薬剤師修行ファイルNo.080126:慢性閉塞性肺疾患(COPD)勉強会

2008年1月研修記録
★メプチン最近の話題【大塚製薬㈱学術部情報室より】
慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease :以下COPDとする)の治療は、気管支拡張薬が中心であり、特に、起床時や階段昇降時などの日常生活における労作時の息切れをコントロールすることが重要である。中でも短時間作用β2刺激薬は運動容認に対しての有用性を示した報告が多く、労作性の息切れに対する効果が期待されている。
・メプチンは短時間作用β2刺激薬であり、息切れの原因である動的肺過膨張を改善し、その結果として最大吸気量を改善することが確認され、安定期の運動耐容能の向上が期待できる。
・日本において、メプチンクリックヘラーは短時間作用β2刺激薬で初めてのドライパウダータイプの吸入薬である。フルタイドディスカスと同様にカウンター付きで残りの回数がわかりやすくなっている。吸い過ぎないように2回押しても1回分しか吸入出来ない構造になっており、残量がなくなれば押せないように工夫されている。1本で200回吸入できる。
・メプチンは他の短時間作用β2刺激薬と比較して、β2選択性が高ために、気管支拡張効果が強く、代表的な副作用である心悸亢進(動悸)は少ない。
・メプチンは錠剤、顆粒剤、ドライシロップ、シロップ、吸入(エアゾルタイプ、ドライパウダータイプ)、吸入液と多くの剤型がある。今後は、ホクナリンテープのような塗布剤(吸入が上手くできない患者用)も研究開発中である。

★COPDにおける医療連携;最近の話題と考え方
・COPDとは有毒な粒子やガスの吸入によって生じた肺の炎症反応に基づく進行性の気流制限を呈する疾患である。日本での潜在的なCOPDの患者は、40歳以上の8.6%(約530万人)と予想され、今後大きな社会問題となる。
・COPDの診断において、臨床症状として、慢性の咳嗽、慢性の喀痰、労作性呼吸困難(息切れ)のいずれか、あるいは臨床症状なくてもCOPD発症の危険因子として長期の喫煙、あるいは職業性粉塵暴露があるときには、スパイロメトリーで検査する。スパイロメトリーの検査で気流制限を診断し、さらに画像検査、呼吸機能検査などの種々の検査によりCOPDの診断をする。
・スパイロメトリーの検査は患者の負担(安静呼吸では検査ができないため、大きく息を吸い込んだり、はき出したりする必要がある)が大きいため、なかなか普及していないのが現状である。スパイロメトリーの改良も必要である。
・COPDの患者は60歳前後が多いと考えられているが、受診率が低い(開業医はCOPDの検査を積極的にする必要がある)し、継続率も悪い(調子が良くなれば通院しなくなる)ため、肺機能が改善していることなど患者の励みになる指標を確立する必要がある。
・COPD治療薬の中心は、長時間作用型気管支拡張薬が使用される。抗コリン薬、β2刺激薬、テオフィリン薬を単剤又は併用する。重症度が進むに連れて複数の薬剤を併用することが望ましい。併用は単剤の用量を増加させることよりも、より効果的で副作用の軽減にもなる。重症以上では吸入ステロイド薬を併用する。
・定期的に使用される治療薬にはスピリーバがあり、1日1吸入で24時間効果があると言われているが、24時間効果が持続しない患者には、短時間作用型気管支拡張薬のテルシガンを息切れした時に使用するように指導している。また、スリピーバは緑内障患者及び前立腺肥大等による排尿障害患者には禁忌になるため、セレベントやホクナリンテープを使用することになる。
・スタチンが気道の炎症を抑制する効果が認められており、COPDに効果があることが最近確認されている。スタチンは高脂血症以外にもいろいろな薬効があり、奥が深いと考えられている。