薬剤師修行ファイルNo.070515:腰痛治療

2007年5月研修記録
★ツムラ漢方の腰痛治療
・腰痛に効果のある代表的な漢方は、桂枝加朮湯(18番)、牛車腎気丸(107番)、五積散(63番)、桂枝茯苓丸(25番)及び芍薬甘草湯(68番)である。
・「冷え」があれば、桂枝加朮湯(18番)、牛車腎気丸(107番)及び五積散(63番)の3つの漢方が考えられる。「こむらがえり」があれば、桂枝加朮湯(18番)が適しており、「こむらがえり」がなくて、「浮腫」があれば、牛車腎気丸(107番)が適している。「こむらがえり」と「浮腫」がなければ、五積散(63番)が適している。
・「冷え」がなければ、桂枝茯苓丸(25番)及び芍薬甘草湯(68番)の2つの漢方が考えられる。のぼせ(瘀血)があれば、桂枝茯苓丸(25番)が適しており、のぼせ(瘀血)がなければ、芍薬甘草湯(68番)が適している。
・牛車腎気丸(107番)は幅広い効果があり、腰痛以外にも、むくみ、しびれ、排尿困難、頻尿、老人のかすみ目などにも効果がある。胃腸が弱く、腎機能が低下している患者に向いている。
・八味地黄色丸(7番)は牛車腎気丸(107番)と構成生薬が類似しており、牛車腎気丸(107番)と効果は類似している。胃腸が丈夫で便秘傾向の人に向いている。

<Q1>芍薬甘草湯を長期服用する場合、注意する事項はありますか。
<A1>芍薬甘草湯は構成生薬が2種類という少ない配合のため、甘草の作用が最も強力に出現する。甘草は急性の痛みや痙攣を伴う筋肉のひきつり、痙攣の症状を治す作用がある。副作用として、体液が増加して、高血圧を来たす。また、カリウム排泄が多くなるため、低カリウム血症をきたして筋力が低下して立てなくなったりするミオパシーの症状を呈する。電解質特に血清カリウムの測定と血圧の測定をする必要がある。カリウムを低下させる利尿降圧剤やラシックスの併用は避ける。
<Q2>修治ブシ末の1日量として、最大何gまで使用可能か、また、どういう副作用がありますか。
<A2>1日1.5g程度が標準であるが、最大で1日6g処方される先生もいる。また、副作用として「舌のしびれ」が高頻度に認められる。
<Q3>1985年に漢方が保険適用になってから、新しい漢方がまったく保険適用になっていない理由は
<A3>漢方は複数の生薬からなっているため、配合理由が必要であり、承認審査のハードルが高く、新しく開発できない状況である。保険適用になっている漢方のエビデンスに注力している。
<Q4>漢方は飲みにくいと言われる患者が多いが、飲みやすい漢方(剤型追加)の開発は、今後考えられていますか。
<A4>現時点において、ツムラでは剤型追加は考えていない。
<Q5>ツムラの製品番号(例えば、1番;葛根湯)はどういう根拠で設定されていますか。
<A5>製品番号について、明確な理由は不明である。不吉な番号(4番、13番、42番)は除いている。また、1番の葛根湯と101番の升麻葛根湯は効果が類似、7番の八味地黄丸と107番の牛車腎気丸は効果が類似しており、互換性がある。
<Q6>漢方を使用する場合、「実証」か「虚証」で区別して漢方を選択するが、使用頻度はどちらが多いですか。
<A6>「虚証」での使用頻度が多い。「実証」の場合は西洋薬を服用する場合がある。
<Q7>ツムラ23番:当帰芍薬散、24番:加味逍遥散、25番:桂枝茯苓丸は女性向きの漢方と思われますが、男性でも使用頻度は高いですか。
<A7>25番の桂枝茯苓丸は血行が悪い症状に効果があり、男性でもよく使用される。24番も時々使用される。23番はあまり使用されない。