2007年11月修行記録
★製品情報提供エプレレノン(商品名:セララ)【ファイザー㈱より】
・セララ錠は、11月13日(火)から発売、世界初の選択的アルドステロンブロッカーであり、新しい作用機序の高血圧治療剤である。セララの商品名の由来は(SELective Aldosteron Receptor Antagonist)の大文字を取ってセララと命名した。
・アルドステロンはレニン・アンジオテンシン系の最下流(アンジオテンシンノーゲン→アンジオテンシンⅠ→アンジオテンシンⅡ→アルドステロン)に存在し、血圧上昇(水・Na再吸収、中枢神経、血管)及び臓器障害(心臓、腎臓、脳、血管)に関係するホルモンである。そのため、高血圧や臓器障害の抑制において、アルドステロンを直接ブロックすることが重要である。
・セララは、海外では心不全治療剤で上市されているが、国内では高血圧治療剤で販売し、臓器保護作用で特に心臓の保護作用がある。セララは、アルダクトンAと異なり、選択的にミネラロコルチコイドに結合し、アルドステロンの作用を直接ブロックするため、アルダクトンの副作用である女性化乳房や月経関連障害などの性ホルモン受容体には作用しない。・ セララの用法・用量は1日1回50mg投与であるが、効果不十分の場合は100mgまで増量できる。ただし、重大な副作用として、高カリウム血症が認められるため、注意する必要がある。また、薬価はニューロタンの薬価が参照され、ニューロタン錠25mg(97.9円)、ニューロタン錠50mg(186.8円)であり、セララ錠50mg(93.4円)、セララ錠100mg(178.2円)である。
★アルドステロンの臓器保護障害作用と新規アルドステロン拮抗薬の臨床・人類(哺乳類)は古代には海に生息していたが、その後、陸で生活するようになり、海水だとNaが豊富であるが、陸で生活するにはNaを吸収する機構が必要である。アルドステロン(ホルモン)は必要なホルモンであるが、最近は負の遺産になっている。
・レニン・アンジオテンシン系のアンジオテンシンノーゲン→アンジオテンシンⅠの過程でレニンが関与する。セララは最下流に存在するが、現在最上流であるレニン阻害剤の降圧剤が開発されており、3年後には上市される予定である。
・ARBは、優れた薬剤であるが、最近、アルドステロンブレイクスルー現象(長期間服用すると、効果が弱くなる)があるため、セララとの併用も必要となる。
・高血圧治療剤は、ABCDαと覚える。「A」はACE阻害剤及びARBであり、「B」はβ遮断剤、「C」はCa拮抗剤、「D」は(Diuretic:利尿剤)、「α」はα遮断薬である。
・セララの使用方法は、専門家の医師でも意見が分かれており、①単独使用、②他の降圧剤との併用使用、③糖尿病合併症の高血圧患者への使用、④心疾患を伴う高血圧患者への使用、⑤低レニン性高血圧患者への使用などが考えらる。しかし、現時点において、データは十分でないため、今後のエビデンスが必要である。
・エプレレノンの開発は流転の運命があり、当初、チバガイギー(レニン・アンジオテンシン系薬剤の開発に力を入れていた製薬会社)が新化合物として、発見された。その後、日本モンサント→ファルマシア→ファイザーと開発が引き継がれた経緯がある。