2007年4月研修記録
★ビ・シフロールの製品情報【日本ベーリンガーインゲルハイム㈱学術部より】
・ビ・シフロールは、パーキンソン病の基本治療薬であるドパミンアゴニスト(ドパミン作動薬)の非麦角系薬剤であり、第一選択薬である。欧米におけるパーキンソン治療薬の市場において、最も良く売れている製品であり、エビデンスも豊富(特に、振戦効果、気分障害の改善に効果がある)にあり、高い評価を得ている。
・ビ・シフロールの中止率は0.76%、ペルマックスの中止率は2.28%であり、使用しやすい。ただし、非麦角系薬剤の主な副作用である「突発性睡眠」があり、車の運転等には注意してもらいたい。なお、国内の臨床試験において、総称例337例中242例(71.81%)で副作用が報告されている。突発性睡眠以外にジスキネジア、消化不良、幻覚、せん妄などがある。
★パーキンソン病の診断と治療
・2002年のパーキンソン病治療ガイドラインにおいて、ドパミンアゴニストの積極的な使用が推奨されている。しかし、最近はL-Dopa剤の使用が推奨されている。ドパミンアゴニストが優位になったり、L-Dopa剤が優位になったり、歴史は繰り返されている。
・最近、米国でペルマックス錠が心臓弁膜症の副作用で製造中止になっているが、米国の臨床用量は3mg/日であり、日本では0.75~1.25mg/日のため、日本での心臓弁膜症の副作用はあまり心配していない。
・日本でも3年前からドパミンアゴニストの麦角系薬剤(ペルマックス、カバサール、パーロデル)に心臓弁膜症の副作用の疑いがあることは知られていた。パーロデルは効果が弱く現在はあまり使用されていないが、今後は臨床用量から考えて、カバサール(米国は4~6mg/日で日本は2~6mg/日の臨床用量であまり差はない)の使用頻度は低下すると考えられるが、ペルマックスの使用頻度はあまり低下しないと考えている。なお、非麦角系の薬剤には心臓弁膜症の副作用は現時点では発現していない。
・心臓弁膜症の副作用は、麦角系ドパミンアゴニストに発生している理由として、セロトニン親和性があると言われているが、十分解明されていない。
・ノバルティスファーマ㈱から本日(2007年4月19日)販売された「コムタン錠」は、L-Dopa剤と併用することにより、L-Dopa剤の作用時間を長く(L-Dopa剤は作用時間が短い欠点がある)することが可能になっており、期待されている薬剤である。コムタン錠の色はどぎついオレンジ色であり、パーキンソン患者は薬服用後によくよだれが出るため、服をよごすことが考えられる。また、尿は黄色になる。肝障害の副作用が考えられるため、肝機能検査は必須である。
・エフピー錠は、抗うつ薬として、開発されたが、抗パーキンソン病治療薬として、L-Dopa剤の作用を強くする薬剤である。抗うつ効果もあると言われているが、エビデンスはない。
・抗パーキンソン病薬の効果は個人差があると言われているが、診断にも問題がある。パーキンソン病と診断したが、抗パーキンソン病治療剤で効果がなかったため、パーキンソン病でなかった事例は多い。
・パーキンソン病患者において、約80%の患者が睡眠障害を訴える。朝食後はドミン以外のドパミンアゴニストを服用し、寝る前にドミン錠(眠気が強い)を服用する方法がある。
・最近の話題として、関東地方において、抗パーキンソン病治療剤は酸性状態で服用すると効果が良いため、レモン水で服用すると良いと言われているが、関西地方ではあまり言われていない。