薬剤師修行ファイルNo.080220:冷え症

2008年2月研修記録
冷え症に対する漢方療法【ツムラ営業所より】
・漢方治療に必要な「気・血・水」理論で考えると、冷え症のタイプには新陳代謝低下型(気)、血流障害型(血)及び水分貯留型(水)に3分類できる。
・新陳代謝低下型はエネルギー代謝が低下し、熱の産生能が落ちているので疲れやすい。漢方治療として、胃腸機能を整えるため、真武湯、人参湯、大建中湯を使用する。また、補剤として、十全大補湯、人参養栄湯を使用し、補腎剤として、八味地黄丸、牛車腎気丸を用いる。
・血流障害型は血の循環の滞りが原因(漢方では瘀血という)であり、駆瘀血剤といわれる漢方を使用する。代表的な漢方には当帰四逆加呉茱萸生姜湯、桃核承気湯、桂枝茯苓丸、温経湯、加味逍遙散、当帰芍薬散がある。
・水分貯留型は水分が体内に貯留(水毒)でむくみやすいため、利水効果のある漢方として、苓姜朮甘湯、防己黄耆湯、半夏白朮天麻湯、真武湯、当帰芍薬散を使用する。

<Q1>冷え症の疫学調査はありますか。日本では冷え症患者は何万人いますか。また、女性が多いと言われていますが、男女比は、また、女性では何歳代が多いですか?
<A1>疫学調査はあるが、病態が人それぞれの感じ方に任せた形になっており、具体的な数字は不明であり、男女比も不明である。相対的には若年女性の70%は冷えがある。働く女性が増加し、ストレスも影響しており、冷え症は増加している。女性では冷えを自覚する割合は更年期障害が増加する55歳から急速に増える。
<Q2>「冷え性」が一般放送用語になっているが、漢方では「冷え症」となっているが、冷え症は疾患名ですか?
<A2>現代医学的に考えると、「冷え性」は疾患名ではありません。漢方医学的において、体が冷えやすい体質のことを称して、「冷え性」と言う。その中の症状として、「冷え症」がある。
<Q3>漢方は生薬の組み合わせですが、生薬は「なまもの」と思われますが、使用期限において、錠剤は3年間保証が多いが、ツムラ漢方は5年間保証できる根拠は?
<A3>自主設定に基づく安定性試験の結果、ツムラ大建中湯は「3年間保証」であるが、その他のツムラ漢方はすべて5年間安定であることを確認しており、「5年間保証」にしている。
<Q4>冷え症で使用されるツムラのブシ末は、漢方と併用する必要がある(単独使用不可)が、化研生薬のアコニンサン錠(ブシの錠剤)は単独使用が可能であり、その違いは?
<A4>アコニン酸錠は製剤として効能・効果が承認されているため、単独使用可能であるが、ツムラのブシ末は調剤用で承認されているため、単独使用はできない。今後も単独使用の承認は考えていない。<Q5>冷え症の特効薬と言われるツムラ当帰四逆加呉茱萸生姜湯は苦味があり、服用しにくいのはどの生薬ですか?また、他にも服用しにくい漢方がありますか?
<A5>当帰四逆加呉茱萸生姜湯に含まれている「呉茱萸」や「当帰」などが苦味のある生薬です。他にも飲みにくい漢方として、「荊芥連翹湯」、「当帰芍薬散」、「呉茱萸湯」、「三黄瀉心湯」などがある。一般的に「黄連」、「黄芩」、「当帰」、「呉茱萸」などが飲みにくい生薬です。飲みにくい漢方にはオブラートを使用する方法、砂糖又はハチミツをお湯に溶かして服用する方法及び漢方薬が飲みすい漢方ゼリー(龍角散)が最近市販されており、漢方ゼリーと併用して服用すると飲みやすくなる。いずれの方法でも漢方の効果が弱くなることはほとんどない。
<Q6>冷え症を改善する方法は
<A6>偏食をしないで温かい食べ物を摂取する。「なまもの」よりも「加熱したもの」を摂取する。また、半身浴も効果がある。