薬剤師修行ファイルNo.070203:パニック障害

2007年2月研修記録
★パニック障害の新たな選択肢【ファイザー株式会社より】
パニック障害とは、「パニック発作」と「予期不安」か「広場恐怖」を併発した症状である。
パニック発作:突然、何の前触れもなく起こる(耐え難い恐怖と不安,激しい動悸,発汗,手足の震え,息苦しさ等)
予期不安:パニック発作、再び発作が起こる 「・・・のではないか?」という不安
広場恐怖:パニック発作が起こった(起こりそうな)場所や状況に恐怖感を抱く → 外出そのものを避ける。
パニック発作とは、強い恐怖または不快を感じ、はっきり他と区別される期間で、そのとき、以下の症状のうち4つ(またはそれ以上)が突然に発現し、10分以内にその頂点に達する。
(1)動悸、心悸亢進、または心拍数の増加 (2)発汗 (3)身震いまたは震え (4)息切れ感または息苦しさ (5)窒息感 (6)胸痛または胸部の不快感 (7)嘔気または腹部の不快感 (8)めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ (9)現実感消失(現実でない感じ)または離人症状(自分自身から離れている) (10)コントロールを失うことに対する、または気が狂うことに対する恐怖  (11)死ぬことに対する恐怖 (12)異常感覚(感覚麻痺またはうずき感) (13)冷感または熱感
★パニック障害の転帰と予測因子
治療開始6~10年後の転帰:良好が30%,症状はあるが改善が40~50%,不変または悪化が20~30%
予測因子:パニック発作や広場恐怖の重症度,他の不安障害,罹病期間,うつ病,アルコール・薬物依存などの合併など
予後が悪い人は、初期の重症度、罹病期間の長さが影響する。初期に治療することが大切である。
日本におけるパニック障害の有病率は1%、女性の割合が高く20~30代で発病する。遺伝的な影響(要因)もある。
★パニック障害の治療に用いられる薬剤とその位置づけ
SSRI(パロキセチン、セルトラリン):適応あり、三環系抗うつ薬・BZD系抗不安薬(benzodiazepine系抗不安薬):適応を有する薬剤なし。
SSRIは、パニック障害の第1選択薬、急性期治療・維持療法で有用。三環系抗うつ薬は、SSRIに反応しない患者にも効果があることがある。BZD系抗不安薬は、SSRIの効果発現までの橋渡し、頓用としても使用可能。
★パニック障害の抑制の作用機序
GABA系,セロトニン系の扁桃体を抑制するといわれている。GABA系,セロトニン系の扁桃体へのアラームを阻害して不安恐怖を抑制する。また、扁桃体から発信される不安・恐怖を直接的に抑制する。
★パニック障害急性期の薬物治療薬
ファーストチョイスは、SSRI → 増量 → 別のSSRIに変更 → 別の抗うつ薬
★ジェイゾロフトの特徴
・ジェイゾロフトの吸収は、食事の影響をほとんど受けない。
・高齢者では、健康成人に比べて半減期が長くなる傾向が認められた。
・腎機能低下者における血漿中濃度推移は、健康成人と比べて高くなる傾向を示しましたが、その影響は小さい。
・肝機能低下者では健康成人に比べCmaxの上昇、半減期の延長が認められました。
・ジェイゾロフトは肝代謝酵素であるチトクロームP450の各分子種に対して阻害作用が少ない薬剤である。パキシルは肝代謝の薬物相互作用を受けやすい。
・体重増加はパキシルに比べて明らかに少ない。

・効果はパキシルと同等であるが、副作用及び薬物相互作用については体重増加についてはジェイゾロフトに優位性がある。