2007年5月研修記録
★医薬品安全管理者の責務 ~業務手順書作成上の留意点~
・改正医療法の成立過程として、医療安全に関する行政の取り組みがあり、医療安全推進総合対策が平成14年4月に策定され、医療安全対策検討ワーキングの最終報告書が平成17年5月に出されている。最終報告書には当面取り組むべき課題(2~3年後に法律になる)として、安全管理のための指針に加え、医薬品の安全使用のための業務手順書の整備をおこなうことが明記されている。平成19年4月の医療法施行規則に安全管理のための指針に加え、医薬品の安全使用のための業務手順書の作成の実施が明記された。
・業務手順書は自施設のものであり、世の中に二つと同じものは存在しない。自施設の過去・現在(未来)を把握し、自施設の体力に合致した分相応の手順書を作成すること。業務手順書の改訂は前進あるのみ、後退は許されない。また、業務手順書に完成はないが、数年後を目標に、一定レベルは必要(定期的な見直しが必要)であり、7月に不存在は違法であるが、完成品の装備を求められているわけではない。7月にはとりあえず業務手順書の存在は必要である。
・業務手順書の作成上の留意点として、決まった方式が定められているわけではなく、本体部分には一般則を記載し、詳細は別添資料付という形式が望ましい。また、「毎日点検する」とか「週1回点検する」という表現でなく、「定期的に点検する」という表現が望ましい。「定期的」は抽象的で便利な表現であり、具体的な表現にすると自分で自分の首を絞めることになる。完成度は高くなくて良い。(病院薬剤師向けの説明会であり、薬局の場合は薬剤師会のマニュアルに従って作成するのが望ましいと思われる)
・日病薬には日薬のように「薬局における安全管理指針のモデル」や「医薬品の安全使用のための業務手順書」作成マニュアル(薬局版)」を配布しないのかとの問い合わせがあるが、今回新たに安全管理が求められた診療所、歯科診療所、薬局は時間的余裕もなく、初めてのことなので会員に対して徹底を図っている。病院は既に安全管理に関する手順書等を備えており、業務手順書はその範囲内と考えており、現時点において、マニュアルは発行していない。会員からの批判があることも承知している。
・今年度は手順書の作成と手順書通り業務が行われているかのチェックに関してはパイロットスタディ段階であることから、来年度以降の見直しが重要である。(7月以降の対応が極め重要)
★高齢者に優しいベネット錠17.5mgのブリスターカード~医薬品の表示に対する人間工学的アプローチ~
・人工物とは製造者と仲介者から使用者へのメッセージであり、医薬品の場合は、製薬企業と医師・薬剤師・看護師から患者へのメッセージになる。
・人工物の有用性と安全性には、ユーティリティとユーザビリティがある。ユーティリティには機能と性能があり、ユーザビリティには操作性(取り扱いのしやすさ、医薬品の使用性であり、物の安全性でもある)、認知性(わかりやすさ、医薬品の表示であり、使用の安全性でもある)及び快適性(心地よさ)がある。
・ベネット1週間製剤ブリスターカード(PTPシートを台紙に挟んで一体化させたパッケージ付PTP)開発コンセプトは高齢者に見やすい、使いやすい及びわかりやすいである。また、医療関係者には取り違えを防止する、服薬指導がしやすい及び薬剤管理がしやすいである。
・高齢者への服薬指導は工夫が必要であり、高齢者の特徴として、視力・聴力の低下及び医師の指導には素直に従うものの、わからないことは自分で勝手に判断することがある。ベネット1週間製剤の問題点として、日本国内では比較的なじみの薄い「1週間に1回服用」のため、飲み忘れが考えられる。また、連日投与製剤と商品名が類似している。ブリスターカードの表示に工夫する必要がある。
・高齢者(66歳~99歳で約8割が女性―ベネットの使用割合は女性が多いためー)に好きな色について、ランキング調査をした結果、好きな色として、1位はピンク、2位はブルー、3位はパープルであり、幸せをイメージする色として、1位はピンク、2位はブルー、3位はグリーンであった。ピンクのイメージには優しい感じがする、健康的に見える、心が元気になるなどがあり、ベネットはピンクを使用した。ベネット錠のブリスターカードには表示文字の大きさと色(「週1回1錠のむ」を赤のベタに白い文字にしており、最も印象に残る表示)の工夫がされている。