2008年2月研修記録
★キプレスの最新情報【キョーリン製薬㈱サポートセンターより】
・1歳以上6歳未満の小児喘息治療剤として、昨年10月からキプレス細粒4mgを販売している。体重、年齢及び症状等による用量調節をせず、全量(1包;0.5g入り)を1日1回就寝前に経口投与する。同種同効品であるオノンドライシロップは1日2回の服用になっており、キプレス細粒の方がコンプライアンスの向上が期待される。
・キプレス細粒の臨床効果は1歳から6歳未満の小児気管支喘息患者における中等度以上の有効率は81.7%であった。また、1歳から5歳の喘息患者にキプレス細粒4mgで臨床試験を実施した結果、年齢、体重及び重症度による差は認められなかった。
・キプレス細粒は水なしでそのままで服用できる。味はなく、口の中ですぐ溶ける。なお、キプレス細粒は光に不安定であり、開封後(15分以内)に服用する必要がある。また、再分包はできない。
・キプレスは今年1月にアレルギー性鼻炎の効能追加が承認されている。そこで、アレルギー性鼻炎用の製剤として、キプレス錠5mgが新発売(現時点で薬価基準未収載)されることになっている。
・キプレスチァブル錠5は、キプレス錠5mgと生物学的に同等ではなく、キプレスチァブル5はキプレス錠5mgと比較してバイオアベイラビリィが高いため、それぞれ相互には代用できない。
・キプレス錠5mgは新医薬品になるため、14日以内の処方になる。
・キプレス錠5mgが販売されると、キプレスは4製剤になり、小児用製剤にはキプレス細粒4mg(1歳以上~6歳未満)、キプレスチァブル錠5(6歳以上~15歳未満)があり、効能・効果は気管支喘息である。また、成人用製剤にはキプレス錠10、キプレス錠5mgの2製剤があり、キプレス錠10の効能効果は気管支喘息及びアレルギー性鼻炎であるが、キプレス錠5mgの効能・効果はアレルギー鼻炎のみである。
★乳幼児喘息アップデート: ロイコトリエン拮抗薬の役割を考える
・吸入ステロイドの普及により、喘息死は減少しているが、4歳以下の喘息患者の入院は増加しており、治療が不十分である。
・乳幼児の喘息患者の特徴として、好酸球の増加はあまりなく、好中球の増加がある。吸入ステロイドは好酸球の増加には効果があるが、好中球の増加には効果がない。
・ロイコトリエン拮抗薬(日本ではオノン、アコレート、シングレア、キプレスの4製品が市販されている)は、好酸球及び好中球の増加のどちらにも効果がある。薬理作用は気管支拡張作用だけでなく、抗炎症作用がある。最近、気道壁の再構築(リモデリング)を抑制する効果も見出されている。
・発作時の対応として、アミノフィリンの点滴が使用されているが、頭痛などの副作用がある。治験中であるが、ロイコトリエン拮抗薬の点滴は効果があり、副作用がほとんどないため、承認されればロイコトリエン拮抗薬が点滴されることになる。
・ロイコトリエン拮抗薬は鼻粘膜の腫脹を抑制する働きがあり、鼻腔抵抗の上昇を抑え、鼻づまりを改善する。また、鼻汁分泌を抑制することにより、くしゃみ、鼻汁にも効果がある。
・ロイコトリエン拮抗薬は従来から花粉症にも使用されてきたが、今年1月にシングレアとキプレスがアレルギー鼻炎の効能追加を取得されたため、使いやすくなる。