2007年8月研修記録
★これからの後発品
・医療費抑制策の施策として、後発医薬品の使用促進があり、今年4月から適用されている新認定基準薬局制度の項目にも患者の後発医薬品選択に対応できる体制を整備しているが必須条件になっている。
・来年改訂される処方せん様式は、後発品の処方が標準になり、医師が必要だと判断した場合だけ、新薬を処方する書式に変更することになる予定である。
・オレンジブックは充実されており、2006年12月末4265品目が終了しており、4265品目中3906品目が適合し、359品目が不適合になった。品質確保に厳しい対応をしている。
・ジェネリック薬の販売名は統一されており、今年7月から実施(今年7月薬価収載された後発品含む)されており、販売名は「一般名」+「剤形」+「含量」+「会社名」となる。現在販売されている後発医薬品は、10年後をめどにすべてのジェネリックが一般名になる。
・ジェネリックの薬価収載は年1回(7月)であったが、今年度は7月と11月の年2回になり、今後は新薬並みに年4回になる可能性がある。
★医療行政の動向と今後の薬局経営
・日本は医療費(日本の医療費は、海外と比較すると安い)を抑制するために、多くの対策が実行されようとしている。しかし、この動きは日本だけであり、世界的には医療費抑制の動きはない。これは保健制度の違いである。
・日本の医療のしくみは①皆保険制度、②フリーアクセス(公平な医療であり、患者が医院を自由に選択できる)、③原則出来高払いによる診療報酬制度、④自由開業制の4本柱になっている。皆保険制度は守られていくと思われるが、その他の制度は見直される可能性がある。
・医療保険制度を維持する為には医療費の抑制、自己負担の増加、保険料の増加が考えられるが、公費医療の患者負担も考える必要がある。
・在宅医療推進のため、医療用麻薬が円滑に提供される体制整備が来月から施行される。麻薬処方せんに記載された分量の麻薬を調剤出来ないときに限り、麻薬小売業者間(問屋、薬局等)の医療用麻薬の譲渡・譲受を可能になる。現在の麻薬小売業者の免許取得率は50%台であり、免許取得率を上げる必要がある。
・患者が薬局を選ぶときに重視する点は①薬の説明が十分でわかりやすい、②薬剤師や従業員の対応がよい、③気軽に質問・相談が出来る、④薬の情報が書かれた文書をくれる、⑤薬局で私の薬の記録を付け、薬の飲み合わせや副作用をチェックしていてくれるである。
・基準薬局の取得率は約35%になっているが、今後はハードルが高くなることが予測されるため、取得率の低下が予測されている。
・薬局として、今後取り組むべき課題として、①薬学6年制での実務実習受け入れ、②OTC医薬品への取り組み(登録販売者)、③法改正への対応、④薬局製剤の取り組み、⑤視野を広げた見方ができる(すべては勉強から薬学のみならず接遇、雑学等)、⑥情報公開制度を踏まえての対応がある。強いものが生き残るとは限らない。時流を読み取り変化に対応できるものが生き残る。
★最新の高血圧治療
・高血圧は血管病であり、心・脳血管イベントのリスク要因になるため、血圧は下げる必要がある。最近は糖尿病合併症(糖尿病も血管病)の患者が多く、ガイドラインに従って130/80mmHg未満にするための治療をしている。更に糖尿病性腎症患者で尿蛋白1g/日以上の場合、125/75mmHg未満を達成する必要がある。
・糖尿病合併症の高血圧患者の第一選択薬はARBになる。ARBは糖尿病の抑制効果がある。
・早朝高血圧患者は脳卒中の危険因子であり、寝る前にカルデナリン(α遮断薬)又はアテレック(Ca拮抗薬)を処方している。重症の早朝高血圧患者の場合はアダラートCRを使用しているが、心拍数が上昇するため、テノーミンなどのβ遮断薬を併用処方している。
・左腕と右腕の血圧はほぼ同じになるが、収縮期血圧20mmHg以上差がある場合、狭窄を考える必要がある。