2008年2月研修記録
★ザイボックスの製品紹介【ファイザー㈱ 学術部より】
・ザイボックスは、2001年4月に国内初めてのバイコマイシン耐性腸球菌感染治療薬として承認され、その後、2006年6月にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の適用が追加された。
・ザイボックスには注射剤と錠剤があり、錠剤(国内初の抗MRSA薬)の生物学的利用率がほぼ100%であるため、静脈内投与から同量で経口投与に切り替えが可能である。なお、抗MRSA薬は硫酸アルベカシン(ハベカシン)、塩酸バンコマイシン及びテイコプラニン(タゴシット)はすべて注射剤である。
・ザイボックスは既存の抗MRSA薬と異なり、腎障害患者、肝障害患者、高齢者にも使いやすい。
・ザイボックスとバンコマイシンとの比較試験において、院内肺炎を対象とした臨床試験ではザイボックス投与群の方が有意に高い生存率を示した。この理由として、バンコマイシンの蛋白結合率が高く(80%以上)、また分子量が大きく組織移行性が劣るのに対し、ザイボックスは蛋白結合率が31%と低く、さらに分子量もバンコマイシンの1485.1に比して、337.35と遥かに小さく、組織移行性が高いことにより、十分な組織内濃度が確保できるためと考えられる。
★日本の院内感染症診療の問題点とその克服のための処方箋★
・院内感染は医師だけでは防ぐことができない。コメデカルである薬剤師、看護師、検査技師及び事務員等の協力が必要である。過去の院内感染を調査した結果、不注意な事例(手洗い、消毒、カビ対策など)もあり、約50%は防ぐことができた。
・日本の院内感染において、1970年代は緑膿菌が主流であったが、1980年代になり、MRSAが院内感染の主流になっている。MRSAは医療従事者の手指や医療器具を介して院内感染する場合が多い。
・院内感染した場合、抗MRSA薬を使用することになり、病院の経営が苦しくなる。その理由として、耐性化を防ぐために、厚労省は抗MRSA薬や第4世代セファロスポリンについて、使用しない又は使用量を減少すれば、病院の報酬(利益)が良くなる制度がある。
PK/PD理論に基づく感染症診療のあり方
・抗菌薬の効果的な投与量や投与法の決定にあたっては、抗菌薬の吸収、分布、代謝、排泄を示す薬物動態学(pharmacokinetics;PK)的指標と薬物濃度変化と抗菌作用の関係を示す薬力学(pharmacodynamics;PD)的指標をふまえたPK/PDパラメータが重要である。
・市販されている抗菌薬(バナン、クラリシッド、クラビットなど)は添付文書での用量では効果が不十分であり、用量を増やす必要がある。この理由として、軽症の市中肺炎を対象とした臨床試験で用量設定したためであり、重症の肺炎患者の用量設定が必要である。なお、ジスロマック及びアベロックスは適正な用量になっている。
・製薬会社は用量が少ない事実は確認しているが、用量を変更するには莫大な資金が必要になるため、用量変更の臨床試験が実施されていない。今後は海外データの利用や学会(医師)主導で用量を変更する必要がある。
・耐性化を防ぐには抗菌薬を使用しないことも重要であるが、適正な用量(低用量で長期使用しない)で短期間使用することが必要である。
・イタリアのミラノ大学で抗菌薬治療法にPK/PD理論を取り入れた結果、入院期間は16日から11日に短縮し、死亡率も10.9%から4.9%に減少した。
薬剤師修行ファイルNo.080124:スピリーバ
2008年1月研修記録
スピリーバの製品紹介【日本ベーリンガーインゲルハイム㈱より】
・スピリーバは、2004年12月に日本で販売を開始した慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療剤である。COPD患者の息切れなど臨床症状を改善し、健康関連QOLを向上させる。また、COPD患者の肺機能を上昇させ、1年間投与においても減弱しない。海外では75カ国以上で発売されている。
・スピリーバは1日1回投与を可能にした初めての長時間作用型吸入気管支拡張剤である。
<Q1>吸入はエロゾルタイプとドライパウダータイプがあるが、ドライパウダータイプにした理由は?
<A1>COPDの治療には選択性の高い抗コリン剤を呼吸器の終末部に直接投与する方法が有効である。そのためには2~3μm(ミクロン)以下にする必要があったが、エアゾルタイプでは、開発当初は5~10μm程度であり、COPDの治療要件を満足できなかった。先に開発に成功したのがドライパウダータイプである。エアゾルタイプも開発の目処がつき、臨床試験中である。
<Q2>25℃を超えるところに保存しないことになっている理由として、40℃、75%RH、6箇月保存の加速試験において、不純物がかなり増加するためとなっているが、具体的な数字は?
<A2>弊社の規格では、不純物の含量は7%以下としているが、40℃、75%RH、6箇月保存で不純物の生成量が7%をわずかに超えた。このことから、夏場において、スリピーバは冷蔵庫保存が望ましい。
<Q3>第Ⅲ相臨床試験の用量は、36μgで実施しているが、製品は18μgにした根拠は?
<A3>第Ⅲ相臨床試験において、副作用の発現率は用量に依存して増加したが、効果は18μgと36μgの双方で有意差はなかった。このことから、用量は18μgに設定した。(日本の開発において、第Ⅲ相臨床試験の用量と異なる用量で市販されることはほとんどない。第Ⅱ相臨床試験での用量設定試験が不十分なのか、導入品のためなのか、最近、厚労省とのヒアリングで第Ⅲ相臨床試験の用量よりも低用量で市販されている製品が多いのも現状である。)
<Q4>気管支喘息に効果はありますか?
<A4>抗コリン剤は効果発現に時間がかかり、気管支喘息には不向きとされている。気管支喘息に対する効果は充分に試験していないため、エビデンスはない。
<Q5>心拍数の増加と循環器系の副作用は?
<A5>抗コリン剤の副作用として、心悸亢進が知られているが、スピリーバはM3選択性の抗コリン剤を作用部位に少量・直接に吸入投与する薬剤であり、循環器系の副作用の発現率は極めて低い。また、心拍数の増加は通常は認められていない。
<Q6>誤って内服した場合の副作用は?
<A6>成分により薬理作用に強弱があるが、通常の抗コリン剤(経口剤)の用量は大体10~20mgであり、スピリーバは18μgのため、約1000倍近い開きがあり、1カプセル誤飲してもほとんど無作用である。ドイツにおいて、認知症の高齢患者が約50カプセルまとめて誤飲した事例があったが、この時発現した副作用は便秘であり、浣腸処理により回復した。
<Q7>肺への到達度は何%程度ですか?
<A7>COPD患者は呼吸機能が低下しているが、スリピーバは専用の吸入器具「ハンディヘラー」を用い、カプセル内の成分を極めて微量とし、また、薬剤を極度に乾燥・軽量化し、確実に薬剤が吸入できるように製剤設計しており、肺への到達度は約60%である。
スピリーバの製品紹介【日本ベーリンガーインゲルハイム㈱より】
・スピリーバは、2004年12月に日本で販売を開始した慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療剤である。COPD患者の息切れなど臨床症状を改善し、健康関連QOLを向上させる。また、COPD患者の肺機能を上昇させ、1年間投与においても減弱しない。海外では75カ国以上で発売されている。
・スピリーバは1日1回投与を可能にした初めての長時間作用型吸入気管支拡張剤である。
<Q1>吸入はエロゾルタイプとドライパウダータイプがあるが、ドライパウダータイプにした理由は?
<A1>COPDの治療には選択性の高い抗コリン剤を呼吸器の終末部に直接投与する方法が有効である。そのためには2~3μm(ミクロン)以下にする必要があったが、エアゾルタイプでは、開発当初は5~10μm程度であり、COPDの治療要件を満足できなかった。先に開発に成功したのがドライパウダータイプである。エアゾルタイプも開発の目処がつき、臨床試験中である。
<Q2>25℃を超えるところに保存しないことになっている理由として、40℃、75%RH、6箇月保存の加速試験において、不純物がかなり増加するためとなっているが、具体的な数字は?
<A2>弊社の規格では、不純物の含量は7%以下としているが、40℃、75%RH、6箇月保存で不純物の生成量が7%をわずかに超えた。このことから、夏場において、スリピーバは冷蔵庫保存が望ましい。
<Q3>第Ⅲ相臨床試験の用量は、36μgで実施しているが、製品は18μgにした根拠は?
<A3>第Ⅲ相臨床試験において、副作用の発現率は用量に依存して増加したが、効果は18μgと36μgの双方で有意差はなかった。このことから、用量は18μgに設定した。(日本の開発において、第Ⅲ相臨床試験の用量と異なる用量で市販されることはほとんどない。第Ⅱ相臨床試験での用量設定試験が不十分なのか、導入品のためなのか、最近、厚労省とのヒアリングで第Ⅲ相臨床試験の用量よりも低用量で市販されている製品が多いのも現状である。)
<Q4>気管支喘息に効果はありますか?
<A4>抗コリン剤は効果発現に時間がかかり、気管支喘息には不向きとされている。気管支喘息に対する効果は充分に試験していないため、エビデンスはない。
<Q5>心拍数の増加と循環器系の副作用は?
<A5>抗コリン剤の副作用として、心悸亢進が知られているが、スピリーバはM3選択性の抗コリン剤を作用部位に少量・直接に吸入投与する薬剤であり、循環器系の副作用の発現率は極めて低い。また、心拍数の増加は通常は認められていない。
<Q6>誤って内服した場合の副作用は?
<A6>成分により薬理作用に強弱があるが、通常の抗コリン剤(経口剤)の用量は大体10~20mgであり、スピリーバは18μgのため、約1000倍近い開きがあり、1カプセル誤飲してもほとんど無作用である。ドイツにおいて、認知症の高齢患者が約50カプセルまとめて誤飲した事例があったが、この時発現した副作用は便秘であり、浣腸処理により回復した。
<Q7>肺への到達度は何%程度ですか?
<A7>COPD患者は呼吸機能が低下しているが、スリピーバは専用の吸入器具「ハンディヘラー」を用い、カプセル内の成分を極めて微量とし、また、薬剤を極度に乾燥・軽量化し、確実に薬剤が吸入できるように製剤設計しており、肺への到達度は約60%である。
薬剤師修行ファイルNo.080126:地域がん診療研修会
2008年1月研修記録
★「大阪府のがん対策について」
・大阪府の「がん対策の沿革」(主なもの) : 1959年9月 府立成人病センター開設、1984年~1993年 第1次対がん10ヵ年総合戦略、1987年4月 大阪がん予防検診センター開設、1994年~2003年第2次対がん10ヵ年総合戦略、1997年2月成人病克服おおさか10ヵ年プラン、2001年7月大阪府立健康科学センター設立、2001年8月健康おおさか21、2004年~2013年 第3次対がん10ヵ年総合戦略、2006年3月健康おおさか21中間報告、2007年4月がん対策基本法施行、2008年4月健康増進法による健康増進事業(がん検診、健康教育等)、高齢者医療確保法施行(特定検診等を保険者が実施)
・大阪府がん対策基本方針 : がん患者を含めた府民の視点に立ったがん対策の実施、重点的に取り組む課題を定めた総合的・計画的ながん対策の実施。
・がん制圧総合対策 : 1.がん検診受診率の向上、2.がん予防の推進、3.がん医療の充実 → 早期発見・早期治療が重要、医療の「質」の向上
・がん予防の推進 : 1.たばこ対策(受動喫煙の防止、未成年者の喫煙防止、禁煙サポート、たばこ対策の啓発など)、2.食生活の改善(野菜バリバリ朝食モリモリ元気っ子推進キャンペーン、健康おおさか21食育推進、おおさか食育通信など)、3.アルコール対策。
・がん検診受診率向上 : がん予防キャンペーン、啓発ポスター、パンフレット、がん検診受診向上関連事業、生活習慣病検診協議会(精度管理)など
・がん医療の充実 : 大阪府の拠点病院(大阪府立成人病センター)、地域がん診療連携拠点病院 : がん診療連携拠点病院の指定要件 1.診療機能(緩和医療の提供体制 ; 心の痛みからスタート、地域医療機関への診療支援、病病連携、病診連携)、2.診療従事者(専門的ながん医療に携わる医師やコメディカルスタッフの配置、3.相談支援センターの設置 など
・肝炎肝がん緊急総合対策事業 : 肝炎フォローアップ事業(保健所・市町村における肝炎ウイルス検査、肝炎検査後肝疾患診療体制に関するガイドライン :)
・大阪府の死因のトップは、全国より10年早く「がん」が1位である。(脳血管疾患による死亡率は、全国を下回る。) → 大阪府のがん年齢調整死亡率は、1985年以来一貫して全国ワーストワン。 胃がん、肝がん(高いC型肝炎ウイルスキャリア率)は減少傾向、肺がん、大腸がんは横ばい、乳がんは増加傾向。
・府内のがん患者の5年相対生存率は、1975-1977以降は増加傾向。
★「大阪府のがん対策について」
・大阪府の「がん対策の沿革」(主なもの) : 1959年9月 府立成人病センター開設、1984年~1993年 第1次対がん10ヵ年総合戦略、1987年4月 大阪がん予防検診センター開設、1994年~2003年第2次対がん10ヵ年総合戦略、1997年2月成人病克服おおさか10ヵ年プラン、2001年7月大阪府立健康科学センター設立、2001年8月健康おおさか21、2004年~2013年 第3次対がん10ヵ年総合戦略、2006年3月健康おおさか21中間報告、2007年4月がん対策基本法施行、2008年4月健康増進法による健康増進事業(がん検診、健康教育等)、高齢者医療確保法施行(特定検診等を保険者が実施)
・大阪府がん対策基本方針 : がん患者を含めた府民の視点に立ったがん対策の実施、重点的に取り組む課題を定めた総合的・計画的ながん対策の実施。
・がん制圧総合対策 : 1.がん検診受診率の向上、2.がん予防の推進、3.がん医療の充実 → 早期発見・早期治療が重要、医療の「質」の向上
・がん予防の推進 : 1.たばこ対策(受動喫煙の防止、未成年者の喫煙防止、禁煙サポート、たばこ対策の啓発など)、2.食生活の改善(野菜バリバリ朝食モリモリ元気っ子推進キャンペーン、健康おおさか21食育推進、おおさか食育通信など)、3.アルコール対策。
・がん検診受診率向上 : がん予防キャンペーン、啓発ポスター、パンフレット、がん検診受診向上関連事業、生活習慣病検診協議会(精度管理)など
・がん医療の充実 : 大阪府の拠点病院(大阪府立成人病センター)、地域がん診療連携拠点病院 : がん診療連携拠点病院の指定要件 1.診療機能(緩和医療の提供体制 ; 心の痛みからスタート、地域医療機関への診療支援、病病連携、病診連携)、2.診療従事者(専門的ながん医療に携わる医師やコメディカルスタッフの配置、3.相談支援センターの設置 など
・肝炎肝がん緊急総合対策事業 : 肝炎フォローアップ事業(保健所・市町村における肝炎ウイルス検査、肝炎検査後肝疾患診療体制に関するガイドライン :)
・大阪府の死因のトップは、全国より10年早く「がん」が1位である。(脳血管疾患による死亡率は、全国を下回る。) → 大阪府のがん年齢調整死亡率は、1985年以来一貫して全国ワーストワン。 胃がん、肝がん(高いC型肝炎ウイルスキャリア率)は減少傾向、肺がん、大腸がんは横ばい、乳がんは増加傾向。
・府内のがん患者の5年相対生存率は、1975-1977以降は増加傾向。
薬剤師修行ファイルNo.080126:慢性閉塞性肺疾患(COPD)勉強会
2008年1月研修記録
★メプチン最近の話題【大塚製薬㈱学術部情報室より】
・慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease :以下COPDとする)の治療は、気管支拡張薬が中心であり、特に、起床時や階段昇降時などの日常生活における労作時の息切れをコントロールすることが重要である。中でも短時間作用β2刺激薬は運動容認に対しての有用性を示した報告が多く、労作性の息切れに対する効果が期待されている。
・メプチンは短時間作用β2刺激薬であり、息切れの原因である動的肺過膨張を改善し、その結果として最大吸気量を改善することが確認され、安定期の運動耐容能の向上が期待できる。
・日本において、メプチンクリックヘラーは短時間作用β2刺激薬で初めてのドライパウダータイプの吸入薬である。フルタイドディスカスと同様にカウンター付きで残りの回数がわかりやすくなっている。吸い過ぎないように2回押しても1回分しか吸入出来ない構造になっており、残量がなくなれば押せないように工夫されている。1本で200回吸入できる。
・メプチンは他の短時間作用β2刺激薬と比較して、β2選択性が高ために、気管支拡張効果が強く、代表的な副作用である心悸亢進(動悸)は少ない。
・メプチンは錠剤、顆粒剤、ドライシロップ、シロップ、吸入(エアゾルタイプ、ドライパウダータイプ)、吸入液と多くの剤型がある。今後は、ホクナリンテープのような塗布剤(吸入が上手くできない患者用)も研究開発中である。
★COPDにおける医療連携;最近の話題と考え方
・COPDとは有毒な粒子やガスの吸入によって生じた肺の炎症反応に基づく進行性の気流制限を呈する疾患である。日本での潜在的なCOPDの患者は、40歳以上の8.6%(約530万人)と予想され、今後大きな社会問題となる。
・COPDの診断において、臨床症状として、慢性の咳嗽、慢性の喀痰、労作性呼吸困難(息切れ)のいずれか、あるいは臨床症状なくてもCOPD発症の危険因子として長期の喫煙、あるいは職業性粉塵暴露があるときには、スパイロメトリーで検査する。スパイロメトリーの検査で気流制限を診断し、さらに画像検査、呼吸機能検査などの種々の検査によりCOPDの診断をする。
・スパイロメトリーの検査は患者の負担(安静呼吸では検査ができないため、大きく息を吸い込んだり、はき出したりする必要がある)が大きいため、なかなか普及していないのが現状である。スパイロメトリーの改良も必要である。
・COPDの患者は60歳前後が多いと考えられているが、受診率が低い(開業医はCOPDの検査を積極的にする必要がある)し、継続率も悪い(調子が良くなれば通院しなくなる)ため、肺機能が改善していることなど患者の励みになる指標を確立する必要がある。
・COPD治療薬の中心は、長時間作用型気管支拡張薬が使用される。抗コリン薬、β2刺激薬、テオフィリン薬を単剤又は併用する。重症度が進むに連れて複数の薬剤を併用することが望ましい。併用は単剤の用量を増加させることよりも、より効果的で副作用の軽減にもなる。重症以上では吸入ステロイド薬を併用する。
・定期的に使用される治療薬にはスピリーバがあり、1日1吸入で24時間効果があると言われているが、24時間効果が持続しない患者には、短時間作用型気管支拡張薬のテルシガンを息切れした時に使用するように指導している。また、スリピーバは緑内障患者及び前立腺肥大等による排尿障害患者には禁忌になるため、セレベントやホクナリンテープを使用することになる。
・スタチンが気道の炎症を抑制する効果が認められており、COPDに効果があることが最近確認されている。スタチンは高脂血症以外にもいろいろな薬効があり、奥が深いと考えられている。
★メプチン最近の話題【大塚製薬㈱学術部情報室より】
・慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease :以下COPDとする)の治療は、気管支拡張薬が中心であり、特に、起床時や階段昇降時などの日常生活における労作時の息切れをコントロールすることが重要である。中でも短時間作用β2刺激薬は運動容認に対しての有用性を示した報告が多く、労作性の息切れに対する効果が期待されている。
・メプチンは短時間作用β2刺激薬であり、息切れの原因である動的肺過膨張を改善し、その結果として最大吸気量を改善することが確認され、安定期の運動耐容能の向上が期待できる。
・日本において、メプチンクリックヘラーは短時間作用β2刺激薬で初めてのドライパウダータイプの吸入薬である。フルタイドディスカスと同様にカウンター付きで残りの回数がわかりやすくなっている。吸い過ぎないように2回押しても1回分しか吸入出来ない構造になっており、残量がなくなれば押せないように工夫されている。1本で200回吸入できる。
・メプチンは他の短時間作用β2刺激薬と比較して、β2選択性が高ために、気管支拡張効果が強く、代表的な副作用である心悸亢進(動悸)は少ない。
・メプチンは錠剤、顆粒剤、ドライシロップ、シロップ、吸入(エアゾルタイプ、ドライパウダータイプ)、吸入液と多くの剤型がある。今後は、ホクナリンテープのような塗布剤(吸入が上手くできない患者用)も研究開発中である。
★COPDにおける医療連携;最近の話題と考え方
・COPDとは有毒な粒子やガスの吸入によって生じた肺の炎症反応に基づく進行性の気流制限を呈する疾患である。日本での潜在的なCOPDの患者は、40歳以上の8.6%(約530万人)と予想され、今後大きな社会問題となる。
・COPDの診断において、臨床症状として、慢性の咳嗽、慢性の喀痰、労作性呼吸困難(息切れ)のいずれか、あるいは臨床症状なくてもCOPD発症の危険因子として長期の喫煙、あるいは職業性粉塵暴露があるときには、スパイロメトリーで検査する。スパイロメトリーの検査で気流制限を診断し、さらに画像検査、呼吸機能検査などの種々の検査によりCOPDの診断をする。
・スパイロメトリーの検査は患者の負担(安静呼吸では検査ができないため、大きく息を吸い込んだり、はき出したりする必要がある)が大きいため、なかなか普及していないのが現状である。スパイロメトリーの改良も必要である。
・COPDの患者は60歳前後が多いと考えられているが、受診率が低い(開業医はCOPDの検査を積極的にする必要がある)し、継続率も悪い(調子が良くなれば通院しなくなる)ため、肺機能が改善していることなど患者の励みになる指標を確立する必要がある。
・COPD治療薬の中心は、長時間作用型気管支拡張薬が使用される。抗コリン薬、β2刺激薬、テオフィリン薬を単剤又は併用する。重症度が進むに連れて複数の薬剤を併用することが望ましい。併用は単剤の用量を増加させることよりも、より効果的で副作用の軽減にもなる。重症以上では吸入ステロイド薬を併用する。
・定期的に使用される治療薬にはスピリーバがあり、1日1吸入で24時間効果があると言われているが、24時間効果が持続しない患者には、短時間作用型気管支拡張薬のテルシガンを息切れした時に使用するように指導している。また、スリピーバは緑内障患者及び前立腺肥大等による排尿障害患者には禁忌になるため、セレベントやホクナリンテープを使用することになる。
・スタチンが気道の炎症を抑制する効果が認められており、COPDに効果があることが最近確認されている。スタチンは高脂血症以外にもいろいろな薬効があり、奥が深いと考えられている。
薬剤師修行ファイルNo.080125:気管支喘息吸入指導
2008年1月研修記録
★喘息治療配合剤アドエアディスカスについて【グラクソ・スミスクライン㈱より】
・アドエアは、喘息コントロールをシンプルにするため、気管支喘息の病態である「気道炎症」と「狭窄」の両方に優れた効果がある。また、投与1日目から優れた呼吸機能改善効果がある。
・アドエアは操作が簡単なディスカス製剤であり、100、250、500の3用量があるため、1剤で幅広い患者への治療が期待できる。
★チーム医療としての気管支喘息吸入指導
・日本における喘息死は、年々減少しており、2006年度で約2700人になっている。しかし、60歳以上の高齢者の喘息死は減少していない。
・日本アレルギー協会が推薦している喘息コントロールテスト(ACT)がある。このテストは5問(喘息の症状、発作止めの吸入薬の使用、息切れなど)からなっており、1問5点で25点満点である。25点で完全な状態(トータルコントロール)、20点~25点で良好な状態(ウェルコントロール)、20点未満で喘息がコントロールされていない状態と判断している。
・喘息治療には4ステップがあり、症状の改善(発作を抑えるためにテオフィリン製剤やβ刺激剤を使用する)→ 肺機能を常に最高に保つ(ピークフローメータで確認する)→ 気道過敏の改善 → 薬剤の減量となる。
・気管支喘息治療の中心となるのが吸入ステロイドであるが、多くの剤型が使用可能となり、その種類も4製品(フルタイド、パルミコート、キュバール、オルベスコ)、7製剤(ドライパウダータイプ<ディスカス>、ロタディスク、エアゾルタイプなど)となっている。
・調剤薬局において、フルタイドディスカスを患者に服薬指導する際に、1.吸入方法のパンフレットのみ配布、2.口頭で吸入方法を指導、3.練習用のフルタイドディカスを用いて吸入方法を指導の3つ方法で実施した結果、吸入アドヒアランスに差はなかった。このことより、操作が簡単なフルタイドディスカスを第一選択薬として使用している。
・フルタイドは「嗄声」の副作用が他の吸入ステロイドよりも多く認められており(6ケ月間使用で約30%嗄声が認められる)、嗄声がある患者(中年女性の楽しみであるカラオケが出来なくなると苦情が多い)には嗄声がほとんど認められないキュバールを使用している。なお、オルベスコは新しい薬剤で1日1回の吸入で良く、嗄声はほとんどないと言われているが、使用実績がない。
・嗄声の副作用は「うがい」をしても防ぐことはできない。声帯までは届かないし、届いた場合は「誤嚥」する。
・パルミコートの利点は、小児や妊婦にも安全であり、小児には疑問もあるが、妊婦には向いている。
・キュバールは自発呼吸が弱い高齢者に向いていると言われているが、その考えは間違いである。エアゾルタイプの吸入剤にはスペーサー(吸入補助器)を使用すべきである。
<Q1>アドエア(100、250、500μg)とフルタイド(50、200、250μg)でフルチカゾンの用量が異なり、多くなっている理由は?
<A1>アドエアは海外での用量に合わせたこともあるが、フルチカゾンの用量が多くなっても副作用は変わらないことや高用量から開始した方が患者のQOLが改善することが考えられる。
<Q2>アスピリン喘息患者に安全な鎮痛・解熱剤はありますか?
<A2>塩基性の鎮痛剤を使用すれば問題はないと考えている。また、PL顆粒やカロナールも使用しており、呼吸困難にはならない。(添付文書には、塩基性鎮痛剤でも使用禁忌になっている医薬品もあるので注意が必要である。)
★喘息治療配合剤アドエアディスカスについて【グラクソ・スミスクライン㈱より】
・アドエアは、喘息コントロールをシンプルにするため、気管支喘息の病態である「気道炎症」と「狭窄」の両方に優れた効果がある。また、投与1日目から優れた呼吸機能改善効果がある。
・アドエアは操作が簡単なディスカス製剤であり、100、250、500の3用量があるため、1剤で幅広い患者への治療が期待できる。
★チーム医療としての気管支喘息吸入指導
・日本における喘息死は、年々減少しており、2006年度で約2700人になっている。しかし、60歳以上の高齢者の喘息死は減少していない。
・日本アレルギー協会が推薦している喘息コントロールテスト(ACT)がある。このテストは5問(喘息の症状、発作止めの吸入薬の使用、息切れなど)からなっており、1問5点で25点満点である。25点で完全な状態(トータルコントロール)、20点~25点で良好な状態(ウェルコントロール)、20点未満で喘息がコントロールされていない状態と判断している。
・喘息治療には4ステップがあり、症状の改善(発作を抑えるためにテオフィリン製剤やβ刺激剤を使用する)→ 肺機能を常に最高に保つ(ピークフローメータで確認する)→ 気道過敏の改善 → 薬剤の減量となる。
・気管支喘息治療の中心となるのが吸入ステロイドであるが、多くの剤型が使用可能となり、その種類も4製品(フルタイド、パルミコート、キュバール、オルベスコ)、7製剤(ドライパウダータイプ<ディスカス>、ロタディスク、エアゾルタイプなど)となっている。
・調剤薬局において、フルタイドディスカスを患者に服薬指導する際に、1.吸入方法のパンフレットのみ配布、2.口頭で吸入方法を指導、3.練習用のフルタイドディカスを用いて吸入方法を指導の3つ方法で実施した結果、吸入アドヒアランスに差はなかった。このことより、操作が簡単なフルタイドディスカスを第一選択薬として使用している。
・フルタイドは「嗄声」の副作用が他の吸入ステロイドよりも多く認められており(6ケ月間使用で約30%嗄声が認められる)、嗄声がある患者(中年女性の楽しみであるカラオケが出来なくなると苦情が多い)には嗄声がほとんど認められないキュバールを使用している。なお、オルベスコは新しい薬剤で1日1回の吸入で良く、嗄声はほとんどないと言われているが、使用実績がない。
・嗄声の副作用は「うがい」をしても防ぐことはできない。声帯までは届かないし、届いた場合は「誤嚥」する。
・パルミコートの利点は、小児や妊婦にも安全であり、小児には疑問もあるが、妊婦には向いている。
・キュバールは自発呼吸が弱い高齢者に向いていると言われているが、その考えは間違いである。エアゾルタイプの吸入剤にはスペーサー(吸入補助器)を使用すべきである。
<Q1>アドエア(100、250、500μg)とフルタイド(50、200、250μg)でフルチカゾンの用量が異なり、多くなっている理由は?
<A1>アドエアは海外での用量に合わせたこともあるが、フルチカゾンの用量が多くなっても副作用は変わらないことや高用量から開始した方が患者のQOLが改善することが考えられる。
<Q2>アスピリン喘息患者に安全な鎮痛・解熱剤はありますか?
<A2>塩基性の鎮痛剤を使用すれば問題はないと考えている。また、PL顆粒やカロナールも使用しており、呼吸困難にはならない。(添付文書には、塩基性鎮痛剤でも使用禁忌になっている医薬品もあるので注意が必要である。)
薬剤師修行ファイルNo.061209:CASE-Jサミット報告書
2006年12月研修記録
★CASE-J(Candesartan Antihypertensive Survival Evaluation in Japan)に学ぶ
・日本人の平均寿命は伸びてきていたが、2005年は平均寿命が低下した。この原因は高齢者の肺炎と心血管イベントの増加である。
・CASE-Jは21世紀における降圧療法のエビデンスを確立するため、日本人の、日本人のための大規模臨床試験が実施された。
・日本で最も使用されているCa拮抗剤であるアムロジピン(ノルバスク、アムロジン)もしくはARB製剤であるカンデサルタン(ブロプレス)をベースに日本人高血圧患者をどのように改善するかを検討するため、4728例が登録され、2群に分けられ、観察期間は平均3.2年で、症例追跡率は97%を超えるなど、極めて質の高い試験となった。欧米のエビデンスに頼らざるを得なかった時代から脱却し、日本の臨床に即したエビデンスに基づく新たな高血圧治療のスタートを意味する。また、医師主導の臨床試験であり、企業の関与がないため、信頼性の高いものである。
・イベント(脳血管系、心、腎及び血管)の発生は、両群に差はなかった。むしろ、カンデサルタン群がアムロジピン群でよりも収縮期血圧が2mmHg高いままの(収縮期血圧が2mmHg高くなると、脳卒中の死亡率を6.4%増加させる)血圧差が続いていたことを考慮すると、現代の日本人の降圧療法にはRA系の抑制による臓器保護作用が必要であることが示唆された。
・カンデサルタンは、より長期に使うことでイベントの発現が減少していくこと、高齢者や腎機能障害例、そして肥満例でイベント発現リスクが低下することなどが明確になった。また、近年、著しい増加が懸念されている糖尿病の新規発症は、カンデサルタン群で発症リスクが36%低下した。
・経年的イベント発現率に変化をみると、カンデサルタン投与群では、経年的にイベント発現率が低下していくことを認めた。累積イベント発現率の曲線も、途中で交差(最初はアムロジピン投与群の方がイベント発生は低い)している。RA系抑制による臓器保護や臓器障害のリセットが発揮されたことを示唆するものと考える。
・世界的にメタボリックシンドロームの増加が問題になっている。日本のメタボリックシンドロームは、欧米に見られる肥満度の高い糖尿病型優位型と異なり、肥満度が軽い高血圧型優位型である。CASE-Jにより、この高血圧優位型メタボリックシンドロームの生命予後をカンデサルタンが改善し、それに加えて糖尿病の新規発症を抑制することが明らかになった。この新知見は日本や同等の肥満度を有するアジア諸国にとどまらず、欧米諸国の高血圧やメタボリックシンドローム治療ガイドラインに強いインパクトを与えることになる。
・高血圧の発症に関与する因子は、血管リモデリングの亢進や内皮機能障害、脳の交感神経系の過剰活性化、腎の組織障害、さらには、インスリン抵抗性の惹起等が考えられる。しかし、これらのほとんどはアンジオテンシンⅡの活性化が引き金となっている。
・カンデサルタン投与後速やかに約10mmHg低下した収縮期血圧は、カンデサルタンの投与中止により、上昇するが、プラセボと同レベルまで上昇することはなく、中止後2年を経過しても2mmHg低い状態であった。この結果は単に降圧していたから得られたのではなく、アンジオテンシンⅡをブロックした結果として得られたと考えられる。
・CASE-Jの結果より、従来の降圧療法はCa拮抗剤がベースであったが、今後はARBがベースになってくる。また、CASE-Jは2006年10月に福岡県で開催された国際高血圧学会で報告されており、高い評価を得ている。
★CASE-J(Candesartan Antihypertensive Survival Evaluation in Japan)に学ぶ
・日本人の平均寿命は伸びてきていたが、2005年は平均寿命が低下した。この原因は高齢者の肺炎と心血管イベントの増加である。
・CASE-Jは21世紀における降圧療法のエビデンスを確立するため、日本人の、日本人のための大規模臨床試験が実施された。
・日本で最も使用されているCa拮抗剤であるアムロジピン(ノルバスク、アムロジン)もしくはARB製剤であるカンデサルタン(ブロプレス)をベースに日本人高血圧患者をどのように改善するかを検討するため、4728例が登録され、2群に分けられ、観察期間は平均3.2年で、症例追跡率は97%を超えるなど、極めて質の高い試験となった。欧米のエビデンスに頼らざるを得なかった時代から脱却し、日本の臨床に即したエビデンスに基づく新たな高血圧治療のスタートを意味する。また、医師主導の臨床試験であり、企業の関与がないため、信頼性の高いものである。
・イベント(脳血管系、心、腎及び血管)の発生は、両群に差はなかった。むしろ、カンデサルタン群がアムロジピン群でよりも収縮期血圧が2mmHg高いままの(収縮期血圧が2mmHg高くなると、脳卒中の死亡率を6.4%増加させる)血圧差が続いていたことを考慮すると、現代の日本人の降圧療法にはRA系の抑制による臓器保護作用が必要であることが示唆された。
・カンデサルタンは、より長期に使うことでイベントの発現が減少していくこと、高齢者や腎機能障害例、そして肥満例でイベント発現リスクが低下することなどが明確になった。また、近年、著しい増加が懸念されている糖尿病の新規発症は、カンデサルタン群で発症リスクが36%低下した。
・経年的イベント発現率に変化をみると、カンデサルタン投与群では、経年的にイベント発現率が低下していくことを認めた。累積イベント発現率の曲線も、途中で交差(最初はアムロジピン投与群の方がイベント発生は低い)している。RA系抑制による臓器保護や臓器障害のリセットが発揮されたことを示唆するものと考える。
・世界的にメタボリックシンドロームの増加が問題になっている。日本のメタボリックシンドロームは、欧米に見られる肥満度の高い糖尿病型優位型と異なり、肥満度が軽い高血圧型優位型である。CASE-Jにより、この高血圧優位型メタボリックシンドロームの生命予後をカンデサルタンが改善し、それに加えて糖尿病の新規発症を抑制することが明らかになった。この新知見は日本や同等の肥満度を有するアジア諸国にとどまらず、欧米諸国の高血圧やメタボリックシンドローム治療ガイドラインに強いインパクトを与えることになる。
・高血圧の発症に関与する因子は、血管リモデリングの亢進や内皮機能障害、脳の交感神経系の過剰活性化、腎の組織障害、さらには、インスリン抵抗性の惹起等が考えられる。しかし、これらのほとんどはアンジオテンシンⅡの活性化が引き金となっている。
・カンデサルタン投与後速やかに約10mmHg低下した収縮期血圧は、カンデサルタンの投与中止により、上昇するが、プラセボと同レベルまで上昇することはなく、中止後2年を経過しても2mmHg低い状態であった。この結果は単に降圧していたから得られたのではなく、アンジオテンシンⅡをブロックした結果として得られたと考えられる。
・CASE-Jの結果より、従来の降圧療法はCa拮抗剤がベースであったが、今後はARBがベースになってくる。また、CASE-Jは2006年10月に福岡県で開催された国際高血圧学会で報告されており、高い評価を得ている。
薬剤師修行ファイルNo.080120:統合失調症の薬物治療について
2008年1月研修記録
★新規抗精神病薬エビリファイの薬理作用について【大塚製薬㈱学術部より】
・エビリファイは大塚製薬が開発し、最初にアメリカで承認され販売を開始し、日本では2006年6月から販売を開始している統合失調症治療剤である。
・統合失調症はドパミン神経の異常が原因とされている。エビリファイはドパミンD2受容体パーシャルアゴニスト(部分アゴニスト)として作用することにより、ドパミン作動性神経伝達が過剰活動状態の場合にはアンタゴニストとして作用し、神経伝達を抑制する。また、ドパミン作動性神経伝達が低下している場合にはアゴニストとして作用し、神経伝達を活性化する。このような作用により、陽性・陰性症状に効果がある。
・エビリファイの副作用には「不眠」がある。しかし、服用方法を工夫(半減期が約16時間と長いため、1日1回朝食後に服用する)することで不眠の副作用は回避できる。
・大塚製薬㈱ではプレタール、ムコスタ、メプチン及びエビリファイを開発し、販売している。疾患では
関連性がないと思われるが、構造式に共通点があり、すべて同じキノリノン骨格を有している。
★統合失調症の薬物治療について
・統合失調症の病因として、明らかな成因は不明であるが、疾患の経過から想定されたストレス-脆弱性仮説と、神経伝達物質の変化から導き出したドパミン仮説が広く支持されている。
・統合失調症が発症する前ぶれとして、少しずつ変化が起こっており、神経衰弱状態、抑うつ症状、脅迫などの神経症症状がみられる。また、引きこもり、不登校や欠勤などの行動面の変化がある。IQ(知能指数)は70以下で知的障害があるが、70~80で統合失調症と言われている。
・1952年クロルプロマジン(ウインタミン、コントミン等)の統合失調症に対する効果が認められて以来、定型抗精神病が長い間治療の中心であった。なお、クロルプロマジンは麻酔薬として開発された経緯があるが、鎮静作用が認められたため、抗精神病薬となった。
・定型抗精神病薬は医師が最も懸念している錐体外路性の副作用(EPS)が多く認められており、錐体外路性の副作用が少なく、陰性症状にも効果がある非定型抗精神病薬が1996年から使用されるようになった。
・非定型抗精神病薬にも投与量が多くなれば、EPSが多いこと、また、陰性症状が改善しない場合がある。エビリファイはEPSが用量依存的に出現せず、不安や抑うつに対する効果もあり、陰性症状も改善する。
・エビリファイはドパミンパーシャルアゴニストであり今までの非定型抗精神病とは作用機序が異なり、ドパミン受容体への親和性は非常に強い薬剤である。例えば、リスペリドンにエビリファイを上乗すると、脳内のドパミン受容体はリスペリドンからエビリファイに置き換わるもとの想定できる。高用量のエビリファイを一挙に上乗せしてしまうと、前薬がドパミン受容体から急速に離脱してしまい、その離脱による副作用が出現することになる。
・エビリファイへのスイッチングのキーポイントは、①基本的には、上乗せ漸増漸減法。原則として6mg/日を前薬に上乗せする、②18mgまでまず増量し、しばらく観察する、③前薬の漸減は時間をかけて慎重にする、④エビリファイの至適用量も注意深く検討する、⑤抗パーキンソン剤の漸減は最後にする、⑥患者・家族と治療目的を共有する。エビリファイの治療により得られるメリットやスイッチング方法を患者・家族に説明する。
・エビリファイの警告として、糖尿病患者には慎重投与になっているが、海外でのエビデンスとして、糖尿病患者の危険性はなく、慎重投与しなくても良い。
・統合失調症の薬物治療は多剤併用が多いが、可能なかぎり単剤で治療すべきである。再発の原因は薬が多いため、薬を服用しなくなるためである。
・フマル酸クエチアピンには25mg錠と100mg錠の2種類の錠剤しかないが、50mg錠が存在しても良いように思われるが、急激に増量しても副作用が発現しないため、50mg錠が存在していない。
<Q1>統合失調症治療剤で適用外使用がありますか?
<A1>不安や抑うつ症状に使用する場合がある。
<Q2>統合失調症の処方せんで用量が逸脱している場合(高用量)、疑義照会をしても処方せん通り調剤して下さいと処方医師に言われて調剤しているが、どういう意図がありますか?
<A2>個々により状況が異なるが、高用量による副作用を利用している場合がある。ドパミン以外の受容体(セロトニン)を占有する必要があるためである。
<Q3>リストカット(自殺志願者)の患者にはどのような薬剤が処方され、また、薬局ではどのような対応をする必要がありますか?
<A3>リストカットの患者には、抗不安薬や気分安定剤であるリーマスなどを処方している。また、患者への対応は薬局の守備範囲を超えているが、気分を和らげる言葉が望ましいが、深入りしない方が良い。深入りすると、主治医と意見が異なり、面倒なことになる。
【最近のニュース】統合失調症治療剤の新薬「ロナセン錠」2008年1月25日
★新規抗精神病薬エビリファイの薬理作用について【大塚製薬㈱学術部より】
・エビリファイは大塚製薬が開発し、最初にアメリカで承認され販売を開始し、日本では2006年6月から販売を開始している統合失調症治療剤である。
・統合失調症はドパミン神経の異常が原因とされている。エビリファイはドパミンD2受容体パーシャルアゴニスト(部分アゴニスト)として作用することにより、ドパミン作動性神経伝達が過剰活動状態の場合にはアンタゴニストとして作用し、神経伝達を抑制する。また、ドパミン作動性神経伝達が低下している場合にはアゴニストとして作用し、神経伝達を活性化する。このような作用により、陽性・陰性症状に効果がある。
・エビリファイの副作用には「不眠」がある。しかし、服用方法を工夫(半減期が約16時間と長いため、1日1回朝食後に服用する)することで不眠の副作用は回避できる。
・大塚製薬㈱ではプレタール、ムコスタ、メプチン及びエビリファイを開発し、販売している。疾患では
関連性がないと思われるが、構造式に共通点があり、すべて同じキノリノン骨格を有している。
★統合失調症の薬物治療について
・統合失調症の病因として、明らかな成因は不明であるが、疾患の経過から想定されたストレス-脆弱性仮説と、神経伝達物質の変化から導き出したドパミン仮説が広く支持されている。
・統合失調症が発症する前ぶれとして、少しずつ変化が起こっており、神経衰弱状態、抑うつ症状、脅迫などの神経症症状がみられる。また、引きこもり、不登校や欠勤などの行動面の変化がある。IQ(知能指数)は70以下で知的障害があるが、70~80で統合失調症と言われている。
・1952年クロルプロマジン(ウインタミン、コントミン等)の統合失調症に対する効果が認められて以来、定型抗精神病が長い間治療の中心であった。なお、クロルプロマジンは麻酔薬として開発された経緯があるが、鎮静作用が認められたため、抗精神病薬となった。
・定型抗精神病薬は医師が最も懸念している錐体外路性の副作用(EPS)が多く認められており、錐体外路性の副作用が少なく、陰性症状にも効果がある非定型抗精神病薬が1996年から使用されるようになった。
・非定型抗精神病薬にも投与量が多くなれば、EPSが多いこと、また、陰性症状が改善しない場合がある。エビリファイはEPSが用量依存的に出現せず、不安や抑うつに対する効果もあり、陰性症状も改善する。
・エビリファイはドパミンパーシャルアゴニストであり今までの非定型抗精神病とは作用機序が異なり、ドパミン受容体への親和性は非常に強い薬剤である。例えば、リスペリドンにエビリファイを上乗すると、脳内のドパミン受容体はリスペリドンからエビリファイに置き換わるもとの想定できる。高用量のエビリファイを一挙に上乗せしてしまうと、前薬がドパミン受容体から急速に離脱してしまい、その離脱による副作用が出現することになる。
・エビリファイへのスイッチングのキーポイントは、①基本的には、上乗せ漸増漸減法。原則として6mg/日を前薬に上乗せする、②18mgまでまず増量し、しばらく観察する、③前薬の漸減は時間をかけて慎重にする、④エビリファイの至適用量も注意深く検討する、⑤抗パーキンソン剤の漸減は最後にする、⑥患者・家族と治療目的を共有する。エビリファイの治療により得られるメリットやスイッチング方法を患者・家族に説明する。
・エビリファイの警告として、糖尿病患者には慎重投与になっているが、海外でのエビデンスとして、糖尿病患者の危険性はなく、慎重投与しなくても良い。
・統合失調症の薬物治療は多剤併用が多いが、可能なかぎり単剤で治療すべきである。再発の原因は薬が多いため、薬を服用しなくなるためである。
・フマル酸クエチアピンには25mg錠と100mg錠の2種類の錠剤しかないが、50mg錠が存在しても良いように思われるが、急激に増量しても副作用が発現しないため、50mg錠が存在していない。
<Q1>統合失調症治療剤で適用外使用がありますか?
<A1>不安や抑うつ症状に使用する場合がある。
<Q2>統合失調症の処方せんで用量が逸脱している場合(高用量)、疑義照会をしても処方せん通り調剤して下さいと処方医師に言われて調剤しているが、どういう意図がありますか?
<A2>個々により状況が異なるが、高用量による副作用を利用している場合がある。ドパミン以外の受容体(セロトニン)を占有する必要があるためである。
<Q3>リストカット(自殺志願者)の患者にはどのような薬剤が処方され、また、薬局ではどのような対応をする必要がありますか?
<A3>リストカットの患者には、抗不安薬や気分安定剤であるリーマスなどを処方している。また、患者への対応は薬局の守備範囲を超えているが、気分を和らげる言葉が望ましいが、深入りしない方が良い。深入りすると、主治医と意見が異なり、面倒なことになる。
【最近のニュース】統合失調症治療剤の新薬「ロナセン錠」2008年1月25日
登録:
投稿 (Atom)