薬剤師修行ファイルNo.071116:尖圭(せんけい)コンジローマ

2007年11月研修記録
★ベセルナクリームの紹介【持田製薬㈱より】
・ベセルナクリームの効能・効果は、性感染症(以前は性病と言われていた)である尖圭コンジローマ(外性器又は肛門周囲に限る)である。日本初の尖圭コンジローマ治療薬であり、来月中旬に販売を開始する予定である。
・ベセルナクリームの用法・用量は、1日1回、週3回、就寝前に塗布し、起床後に塗布した薬剤は石鹸を用い、水又は温水で洗い流す。貯法は25℃以下のため、冷蔵庫保存が望ましい。包装は12包で3連(1週間分)×4になっており、4週間分である。
・市販直後調査が承認条件になっており、ベセルナクリームを調剤薬局で購入された場合は、処方医に確認して持田製薬MRが、調剤薬局に説明に伺う。

★尖圭(せんけい)コンジローマの治療と診断
・性感染症は年々増加しており、特に10~20代に多く認められている。コンドームの生産量が年々減少し、性感染症は年々増加しており、反比例の関係である。コンドームは避妊のイメージが強いが、性感染症とエイズの予防に役立っている。
・尖圭コンジローマは、ヒト乳頭ウイルスの感染症であり、そのほとんどは性行為により伝播する性感染症である。潜伏期間が平均2.8ヶ月を要するため、感染機会を特定できない。
・尖圭コンジローマに罹患しても約25%は自然消失するが、残り75%は治療する必要がある。臨床症状は男女とも外性器又は肛門周囲にカリフラワー状の結節(イボのようなもの)が多発する。一般に自覚症状は欠くが時に痒み、疼痛を訴える場合がある。
・尖圭コンジローマの治療には凍結療法、レーザー蒸散、電気焼灼、外科的切除などの外科的療法がある。また、薬物療法として、保険適用外であるが、5-FU軟膏の外用が使用されている。しかし、潰瘍を生じることがあるため、十分な注意が必要である。欧米ではポドフィリンが使用されており、効果はきわめて高い。ただし、日本では細胞毒性や催奇形性の問題から承認されていない。
・ベセルナクリームはインターフェロン等のサイトカインを誘導するとともに細胞性免疫応答を賦活することにより抗ウイルス作用を及ぼす薬剤である。1997年に米国FDAより尖圭コンジローマ治療剤として認可され、翌年には欧州で一括承認され、広く世界中で使用されている。
・ベセルナクリームの副作用は82.8%と高く、その主なものは紅斑、表皮剥離、びらん、そう痒感、灼熱感などである。しかし、副作用は効果でもあり、副作用が発生し、薬剤を中止した後に尖圭コンジローマが治癒する場合が多い。
・外科的療法の再発率は、18~37.5%とばらついているが、それは適切な切除は医師の技術や経験に大きく依存しているためと考えられる。一方、ベセルナクリームの再発率は13%であり、外科的療法と比較しても再発率は低いと判断される。