2007年12月研修記録
★OTC薬の選び方・使い方
・平成9年から厚生労働省が進めている経済規制緩和推進計画があり、一般用医薬品(以下、OTC薬)でリスクの低い医薬品は規制を緩めて消費者の利便性を確保する方向にある。OTC薬の分類は、第1類、第2類、第3類に区別され、平成19年4月から実施されている。
・第1類(安全性評価が確立していない成分、リスクが特に高いと考えられる成分)は、薬剤師のみが直接販売できるオーバーザカウンターによる陳列を義務付け、体面販売とする。そのため、消費者が直接手に取ることができないようにカウンターの後に保管する。書面による情報提供が義務づけられる。H2ブロッカーの成分、テオフィリン、テストステロン、ケトチフェン、ミノキシジル(製品名:リアップ)など23成分がある。
・第2類は、薬剤師以外に「登録販売者」も販売できる。情報提供とオーバーザカウンターによる陳列は努力義務である。風邪薬、解熱鎮痛剤、胃腸薬など688成分がある。
・第3類は、第1類、第2類以外のもの。薬剤師、登録販売者が販売。情報提供の義務はない。整腸剤、消化薬など1775成分がある。
・OTC薬の分類は、日本薬学会(大学関係)で選定されており、製薬団体や日本薬剤師会は利益との関係があり、選定には参加していない。
・OTC薬の販売には必ず専門家(薬剤師、登録販売者)が関与することになる。専門家以外は販売できないことになる。非専門家はレジ対応のみになる。その制度は、すでに公布されており、平成20年6月までに施行されることになっている。
・登録販売者の試験は、①医薬品に共通する特性と基本的な知識、②人体の働きと医薬品、③主な医薬品とその作用、④薬事関係法規・制度、⑤医薬品の適正使用・安全対策から120問出題(選択問題)され、70%以上の正解で合格となる。受験資格は薬剤師の管理・指導の下、1年間の実務経験が必要である。
・米国では処方せん医薬品(医師の処方せんにより薬局で調剤を受ける)と非処方せん医薬品(処方なしでどこでも購入できる:スーパーマーケットでも購入可)がある。しかし、米国薬剤師会の声明として、非処方せん医薬品にも適正販売の動きがある。
・約40年前に薬害スモンが発生し、その当時に問題となったのが販売証明書である。消費者は販売した薬局に販売証明書のお願いをしたが、薬局では販売可否が不明になっている場合もあり、証明書を発行すべきか判断が困難であった。先行している薬局では、第1類の医薬品を販売する場合は、販売日、薬剤師名、薬局名、電話番号を記載したラベルを販売時に貼っている。
★OTC薬の現況と今後の展望【第一三共ヘルスケア㈱より】
・OTC薬市場を取り巻く現状として、①OTC薬のシェアが低下して医薬品総生産額の10%を下回る。②スイッチOTC薬のようなよく効く治療薬が少ない。③「セルフメディケーション」の認知度が低いことがある。
・薬事法では、OTC薬の販売は専門家が関与して、情報提供を求めているが、実際には誰が対応しているのか不明である。消費者からの不満もあり、OTC薬の販売制度が改正され、OTC薬の外箱にリスク分類を表示することになり、陳列方法はリスク分類で分けて陳列することになる。また、着衣・名札には専門家(薬剤師・登録販売者)と非専門家の区別が必要になり、リスク分類による販売方法の違いを店舗に掲示することになる。
・弊社のしみ改善薬である「トランシーノ」は第1類医薬品になった。成分はトラネキサム酸、L-システイン、ビタミンC、パントテン酸、塩酸ピリドキシンであり、第1分類の23成分には該当していなくとも「既存の医薬品と有効成分や用法・用量、効能・効果などが明らかに異なり、承認を受けてから厚生労働省省令で定める期間が経過しないもの」は第1分類になる。なお、トランシーノは再審査期間(4年間)に1年を加えた5年間は、第1分類になる。