薬剤師修行ファイルNo.071027:関節リウマチ

2007年10月修行記録
★非ステロイド性消炎・鎮痛剤(COX-2選択的阻害剤)「セレコックス」の製品紹介【アステラス製薬㈱より】
セレコックスは、1992年に米国サール社(現米国ファイザー社)で合成された世界初のコキシブ系の非ステロイド性消炎・鎮痛剤であり、COX-2をターゲットとした分子設計に基づくドラックデザインにより初めて創薬され、COX-1よりもCOX-2への阻害活性が高く、十分な消炎・鎮痛作用を示す一方、消化管及び血小板に対する影響は少ない。
・セレコックスは、コキシブ系薬剤であり、コキシブ系薬剤であったロフェコキシブ(メルク社)は心筋梗塞など血栓性合併症の頻度が高くなり、販売を中止しており、セレコックスには警告文書として、心血管性血栓塞栓性事象のリスクを記載している。心血管系有害事象を防ぐために、冠動脈バイパス再建術の周術期患者及び重篤な心機能不全のある患者は使用禁忌であり、心血管系疾患の既往又は合併、心機能障害の既往などは慎重投与でお願いしたい。
・セレコックスの用法・用量として、間接リウマチは1回100~200mgを1日2回、変形性間接症は1回100mgを1日2回になっている。ただし、使用上の注意として、①長期にわたり漫然と投与しない、②2~4週間を経過しても治療効果に改善がみとめられない場合は他の治療法の選択について考慮すること、③1年以上の長期の安全性は確立されていないので考慮することである。
・COX-2阻害剤は一般的に鎮痛効果が弱いと言われているが、セレコックスとロキソニンとの比較試験において、鎮痛効果は同等であり、消化管障害の副作用(特に、潰瘍の発症率)はセレコックスとロキソニンを比較して、セレコックスの方が有意に減少した。

★関節リウマチによる股関節破壊について
・股関節(足の付け根にある関節)は、関節リウマチで障害されることが多い関節の一つである。リウマチの炎症性滑膜のために骨が溶ける。痛んだ骨や軟骨に体重がかかることで関節が破壊し、疼痛は強く、歩行困難になる。
・股関節破壊の治療において、早期の場合は、生物学的製剤(レミケードエンブレル)の投与で改善できるが、そうでない場合は手術が必要になる場合が多い。重要なのは、手術でも早期の方が治療成績は良好であり、薬物治療から手術への治療方針が手遅れにならないようにすることである。
・生物学的製剤で効果がない場合、手術になるが、生物学的製剤を休薬する(休薬しないと感染症になる)必要がある。レミケードで4週間、エンブレルで2週間の休薬期間が必要である。
・アラバは、リウマトレックスと同様に関節破壊の抑制効果があり期待されていたが、予想以上に重大な副作用である「間質性肺炎」が発生し、最近は専門医師でも使用に慎重であり、あまり使用されていないのが現状である。
・関節リウマチは不明な部分が多いが、最近、関節リウマチの遺伝子が解明されており、今後は遺伝子治療が期待される。