薬剤師修行ファイルNo.080125:気管支喘息吸入指導

2008年1月研修記録
★喘息治療配合剤アドエアディスカスについて【グラクソ・スミスクライン㈱より】
アドエアは、喘息コントロールをシンプルにするため、気管支喘息の病態である「気道炎症」と「狭窄」の両方に優れた効果がある。また、投与1日目から優れた呼吸機能改善効果がある。
・アドエアは操作が簡単なディスカス製剤であり、100、250、500の3用量があるため、1剤で幅広い患者への治療が期待できる。

★チーム医療としての気管支喘息吸入指導
・日本における喘息死は、年々減少しており、2006年度で約2700人になっている。しかし、60歳以上の高齢者の喘息死は減少していない。
・日本アレルギー協会が推薦している喘息コントロールテスト(ACT)がある。このテストは5問(喘息の症状、発作止めの吸入薬の使用、息切れなど)からなっており、1問5点で25点満点である。25点で完全な状態(トータルコントロール)、20点~25点で良好な状態(ウェルコントロール)、20点未満で喘息がコントロールされていない状態と判断している。
・喘息治療には4ステップがあり、症状の改善(発作を抑えるためにテオフィリン製剤やβ刺激剤を使用する)→ 肺機能を常に最高に保つ(ピークフローメータで確認する)→ 気道過敏の改善 → 薬剤の減量となる。
・気管支喘息治療の中心となるのが吸入ステロイドであるが、多くの剤型が使用可能となり、その種類も4製品(フルタイドパルミコートキュバールオルベスコ)、7製剤(ドライパウダータイプ<ディスカス>、ロタディスク、エアゾルタイプなど)となっている。
・調剤薬局において、フルタイドディスカスを患者に服薬指導する際に、1.吸入方法のパンフレットのみ配布、2.口頭で吸入方法を指導、3.練習用のフルタイドディカスを用いて吸入方法を指導の3つ方法で実施した結果、吸入アドヒアランスに差はなかった。このことより、操作が簡単なフルタイドディスカスを第一選択薬として使用している。
・フルタイドは「嗄声」の副作用が他の吸入ステロイドよりも多く認められており(6ケ月間使用で約30%嗄声が認められる)、嗄声がある患者(中年女性の楽しみであるカラオケが出来なくなると苦情が多い)には嗄声がほとんど認められないキュバールを使用している。なお、オルベスコは新しい薬剤で1日1回の吸入で良く、嗄声はほとんどないと言われているが、使用実績がない。
・嗄声の副作用は「うがい」をしても防ぐことはできない。声帯までは届かないし、届いた場合は「誤嚥」する。
・パルミコートの利点は、小児や妊婦にも安全であり、小児には疑問もあるが、妊婦には向いている。
・キュバールは自発呼吸が弱い高齢者に向いていると言われているが、その考えは間違いである。エアゾルタイプの吸入剤にはスペーサー(吸入補助器)を使用すべきである。

<Q1>アドエア(100、250、500μg)とフルタイド(50、200、250μg)でフルチカゾンの用量が異なり、多くなっている理由は?
<A1>アドエアは海外での用量に合わせたこともあるが、フルチカゾンの用量が多くなっても副作用は変わらないことや高用量から開始した方が患者のQOLが改善することが考えられる。
<Q2>アスピリン喘息患者に安全な鎮痛・解熱剤はありますか?
<A2>塩基性の鎮痛剤を使用すれば問題はないと考えている。また、PL顆粒やカロナールも使用しており、呼吸困難にはならない。(添付文書には、塩基性鎮痛剤でも使用禁忌になっている医薬品もあるので注意が必要である。)