蜜にし(内科医からの紹介率が約40%しかなく、時期が遅い)、協力することも重要である。
・糖尿病網膜症患者には日本眼科協会で作成した糖尿病眼手帳を配布している。手帳の内容は次回受診日(再院率が低いため)、眼圧、血糖値、眼の自覚症状などが記入できる。

薬剤師修行ファイルNo.070217:薬剤師のための漢方セミナー

2007年2月研修記録
★一般市中病院での漢方エキス剤治療 ~ 産婦人科領域を中心に ~ 
・相補・代替医療(complementary and alternative medicine、CAM)とは、主に欧米で国又は医学会で認知されていない療法の総称である。CAMは近年、統合医療とも呼ばれている。米国では漢方治療は正式な医療としては認められていない(保健適用ないため、CAMになる)が、約42%の国民がCAMを受診しており、漢方治療も増加している。
・漢方は女性に向いていると言われており、産婦人科では多く使用されている。漢方治療が優先される疾患には月経不順、不正性出血、月経前緊張症、月経困難症、更年期障害、冷え症などがある。
・女性はほとんどが瘀血(血の停滞)になっており、外来では「桂枝茯苓丸」、入院では「当帰芍薬散」が多く使用されている。桂枝茯苓丸は血液粘度、赤血球集合能、赤血球変形能を改善することが明らかになっている。また、動脈硬化抑制作用、血管内皮機能保護作用も認められている。
・出産で最も多く使用されている薬剤にウテメリン(早産防止剤)があるが、「当帰芍薬散」を併用することにより、ウテメリンの効果を増し、副作用の防止にもなる。また、不妊治療剤にクロミッドがあるが、「温経湯」を併用することにより効果が増す。
・甘草によって引き起こされる高血圧、浮腫、低カリウム血症は甘草誘発性偽アルドステロン症と呼ばれている。西洋薬との併用では、グリチルリチン酸製剤以外にも利尿剤(ループ、サイアザイド)がグリチルリチン酸と同様の機序でカリウム排泄を促進するので、併用した場合、低カリウム血症に注意が必要である。甘草は1日6~7gまでと言われている。
・麻黄は、中枢神経興奮、交感神経刺激などの作用を示す。西洋薬との併用に当たってはエフェドリン含有製剤、カテコールアミン製剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、キサンチン製剤、甲状腺ホルモン剤などにより動悸、発汗過多、脱力感、頻脈、不眠、興奮などが生じる。高齢者では若年者よりも副作用が生じやすい。1日量の制限は個人差があり、数字で示すことはできない。また、麻黄とアセトアミノフェンの同時服用はほとんど意味がなく、時間をずらして服用するべきである。
・調剤薬局において、漢方は好まれていない。その理由として、場所を取ることや処方変更が多く、在庫が多くなり、経営効率が良くないためである。漢方エキス製剤145処方すべて置いている調剤薬局はない。
・保健診療上原則として複数の漢方エキス製剤の同時投与は望ましくない。2剤を併用することによって漢方診療の幅が広がることも確かである。しかし、3剤以上の同時投与は支払い基金より制限されることがある。

★6年制薬学における生薬研究 ~ 食品と生薬修治 ~
・生薬の修治(加工調整)は日本ではあまり行われていないが、中国ではよく行われており、大学の単位にもなっている。
・修治の目的と意義として、①毒性や刺激性など副作用の軽減、②生薬性能の改変、③薬効の増強、④保管、貯蔵における変質や虫害の防止、⑤矯味及び矯臭、⑥非薬用部分の除去、⑦粉砕性の向上などがある。
・修治方法には ①治削(夾雑物の除去)、②水製(水を用いて処理する方法で雑物を洗浄する)、③火製(焦がす、炒る、焼く及び炭化などの操作)などがある。
・生薬修治には、附子があるが、附子の毒性を水製と火製で減弱させている。また、修治における化学過程として、8位の脱アセチル化がある。