薬剤師修行ファイルNo.071115:CKD(Chronic Kidney Disease)

2007年11月修行記録
★ミカルディス錠の最新情報【日本ベーリンガーインゲルハイム㈱より】
・ミカルディスは、他のARBと比較して、24時間にわたり持続的な降圧作用を発揮し、早朝の血圧コントロールに優れており、胆汁からほぼ100%排泄されるため、腎機能低下患者にも使用しやすい。
・ミカルディスは、インスリン抵抗性に関与しているペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γの活性化作用がある。臨床的には、糖・脂質代謝異常の改善及びインスリン抵抗改善作用が期待されており、メタボリックシンドローム患者に適している。

★CKD対策の重要性と治療指針
・日本において、慢性透析患者は27万人になっており、毎年1万人前後増え続けている。今や、国民500人に1人が透析を受け、透析にかかる医療費が年間1兆円を超える時代を迎えている。
・「尿蛋白陽性などの腎疾患の存在を示す所見」、もしくは「腎機能低下(糸球体濾過量が60mL/min/1.73m2未満)」が3か月以上続く状態を慢性腎臓病(以下、CKDとする)と定義する。
・2007年7月にCKD診療ガイドが発刊され、かかりつけ医を対象としてCKDの概念から定義、重要性、診断法に至るまでわかりやすく記載している。
・CKDは心血管疾患及び末期腎不全発症の重要な因子であり、CKDの治療にあたって、ます第一に生活習慣の改善(禁煙、減塩、肥満の改善など)を行う。血圧の管理は130/80mmHg未満であり、緩徐に降圧することを原則にする。降圧にはACE阻害薬やARBを第一選択とし、必要に応じて他の降圧薬を併用する。ただし、血清クレアチニン値や高カリウム血症に注意する。
・ 腎排泄性の薬剤は腎機能に応じて減量や投与間隔の延長を行う必要がある。また、非ステロイド抗炎症薬、造影剤、脱水などは、腎機能低下のリスクになる。

★糖尿病性腎症の診断と治療
・世界的に糖尿病患者が年々増加し、昨日になるが、11月14日を「世界糖尿病デー」とした。糖尿病のシンボルカラーである(国連のシンボルカラーでもある)青色で通天閣、神戸ポートタワー、東京タワーなど世界の名所(エッフェル塔、万里の長城)をライトアップされた。
・糖尿病性腎症は早期に診断し、かつ的確に治療することが必要不可欠である。早期診断基準が改定され、従来の「24時間蓄尿」からより簡便な「随時尿」で診断が下せるようになっている。微量アルブミン尿が重要な評価項目である。
・ ARB製剤が糖尿病性腎症に効果がある理由として、降圧作用と輸出細動脈を拡張させることによって、腎糸球体内圧を減少させる。ニューロタンは糖尿病性腎症の適用があるが、臨床の症例数(100例以下)が少ない。そのため、ミカルディスとオルメテックの2品目で糖尿病性腎症に関する大規模臨床試験を実施しており、近々臨床試験が終了する予定であり、糖尿病性腎症の効能追加が期待されている。