薬剤師修行ファイルNo.070222:アレルギークロストーク

2007年2月研修記録
★アレロックの最新情報及びパタノール点眼液の紹介【協和発酵工業㈱学術部より】
アレロックの特徴は、アレルギー鼻炎の三大症状(くしゃみ、鼻漏、鼻閉)の改善率が高く、特に鼻閉に対して74.3%の改善率がある。即効性があり、腎排泄型のため、相互作用が少ない。
・スギ花粉症に対するアレロックとフェキソフェナジンの臨床効果を評価するために、プラセボ対照交差二重盲検比較試験を実施した結果、アレロック群及びフェキソフェナジン群ともにくしゃみ発作の回数、鼻汁、鼻閉ともに改善したが、アレロック群の方がフェキソフェナジン群よりも改善率は高かった。また、眠気はプラセボ群、フェキソフェナジン群、アレロック群とも差はなかった。
・アレロックを4週間投与した結果、初回服用時に軽度の眠気を訴えた症例が存在したが、連用するにつれて眠気を訴えにくくなる傾向がある。現在、客観的評価をしており、眠気に慣れが生じた原因を解析中である。
・2006年10月にアレロックの一般名である塩酸オロパタジンを含む抗アレルギー点眼液であるパタノール点眼液が販売されている。パタノール点眼液は欧米で広く使用されており、メディエータ遊離抑制薬(インタール点眼液、リザベン点眼液等)とヒスタミンH1拮抗薬(ザジテン点眼液、リボスチン点眼液)を併せ持つ。また、涙液に近いpHであるため眼に「しみず」に使用できることも特徴である。
・花粉飛散前にヒスタミンH1拮抗薬などを服用する初期療法が行われているが、ヒスタミンH1拮抗薬を点眼していた患者は、点眼していない患者に比べ飛散時期の眼のかゆみ、充血、流涙などの自覚症状が有意に軽減されている。

★アスピリン喘息を考える
・アスピリン喘息とは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)や解熱鎮痛剤によって、発作が引き起こされる喘息である。症状は特徴的であり、原因となる医薬品を服用して30分以内に鼻水、鼻づまりが起こり、次に咳、喘鳴(ゼーゼーやヒューヒュと言う)、呼吸困難が出現する。
・アスピリン喘息になりやすい患者は、通年性の鼻炎症状(鼻水、鼻づまり)、慢性副鼻腔炎や鼻茸(鼻ポリープ)を合併している、成人になってからの喘息、著明な好酸球増加があるなどである。
・アスピリン喘息患者にはアラキドン酸代謝経路及びアラキドン酸代謝産物が関わる生体反応に何らかの異常があり、NSAIDSによるCOX-1阻害で顕著化し、過敏反応として現われると考えられている。過敏反応の引き金として、防御因子としてのプロスタグランジンE2の減少が考えられている。
・塩基性鎮痛剤(ソランタール、ペントイル等)やCOX-2阻害剤(モービック、ハイペン等)を使用すればアスピリン喘息を回避できる可能性は高い。
・専門病院では、患者に「アスピリン喘息患者カード」を持たせており、医療機関を受診したり、薬局で医薬品を購入したりする場合、「アスピリン喘息カード」を示すように指示している。
・慢性副鼻腔炎は非アレルギー性、アレルギー性及び好酸球性に分類されている。また、慢性副鼻腔炎の治療法にはマクロライド療法があるが、非アレルギー性及びアレルギー性には効果があるが、好酸球性にはあまり効果がない。