薬剤師修行ファイルNo.071122:インフルエンザ

2007年11月修行記録
★インフルエンザウイルス迅速診断キット「キャピリアFlu A+B」製品紹介【アルフレッサファーマ㈱より】
・日本において、インフルエンザの診療及び研究が進んだ理由はふたつある。インフルエンザ迅速診断キットが開発されたこと及び抗インフルエンザ薬が使用可能になったことである。 
・インフルエンザの迅速測定診断キットは、現在10数種類が市販されているが、「キャピリアFlu A+B」は3分間で約90%の検体が測定可能であり、信頼度も高い。また、トリインフルエンザにも反応性がある。

★インフルエンザに対する備え
・インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型の3種類がある。A型は感染力が強く大流行する。B型はA型よりも症状は軽く済むが、乳児は重症化する場合がある。C型は症状がなく、感染したことも気づかない場合もあり、心配しなくてよい。
・2006/2007年期において、日本臨床内科医会の全国集計では、A型が1325名、B型が618名でA型の方がB型の約2倍であった。流行の中央値は3月11日頃で、過去6シーズンで最も遅い。年齢構成は10代でB型優位であり、B型の88.8%が20歳以下であった。
・タミフル服用後の異常行動がマスコミ報道で有名になった。厚労省がまとめたデーターによると、タミフル服用後で211名、リレンザ服用後で10名、シンメトリル服用後で7名、インフルエンザ治療薬を服用していない場合で27名が異常行動を発生している。薬の使用量から考えて、タミフルだけが異常行動を発生するとは考えにくい。
・タミフル服用後の異常行動について、因果関係を調査することになっていたが、調査班の委員が製薬会社からの寄付を受けていたことが判明し、調査が中断されており、結論は出ていない。中途半端な状態ではあるが、タミフルの緊急安全性情報に10歳以上の未成年者には原則使用を控えることになった。10歳未満は保護者の管理(小児・未成年者が一人にならないようにする)がタミフル服用後、2日間必要である。保護者が10歳未満の小児・未成年者を管理できるかどうかは疑問である。
・タミフルとリレンザの効果を比較検討した結果、A型では同等であったが、B型ではリレンザの方がタミフルより効果がある。タミフルは内服して解熱するまでの平均時間が54時間かかるが、リレンザは30数時間である。
・インフルエンザは冬の疾患であったが、沖縄では夏にインフルエンザということがめずらしいことではなくなった。異常気象の影響なのか、インフルエンザの通年性なのか不明である。
・スタチン系薬剤がC型肝炎ウイルス量を低下させる効果が認められており、インフエンザウイルス量を低下させる可能性があるため、スタチン服用患者のインフルエンザ罹患率の調査が実施されている。

<Q1>小児患者に対して、リレンザはネプライザー(噴霧器)を使用しても効果がありますか?
<A1>実際に実施したことはないが、おそらくネプライザーを使用しても効果があると思われる。
<Q2>リレンザ及びタミフルの投与日数が5日間の根拠は?
<A2>初期の臨床試験において、5日間投与で評価されたためである。3日間で十分ではないかとの意見もあるが、3日間服用して熱が下がってもウイルスは陽性であることが多い。ウイルスの抑制を考えると、5日間投与は妥当と考えられる。
<Q3>妊婦のインフルエンザ予防接種は可能ですか?
<A3>アメリカでは妊婦の予防接種は問題なく実施されているが、日本では慎重になっており、安定期に入る16週後から実施されている。医療に対する考え方の違いがあり、アメリカでは効果が重視されるが、日本では副作用が重視されるためと考えられる。