薬剤師修行ファイルNo.080308:呼吸フォーラム

2008年3月研修記録
★喘息治療配合剤 アドエアディスカスについて【グラクソ・スミスクライン㈱より】
アドエアは、アレルギー疾患診断・治療ガイドライン2007において、軽症持続型から推奨され、早期導入の有用性が認められている。
・喘息の重症度は4段階(軽症間欠型、軽症持続型、中等症持続型、重症持続型)に分類されているが、アドエアのステップ別用量として、軽症持続型はアドエア100、中等症持続型はアドエア250、重症持続型はアドエア500を使用する。

★気管支喘息治療 ~最新の話題~
・日本の喘息死は、年々減少している。しかし、人口10万人における喘息死は、フィンランド0.3人、オーストラリア1.1人、アメリカ1.3人であるが、日本は2.2人であり、欧米と比較して、日本の喘息死は高い水準にあるのが現状である。
・日本の喘息死が多い理由は、吸入ステロイド薬の普及率が低いためである。吸入ステロイド薬普及のために解決すべき課題として、①吸入ステロイド薬の効果を早期に実感できない、②吸入ステロイド薬に併用薬が多いと治療が煩雑になる、③吸入ステロイド薬に対する安全性への誤解などがある。
・2000年と2005年に全国喘息患者電話調査において、吸入ステロイド薬使用率が増加し、日中/夜間の喘息症状、喘息による入院、救急治療室受診あるいは予定外受診、欠勤・欠席の経験率も減少したことが示されている。ただし、喘息コントロールは十分でなく、肺機能検査を受けたことがない患者が57%にのぼり、ピークフローメーターの使用頻度もきわめて低く、多くの喘息患者が「自分の喘息はコントロールされている」と過大評価している実態がある。
・アドエアは世界で最も使用されている喘息治療薬であり、その有効性を示すエビデンスも豊富であるが、日本では長時間作用性β2刺激剤連用のリスクに対する懸念も残っている。しかし、国内外においてセレベントの上市後は喘息死が減少し続けていることから、吸入ステロイド薬により、長時間作用性β2刺激剤単独使用のリスクは消失すると考えられる。セレベントは単独使用でなく、必ず吸入ステロイド薬と併用することが重要である。
・ アドエア(吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激剤の配合剤)は服薬アドヒアランスやQOLを改善し、1剤で喘息コントロールの達成を可能にすることにより治療に吸入ステロイド薬の普及や喘息死の減少に貢献し、日本の喘息治療に改革をもたらすと思われる。
<Q1>吸入ステロイド薬の服薬アドヒアランスを向上させる方法はどうすれば良いですか?
<A1>時間をかけて、吸入ステロイド薬の有効性と安全性を説明(特に、吸入ステロイド薬を使用しないと喘息死になることを説明することが重要)することである。吸入方法については医師とコメデカルスタッフである薬剤師及び看護師の協力が必要である。
<Q2>アレルギー疾患診断・治療ガイドライン2007において、吸入ステロイド薬で効果が不十分な場合、併用薬として、テオフィ徐放製剤、ロイコトリエン受容体拮抗薬、長時間作用性β2刺激剤のいずれか1剤と記載されているが、最も有効性が高い薬剤は?
<A2>長時間作用性β2刺激剤である。
<Q3>日本の喘息死を減少させる方法は?
<A3>喘息死は重症難治症、不規則受診(喘息が良くなったと勘違いして受診しない)及び短時間型β2刺激剤信者(短時間型β2刺激剤を服用すれば喘息が良くなっていると勘違いする)が原因である。重症難治症を除いて、改善策はあると思われる。
<Q4>吸入ステロイドにはドライパウダー型とスプレー(エアゾル)型があるが、服薬アドヒアランスはどちらが良いですか?
<A4>医師により意見が異なる。最近あまり使用されなくなっているフルタイドのロタディスクタイプは内服と同じ感覚(1ブリスターをつぶす)で吸入できるため、服薬アドヒアランスは良いように思われる。