薬剤師修行ファイルNo.070512:糖尿病治療

2007年5月研修記録
★糖尿病の治療戦略2007 ~ 経口剤をどう使いこなすか ~
・糖尿病では細小血管障害(網膜症・腎症・神経障害)及び大血管障害(虚血性心疾患・脳血管障害など)にも注意する必要である。日本糖尿病学会ではHbA1Cを血糖コントロールの指標とし、6.5%未満を「良」、6.5~7%「不十分」、7%以上を「不良」としているが、細小血管障害の進展抑制を期待した血糖管理目標である。大血管障害では不十分であり、HbA1Cは5.8%未満を目指す必要がある。
・HbA1Cの指標よりもインスリンが分泌していることが確認できる食後2時間後の血糖値の測定が重要であり、早期からの治療介入と薬剤選択がポイントになる。
・糖尿病治療の主役であったSU薬の単独治療でHbA1C6.5%未満を維持することは非常に難しいと考えている。SU薬は最後に使う薬剤と位置付け、インスリン分泌を促進させないα―グルコシダーゼ阻害剤、インスリン抵抗改善剤及びビグアナイト剤を最初に使用するべきである。
・インスリン抵抗改善剤であるアクトスは、血糖低下作用を長時間維持できることが特長であり、複数の臨床試験で報告されている。また、大規模臨床試験において、アクトスは脳卒中の再発リスク(3年間の追跡調査)が47%減少している。この理由として、脳虚血の保護作用、トリグリセライドの低下、HDLコレステロールの増加がある。
・アクトスを投与する上で注意すべきは、浮腫と体重増加である。30mgから開始すれば、HbA1Cはすぐに反映されないが、空腹時あるいは随時血糖値はほとんどの場合、投与2週間以内に低下する。また、アクトスの浮腫出現時の対応として、減塩指導、アクトスの減量及び利尿剤の投与を実施する。(スピロノラクトンとサイアザイドの単独又は併用投与)
・ベイスンを投与して効果が出ないのは、食事のバランスが悪いからである。理想的な栄養バランスは糖質60%、脂質25%及び蛋白質15%である。糖質60%でベイスンの効果を得ることができるが、糖質40%になるとベイスンの効果は期待できない。
・ビグアナイト剤であるメルビンは、日本では1日750mgまでの使用になっているが、米国では1日3000mgまで使用されている。効果は用量依存性があるため、日本の用量では効果が弱い。ただし、量を多くすると、胃腸障害及び下痢の副作用が生じる。2~3年後に高用量のメルビンが日本でも市販される予定である。
・薬物療法で重要なことは安全性であり、低血糖を起こさせないことである。一度、低血糖を起こした患者さんは薬を服用しなくなるだけでなく、通院しなくなり、手遅れになる場合がある。

★ベネット錠について【武田薬品工業㈱より】
・ベネット錠(17.5mg)週1回製剤は、今年4月に製造承認の許可を得て、6月に新発売を予定している。淡紅色のフィルムコーティング錠で、大きさは楕円形(長径8.1mm、短径4.6mm、厚さ3.4mm)で、フォサマック(ボナロン)35mg錠(長径10.3、短径5.6mm、厚さ3.6mm)より小さいため、服用しやすくなっている。
・ベネット錠(17.5mg)週1回製剤は、包装に工夫をしており、大きな文字で「のみ方」はコップ一杯の水で(約180cc)かまずに飲んで下さい、「のんだ後」少なくとも30分は横にならず、水以外は飲食しないで下さい、「のみ忘れた時」気づいた日の翌朝に1錠のんで下さい。漢字を使用しないでポイントは赤い文字で記載している。1シートには1錠入りのみの包装(フォサマック35mg錠は1シートに1錠入りと2錠入りの2包装がある。なお、ボナロン35mg錠は1シートに2錠入りの包装のみ)とし、調剤過誤の防止となる。