2008年2月研修記録
★品質管理に対する取り組みについて【株式会社ツムラ 医薬営業部より】
・ツムラは原料生薬の80%を中国から輸入(15%は国内、5%は韓国)しており、最近、毒入りギョウザなど中国製品の安全性が問題になっており、ツムラにも漢方は問題ないかとの問い合わせが多くなっている。
・ツムラでは自社基準を設定し、微生物、重金属、ヒ素、害虫、残留農薬等に関して厳密・厳格な検査を実施し、製品の品質と安全性を保証している。中国での原料生薬の調達ルート、検査体制を含めて安全な製品供給へ向けて取り組んでいる。
★わかりやすい漢方医学概論
・現代医学的における漢方診療の役割として、①一般治療の効果を助ける、②一般治療が合わない(副作用などで)症例に漢方薬を使用する、③漢方治療しか、現在も治療法がない疾患に使用することが言われている。
・皮膚科疾患で漢方を使用する場合は、①ステロイドの効果を高める、②ステロイドや抗アレルギー剤では十分な治療ができない症例、③ステロイド治療を希望しない患者などがある。そこで、アトピー性皮膚炎でステロイド中止によるリバウンドで症状が悪化したが、【白虎加人参湯】7日服用でほぼ軽快した。アトピー性皮膚炎には舌診により、【消風散】や【黄連解毒湯】を使用する。また、小児アトピー性皮膚炎には【越婢加朮湯】や【黄耆建中湯】を使用して効果が確認されている。
・消化器外科で使われることが多い【大建中湯】は、消化管運動改善作用、血流改善作用などのほか抗炎症作用も期待されている。また、術後管理を良好にコントロールできるため、イレウスでは第一選択薬になっている。
・PPIでは治療しきれない逆流性食道炎に【六君子湯】を併用すると、1週間ほどで、劇的に症状は改善し、自覚症状は消失した。
・気管支喘息患者でテオフィリンを服用すると、動悸の発現により服薬困難となった。そこで、気虚、水毒、柴胡剤(胸脇苦満がある)を満たす方剤として、【柴朴湯】を服用すると、1ヵ月服用で咳が消失した。
・漢方診療以外有効な治療があまりない疾患として、冷え症と全身倦怠感がある。冷え症には【当帰四逆加呉茱茰生姜湯】や【当帰芍薬散】使用し、全身倦怠感には【補中益気湯】を使用している。
★生活習慣病と漢方
・メタボリックシンドロームの診断基準に内臓脂肪があるが、肥満が原因である。また、内臓肥満を基盤としたインスリン抵抗性が存在することは明らかで、肥満を中心とした危険因子の集積への包括的対応が重要である。
・肥満症に保険適用をもつ西洋薬は、【サノレックス】のみであるが、適用(BMI35%以上)、投与期間(3ヵ月しか使用できない)及び副作用(精神が不安定な患者は、自殺の可能性がある)など問題が多い。また、メタボリックシンドロームの包括的な新薬(西洋薬)が各製薬会社で開発されているが、現時点では市販されていない。
・メタボリックシンドロームの代表的な漢方処方は、【防風通聖散】及び【防己黄耆湯】である。これらは「肥満症」に対して保健が適用されている。それ以外には【大柴胡湯】(堅太り:実証、肩こり、胸脇苦満、便秘)、【桃核承気湯】(水太り:血行不良、気逆<強いのぼせ、精神不安定>、月経異常)、【桂枝茯苓丸】(水太り:血行不良、冷えのぼせ、肩こり、月経異常)を使用している。
・【防風通聖散】は、実証のメタボリックシンドロームではもっとも代表的な方剤である。食毒・水毒を解毒するとされ、体力が充実している体質で、便秘気味、いわゆる肥満重役型の太鼓腹のタイプに適している。作用機序が解明されつつあり、麻黄に含有されているエフェドリンが交感神経終末からのノルアドレナリン放出を増強して、褐色脂肪組織のβ2、β3、α2アドレナリン受容体を活性化する。また、甘草・荊芥・連翹にはカフェイン様作用があり、ホスホジエステラーゼ阻害作用でcAMPの分解を抑制し、ノルアドレナリンの効果を持続させる。臨床的にも、肥満者で体重減少及び基礎代謝の有意な増加、さらに内臓脂肪減少、インスリン抵抗性改善作用がある。ただし、投与に際して、大黄、芒硝といった瀉下作用のある生薬が含まれているため、便秘傾向のない患者には注意する必要がある。
・【防己黄耆湯】は、虚証のメタボリックシンドロームの代表的方剤である。色白でいわいる水太りのブヨブヨした肥満で、疲れやすく、汗が多く、膝関節の腫脹する患者、変形性膝関節症で運動不足の患者などが目標とされている。臨床的には6ヵ月服用すれば、内臓脂肪に有意な改善が認められている。作用機序は明らかではないが、運動療法が困難(眼が悪い、膝が痛い等)な内臓脂肪型肥満症でも有用性が期待できる。
・甘草によって引き起こされる高血圧、浮腫、低カリウム血症は甘草誘発性偽アルドステロン症と呼ばれている。厚労省では1日6~7gまでとしているが、量は関係がなく、体質(遺伝)が原因である。血圧上昇と血液検査でカリウム低下がないか確認しておく必要がある。
薬剤師修行ファイルNo.080308:呼吸フォーラム
2008年3月研修記録
★喘息治療配合剤 アドエアディスカスについて【グラクソ・スミスクライン㈱より】
・アドエアは、アレルギー疾患診断・治療ガイドライン2007において、軽症持続型から推奨され、早期導入の有用性が認められている。
・喘息の重症度は4段階(軽症間欠型、軽症持続型、中等症持続型、重症持続型)に分類されているが、アドエアのステップ別用量として、軽症持続型はアドエア100、中等症持続型はアドエア250、重症持続型はアドエア500を使用する。
★気管支喘息治療 ~最新の話題~
・日本の喘息死は、年々減少している。しかし、人口10万人における喘息死は、フィンランド0.3人、オーストラリア1.1人、アメリカ1.3人であるが、日本は2.2人であり、欧米と比較して、日本の喘息死は高い水準にあるのが現状である。
・日本の喘息死が多い理由は、吸入ステロイド薬の普及率が低いためである。吸入ステロイド薬普及のために解決すべき課題として、①吸入ステロイド薬の効果を早期に実感できない、②吸入ステロイド薬に併用薬が多いと治療が煩雑になる、③吸入ステロイド薬に対する安全性への誤解などがある。
・2000年と2005年に全国喘息患者電話調査において、吸入ステロイド薬使用率が増加し、日中/夜間の喘息症状、喘息による入院、救急治療室受診あるいは予定外受診、欠勤・欠席の経験率も減少したことが示されている。ただし、喘息コントロールは十分でなく、肺機能検査を受けたことがない患者が57%にのぼり、ピークフローメーターの使用頻度もきわめて低く、多くの喘息患者が「自分の喘息はコントロールされている」と過大評価している実態がある。
・アドエアは世界で最も使用されている喘息治療薬であり、その有効性を示すエビデンスも豊富であるが、日本では長時間作用性β2刺激剤連用のリスクに対する懸念も残っている。しかし、国内外においてセレベントの上市後は喘息死が減少し続けていることから、吸入ステロイド薬により、長時間作用性β2刺激剤単独使用のリスクは消失すると考えられる。セレベントは単独使用でなく、必ず吸入ステロイド薬と併用することが重要である。
・ アドエア(吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激剤の配合剤)は服薬アドヒアランスやQOLを改善し、1剤で喘息コントロールの達成を可能にすることにより治療に吸入ステロイド薬の普及や喘息死の減少に貢献し、日本の喘息治療に改革をもたらすと思われる。
<Q1>吸入ステロイド薬の服薬アドヒアランスを向上させる方法はどうすれば良いですか?
<A1>時間をかけて、吸入ステロイド薬の有効性と安全性を説明(特に、吸入ステロイド薬を使用しないと喘息死になることを説明することが重要)することである。吸入方法については医師とコメデカルスタッフである薬剤師及び看護師の協力が必要である。
<Q2>アレルギー疾患診断・治療ガイドライン2007において、吸入ステロイド薬で効果が不十分な場合、併用薬として、テオフィ徐放製剤、ロイコトリエン受容体拮抗薬、長時間作用性β2刺激剤のいずれか1剤と記載されているが、最も有効性が高い薬剤は?
<A2>長時間作用性β2刺激剤である。
<Q3>日本の喘息死を減少させる方法は?
<A3>喘息死は重症難治症、不規則受診(喘息が良くなったと勘違いして受診しない)及び短時間型β2刺激剤信者(短時間型β2刺激剤を服用すれば喘息が良くなっていると勘違いする)が原因である。重症難治症を除いて、改善策はあると思われる。
<Q4>吸入ステロイドにはドライパウダー型とスプレー(エアゾル)型があるが、服薬アドヒアランスはどちらが良いですか?
<A4>医師により意見が異なる。最近あまり使用されなくなっているフルタイドのロタディスクタイプは内服と同じ感覚(1ブリスターをつぶす)で吸入できるため、服薬アドヒアランスは良いように思われる。
★喘息治療配合剤 アドエアディスカスについて【グラクソ・スミスクライン㈱より】
・アドエアは、アレルギー疾患診断・治療ガイドライン2007において、軽症持続型から推奨され、早期導入の有用性が認められている。
・喘息の重症度は4段階(軽症間欠型、軽症持続型、中等症持続型、重症持続型)に分類されているが、アドエアのステップ別用量として、軽症持続型はアドエア100、中等症持続型はアドエア250、重症持続型はアドエア500を使用する。
★気管支喘息治療 ~最新の話題~
・日本の喘息死は、年々減少している。しかし、人口10万人における喘息死は、フィンランド0.3人、オーストラリア1.1人、アメリカ1.3人であるが、日本は2.2人であり、欧米と比較して、日本の喘息死は高い水準にあるのが現状である。
・日本の喘息死が多い理由は、吸入ステロイド薬の普及率が低いためである。吸入ステロイド薬普及のために解決すべき課題として、①吸入ステロイド薬の効果を早期に実感できない、②吸入ステロイド薬に併用薬が多いと治療が煩雑になる、③吸入ステロイド薬に対する安全性への誤解などがある。
・2000年と2005年に全国喘息患者電話調査において、吸入ステロイド薬使用率が増加し、日中/夜間の喘息症状、喘息による入院、救急治療室受診あるいは予定外受診、欠勤・欠席の経験率も減少したことが示されている。ただし、喘息コントロールは十分でなく、肺機能検査を受けたことがない患者が57%にのぼり、ピークフローメーターの使用頻度もきわめて低く、多くの喘息患者が「自分の喘息はコントロールされている」と過大評価している実態がある。
・アドエアは世界で最も使用されている喘息治療薬であり、その有効性を示すエビデンスも豊富であるが、日本では長時間作用性β2刺激剤連用のリスクに対する懸念も残っている。しかし、国内外においてセレベントの上市後は喘息死が減少し続けていることから、吸入ステロイド薬により、長時間作用性β2刺激剤単独使用のリスクは消失すると考えられる。セレベントは単独使用でなく、必ず吸入ステロイド薬と併用することが重要である。
・ アドエア(吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激剤の配合剤)は服薬アドヒアランスやQOLを改善し、1剤で喘息コントロールの達成を可能にすることにより治療に吸入ステロイド薬の普及や喘息死の減少に貢献し、日本の喘息治療に改革をもたらすと思われる。
<Q1>吸入ステロイド薬の服薬アドヒアランスを向上させる方法はどうすれば良いですか?
<A1>時間をかけて、吸入ステロイド薬の有効性と安全性を説明(特に、吸入ステロイド薬を使用しないと喘息死になることを説明することが重要)することである。吸入方法については医師とコメデカルスタッフである薬剤師及び看護師の協力が必要である。
<Q2>アレルギー疾患診断・治療ガイドライン2007において、吸入ステロイド薬で効果が不十分な場合、併用薬として、テオフィ徐放製剤、ロイコトリエン受容体拮抗薬、長時間作用性β2刺激剤のいずれか1剤と記載されているが、最も有効性が高い薬剤は?
<A2>長時間作用性β2刺激剤である。
<Q3>日本の喘息死を減少させる方法は?
<A3>喘息死は重症難治症、不規則受診(喘息が良くなったと勘違いして受診しない)及び短時間型β2刺激剤信者(短時間型β2刺激剤を服用すれば喘息が良くなっていると勘違いする)が原因である。重症難治症を除いて、改善策はあると思われる。
<Q4>吸入ステロイドにはドライパウダー型とスプレー(エアゾル)型があるが、服薬アドヒアランスはどちらが良いですか?
<A4>医師により意見が異なる。最近あまり使用されなくなっているフルタイドのロタディスクタイプは内服と同じ感覚(1ブリスターをつぶす)で吸入できるため、服薬アドヒアランスは良いように思われる。
薬剤師修行ファイルNo.080221:高血圧フォーラム
2008年2月研修記録
★プレミネント錠の薬理作用【万有製薬㈱学術部より】
・食塩とレニン・アンジオテンシン(RA)系は密接な関係がある。食塩摂取の少ない太古の時代においては、RA系は食塩を腎臓から失われないようにし、かつ、血圧を維持していた。現在は食塩の過剰摂取時代であり、RA系を抑制しても降圧が不十分であるケースがある。
・食塩摂取量とRA系は天秤の両端にある重りのような関係にあり、食塩摂取量が低下すればRA系が亢進し、逆に、食塩摂取量が増大すればRA系が抑制されて、血圧には大きな変化はみられない。したがって、減塩に伴って活性化されるRA系の作用を抑制すれば、大きな降圧が得られる。
・プレミネント錠はARB/利尿薬の合剤であり、RA系を抑制すると腎よりナトリウム排泄を促進する。利尿薬は体液量を減少させて降圧効果を示すが、一方ではRA系を活性化することにより、その降圧効果及びナトリウム排泄効果は弱減する。したがって、ARB/利尿薬配合剤はAⅡの血管収縮作用の阻止による血管拡張と利尿効果がともに増強され、両者の降圧効果が相乗的に発現する。一方、強力な降圧作用と利尿作用があるため脱水などに対する注意も必要である。
・プレミネントの相乗的薬理作用として、ニューロタンのカリウム上昇の副作用をダイクロトライドでカリウムを低下させるため、相殺される。また、ダイクロライトで尿酸を上昇させるが、ニューロタンで尿酸を下げる作用があるため相殺される。血圧は相乗効果があり、理想的な組み合わせである。
★認知症と血管リスク
・日本における認知症患者は約190万人になっており、高齢化が進む2050年には400万人以上になると予想されている。最近、脳血管性認知症よりもアルツハイマー型認知症が多くなっている。
・アルツハイマー病は加齢に伴って発症し、特に65歳以降その発症率は急増(性差では女性が多い)しており、社会的問題になっている。
・アルツハイマー病と高血圧は相関関係がある。高血圧患者において、未治療群と治療群(降圧剤を服用)と比較して、未治療群の方がアルツハイマーの発症が有意に高くなることを確認している。血管障害が関与していると考えられる。
・アルツハイマーの薬物治療として、現在使用できるのはアリセプトだけであるが、開発中の薬剤が3品目あり、その中の1品目は臨床試験が終了しており、申請中である。アリセプト及び開発中の3品目は根治治療ではなく、アルツハイマーの進行を遅らせる作用である。根治治療が期待されるのがワクチン療法である。
・アルツハイマー病は脳に蓄積するアミロイドβ蛋白が凝集して形成されたものである。ワクチン療法はアミロイドβ蛋白を抑制する方法であり、開発中である。
★利尿薬
・利尿薬は食塩感受性の高い高血圧患者(食塩を多く摂取している)には効果があり、1950年代より広く使用されている。脳卒中の発生や虚血性心疾患の発症を低下させる。
・利尿薬は尿を出す薬剤であり、その効果は、吸収、体内動態、各種疾患における腎血行動態や尿細管機能の変化、神経体液性因子の影響を大きく受ける。一方、利尿薬の種類により尿細管機能や腎血行動態に及ぼす影響に違いが見られる。糸球体濾過量(GFR)と血清クレアチン値を考慮して、利尿剤を使い分ける(ループ、サイアザイド、カリウム保持)必要がある。
・高血圧になると腎障害及び心血管障害の原因になるため、蛋白尿と微量アルブミンの測定は必須項目である。腎臓を守ることが生命を守ることである。
・家庭血圧における収縮期血圧が140mmHg以上は許されない血圧であり、早期に治療することが重要である。
★プレミネント錠の薬理作用【万有製薬㈱学術部より】
・食塩とレニン・アンジオテンシン(RA)系は密接な関係がある。食塩摂取の少ない太古の時代においては、RA系は食塩を腎臓から失われないようにし、かつ、血圧を維持していた。現在は食塩の過剰摂取時代であり、RA系を抑制しても降圧が不十分であるケースがある。
・食塩摂取量とRA系は天秤の両端にある重りのような関係にあり、食塩摂取量が低下すればRA系が亢進し、逆に、食塩摂取量が増大すればRA系が抑制されて、血圧には大きな変化はみられない。したがって、減塩に伴って活性化されるRA系の作用を抑制すれば、大きな降圧が得られる。
・プレミネント錠はARB/利尿薬の合剤であり、RA系を抑制すると腎よりナトリウム排泄を促進する。利尿薬は体液量を減少させて降圧効果を示すが、一方ではRA系を活性化することにより、その降圧効果及びナトリウム排泄効果は弱減する。したがって、ARB/利尿薬配合剤はAⅡの血管収縮作用の阻止による血管拡張と利尿効果がともに増強され、両者の降圧効果が相乗的に発現する。一方、強力な降圧作用と利尿作用があるため脱水などに対する注意も必要である。
・プレミネントの相乗的薬理作用として、ニューロタンのカリウム上昇の副作用をダイクロトライドでカリウムを低下させるため、相殺される。また、ダイクロライトで尿酸を上昇させるが、ニューロタンで尿酸を下げる作用があるため相殺される。血圧は相乗効果があり、理想的な組み合わせである。
★認知症と血管リスク
・日本における認知症患者は約190万人になっており、高齢化が進む2050年には400万人以上になると予想されている。最近、脳血管性認知症よりもアルツハイマー型認知症が多くなっている。
・アルツハイマー病は加齢に伴って発症し、特に65歳以降その発症率は急増(性差では女性が多い)しており、社会的問題になっている。
・アルツハイマー病と高血圧は相関関係がある。高血圧患者において、未治療群と治療群(降圧剤を服用)と比較して、未治療群の方がアルツハイマーの発症が有意に高くなることを確認している。血管障害が関与していると考えられる。
・アルツハイマーの薬物治療として、現在使用できるのはアリセプトだけであるが、開発中の薬剤が3品目あり、その中の1品目は臨床試験が終了しており、申請中である。アリセプト及び開発中の3品目は根治治療ではなく、アルツハイマーの進行を遅らせる作用である。根治治療が期待されるのがワクチン療法である。
・アルツハイマー病は脳に蓄積するアミロイドβ蛋白が凝集して形成されたものである。ワクチン療法はアミロイドβ蛋白を抑制する方法であり、開発中である。
★利尿薬
・利尿薬は食塩感受性の高い高血圧患者(食塩を多く摂取している)には効果があり、1950年代より広く使用されている。脳卒中の発生や虚血性心疾患の発症を低下させる。
・利尿薬は尿を出す薬剤であり、その効果は、吸収、体内動態、各種疾患における腎血行動態や尿細管機能の変化、神経体液性因子の影響を大きく受ける。一方、利尿薬の種類により尿細管機能や腎血行動態に及ぼす影響に違いが見られる。糸球体濾過量(GFR)と血清クレアチン値を考慮して、利尿剤を使い分ける(ループ、サイアザイド、カリウム保持)必要がある。
・高血圧になると腎障害及び心血管障害の原因になるため、蛋白尿と微量アルブミンの測定は必須項目である。腎臓を守ることが生命を守ることである。
・家庭血圧における収縮期血圧が140mmHg以上は許されない血圧であり、早期に治療することが重要である。
薬剤師修行ファイルNo.080216:米国医療保険制度と薬剤師
2008年2月研修記録
★米国の医療保険の特徴
公的医療保険制度があるのは、連邦政府が運営する高齢者向け医療保険(メディケア:約4,239万人が加入)及び州政府が運営する低所得者向け医療保険(メディケイド:約5,630万人が加入)のみで、民間保険(約1億7,487万人)が主流であり、無保険者が多い(約4,660万人)。従って、国民の健康意識が高い。
★メディケア(高齢者医療保険制度)
・オリジナルメディケアプラン(連邦政府が保険者→最大の加入者を抱えている。)
パートA(入院サービスなどを保障する強制加入):病院保険又は入院保険(65歳以上の高齢者は自動的に被保険者となる。腎臓移植、末期腎臓病患者は、年齢に無関係。) ・入院医療サービス ・高度看護施設サービス ・在宅医療サービス ・ホスピスケア ・血液Blood
パートB:補足的医療保険(任意の保険)、パートAに登録されており、一定の保険料を払えば被保険者となる(月額:$93.50)。 ・医師等による医療サービス ・病院外来サービス ・臨床検査サービス ・在宅医療サービス ・予防医療サービス
・メディケア・アドバンテージ・プラン(メディケアから毎月被保険者1人当たり一定金額を受け取り、加入者にサービスを提供)
メディケアHMO・プラン
受診できるのは契約している医師・病院に限られる。
加入時にPCPに登録。専門医の受診には、紹介状が必要となる。
・メディケアPPO・プラン
プランのネットワークを利用した場合は、償還率が低く、自己負担が増える。
・メディケア・民間出来高払い・プラン
民間保険会社の提供する出来高払いプラン。パートB保険料に加え、サービスごとに保険会社の設定する自己負担額を支払う。このプランを受け入れる医師・病院ならどこでも受診可能。
・メディケア・スペシャルニーズ・プラン
特定の疾病や状態にある人々を対象。
・メディケア・ドラッグ・プラン(追加料金を支払うことにより、薬剤給付を受け取る。)
オリジナル・メディケア・プランには、外来医薬品に対する公的補助・給付は存在しなかったが、2006年から外来薬剤給付が創設された。標準的な保険プランは、月額35ドル。低所得者に対しては、給付、保険料ともに負担額の措置が講じられている。
★メディケイド(高齢者医療保険制度)
連邦政府ガイドラインに基づいて各州が独自に運営。受給資格、給付タイプ、範囲、給付額は、州によって異なる。基本的に低所得者の子供がいる世帯や障害者に対する医療保障。高齢者や障害者への介護、低所得のメディケア加入者への補助。
★民間医療保険の現状
企業が福利厚生の一部として提供するが、従業員15名以下の企業は、従業員に対して医療保険を提供する義務なし。保険料負担を軽減するため、従業員に費用を移転することになった。 → マネジドケア:医療内容に医師以外の第三者(保険者)が介入し、医療サービスについて何らかの管理・制限をする。財政リスクを医療提供者と共有する。コスト抑制のインセンティブを高め、効率的な医療を提供する仕組み
★民間保険HMO(Health Maintenance Organization)
プライマリ・ケア医および 専門医・病院は、HMOネットワークに所属する。加入者は、ネットワークに加入した医師および医療機関のみ利用できる。専門医の受診および病院への入院は、プライマリ・ケア医を通じて行われる。予防給付の実施。
★民間保険POS(Point of Service Plan)
POSネットワークに所属しているプライマリ・ケア医および専門医・病院はHMOと同様に低額な負担で利用できる。ネットワーク外の医師や医療機関の利用も可能であるが、自己負担が増える。ネットワーク内の医師および病院ではHMOと同様に予防給付を実施。
★民間保険PPO(Preferred Provider Organization)
HMOやPOSのようなアクセス制限なし。PPOのネットワーク以外の医療機関を利用した場合は、自己負担が増える。ネットワーク内医師および病院で予防給付が受けられることが多い。
米国の薬剤師は、社会的信頼性が非常に高い職種として国民に認識されている。
★薬剤師になるには
2003年以降は、薬学博士以外の課程では認定しない。薬大で少なくとも6年間(4年間+実習1000~2000時間)の教育が必要。州政府により認可され、薬学部の専門課程を修了した証明書を有し、州政府の薬剤師資格試験に合格者したもの。
★薬剤師の需要と職場(米国薬剤師の平均年収は、1,100万円以上。)
60% 地域薬局、29% 病院薬局または施設(24% 病院、4% 長期療養所、2.4% 在宅看護)、1% 製薬会社/卸企業(推定)、1% 教師/行政機関、4% その他 <薬局の形態>調剤薬局(独立系個人薬局)ドラックストア(チェーン薬局)、メールオーダー薬局、インターネット薬局、調合薬局、非公開薬局
★調剤薬局における各スタッフの役割
事務員(Pharmacy Aid):電話対応、レジ、接客、商品陳列など薬剤業務以外の作業
ファーマシーテクニシャン(Pharmacy Technician):事務業務および調剤業務(要資格)
薬剤師(Pharmacist):監査、服薬指導、保険請求、ジェネリックへの切替、電話処方対応
★薬局薬剤師の業務
処方せん:リフィル(一度医師が出した処方せんが、くり返して使える制度)、電話処方、インフルエンザの予防接種、血糖値のスクリーニング(血糖値測定)、骨粗鬆症のスクリーニング、禁煙に対する患者支援、緊急避妊薬の処方、患者教育など
★米国の医療保険の特徴
公的医療保険制度があるのは、連邦政府が運営する高齢者向け医療保険(メディケア:約4,239万人が加入)及び州政府が運営する低所得者向け医療保険(メディケイド:約5,630万人が加入)のみで、民間保険(約1億7,487万人)が主流であり、無保険者が多い(約4,660万人)。従って、国民の健康意識が高い。
★メディケア(高齢者医療保険制度)
・オリジナルメディケアプラン(連邦政府が保険者→最大の加入者を抱えている。)
パートA(入院サービスなどを保障する強制加入):病院保険又は入院保険(65歳以上の高齢者は自動的に被保険者となる。腎臓移植、末期腎臓病患者は、年齢に無関係。) ・入院医療サービス ・高度看護施設サービス ・在宅医療サービス ・ホスピスケア ・血液Blood
パートB:補足的医療保険(任意の保険)、パートAに登録されており、一定の保険料を払えば被保険者となる(月額:$93.50)。 ・医師等による医療サービス ・病院外来サービス ・臨床検査サービス ・在宅医療サービス ・予防医療サービス
・メディケア・アドバンテージ・プラン(メディケアから毎月被保険者1人当たり一定金額を受け取り、加入者にサービスを提供)
メディケアHMO・プラン
受診できるのは契約している医師・病院に限られる。
加入時にPCPに登録。専門医の受診には、紹介状が必要となる。
・メディケアPPO・プラン
プランのネットワークを利用した場合は、償還率が低く、自己負担が増える。
・メディケア・民間出来高払い・プラン
民間保険会社の提供する出来高払いプラン。パートB保険料に加え、サービスごとに保険会社の設定する自己負担額を支払う。このプランを受け入れる医師・病院ならどこでも受診可能。
・メディケア・スペシャルニーズ・プラン
特定の疾病や状態にある人々を対象。
・メディケア・ドラッグ・プラン(追加料金を支払うことにより、薬剤給付を受け取る。)
オリジナル・メディケア・プランには、外来医薬品に対する公的補助・給付は存在しなかったが、2006年から外来薬剤給付が創設された。標準的な保険プランは、月額35ドル。低所得者に対しては、給付、保険料ともに負担額の措置が講じられている。
★メディケイド(高齢者医療保険制度)
連邦政府ガイドラインに基づいて各州が独自に運営。受給資格、給付タイプ、範囲、給付額は、州によって異なる。基本的に低所得者の子供がいる世帯や障害者に対する医療保障。高齢者や障害者への介護、低所得のメディケア加入者への補助。
★民間医療保険の現状
企業が福利厚生の一部として提供するが、従業員15名以下の企業は、従業員に対して医療保険を提供する義務なし。保険料負担を軽減するため、従業員に費用を移転することになった。 → マネジドケア:医療内容に医師以外の第三者(保険者)が介入し、医療サービスについて何らかの管理・制限をする。財政リスクを医療提供者と共有する。コスト抑制のインセンティブを高め、効率的な医療を提供する仕組み
★民間保険HMO(Health Maintenance Organization)
プライマリ・ケア医および 専門医・病院は、HMOネットワークに所属する。加入者は、ネットワークに加入した医師および医療機関のみ利用できる。専門医の受診および病院への入院は、プライマリ・ケア医を通じて行われる。予防給付の実施。
★民間保険POS(Point of Service Plan)
POSネットワークに所属しているプライマリ・ケア医および専門医・病院はHMOと同様に低額な負担で利用できる。ネットワーク外の医師や医療機関の利用も可能であるが、自己負担が増える。ネットワーク内の医師および病院ではHMOと同様に予防給付を実施。
★民間保険PPO(Preferred Provider Organization)
HMOやPOSのようなアクセス制限なし。PPOのネットワーク以外の医療機関を利用した場合は、自己負担が増える。ネットワーク内医師および病院で予防給付が受けられることが多い。
米国の薬剤師は、社会的信頼性が非常に高い職種として国民に認識されている。
★薬剤師になるには
2003年以降は、薬学博士以外の課程では認定しない。薬大で少なくとも6年間(4年間+実習1000~2000時間)の教育が必要。州政府により認可され、薬学部の専門課程を修了した証明書を有し、州政府の薬剤師資格試験に合格者したもの。
★薬剤師の需要と職場(米国薬剤師の平均年収は、1,100万円以上。)
60% 地域薬局、29% 病院薬局または施設(24% 病院、4% 長期療養所、2.4% 在宅看護)、1% 製薬会社/卸企業(推定)、1% 教師/行政機関、4% その他 <薬局の形態>調剤薬局(独立系個人薬局)ドラックストア(チェーン薬局)、メールオーダー薬局、インターネット薬局、調合薬局、非公開薬局
★調剤薬局における各スタッフの役割
事務員(Pharmacy Aid):電話対応、レジ、接客、商品陳列など薬剤業務以外の作業
ファーマシーテクニシャン(Pharmacy Technician):事務業務および調剤業務(要資格)
薬剤師(Pharmacist):監査、服薬指導、保険請求、ジェネリックへの切替、電話処方対応
★薬局薬剤師の業務
処方せん:リフィル(一度医師が出した処方せんが、くり返して使える制度)、電話処方、インフルエンザの予防接種、血糖値のスクリーニング(血糖値測定)、骨粗鬆症のスクリーニング、禁煙に対する患者支援、緊急避妊薬の処方、患者教育など
薬剤師修行ファイルNo.080220:冷え症
2008年2月研修記録
冷え症に対する漢方療法【ツムラ営業所より】
・漢方治療に必要な「気・血・水」理論で考えると、冷え症のタイプには新陳代謝低下型(気)、血流障害型(血)及び水分貯留型(水)に3分類できる。
・新陳代謝低下型はエネルギー代謝が低下し、熱の産生能が落ちているので疲れやすい。漢方治療として、胃腸機能を整えるため、真武湯、人参湯、大建中湯を使用する。また、補剤として、十全大補湯、人参養栄湯を使用し、補腎剤として、八味地黄丸、牛車腎気丸を用いる。
・血流障害型は血の循環の滞りが原因(漢方では瘀血という)であり、駆瘀血剤といわれる漢方を使用する。代表的な漢方には当帰四逆加呉茱萸生姜湯、桃核承気湯、桂枝茯苓丸、温経湯、加味逍遙散、当帰芍薬散がある。
・水分貯留型は水分が体内に貯留(水毒)でむくみやすいため、利水効果のある漢方として、苓姜朮甘湯、防己黄耆湯、半夏白朮天麻湯、真武湯、当帰芍薬散を使用する。
<Q1>冷え症の疫学調査はありますか。日本では冷え症患者は何万人いますか。また、女性が多いと言われていますが、男女比は、また、女性では何歳代が多いですか?
<A1>疫学調査はあるが、病態が人それぞれの感じ方に任せた形になっており、具体的な数字は不明であり、男女比も不明である。相対的には若年女性の70%は冷えがある。働く女性が増加し、ストレスも影響しており、冷え症は増加している。女性では冷えを自覚する割合は更年期障害が増加する55歳から急速に増える。
<Q2>「冷え性」が一般放送用語になっているが、漢方では「冷え症」となっているが、冷え症は疾患名ですか?
<A2>現代医学的に考えると、「冷え性」は疾患名ではありません。漢方医学的において、体が冷えやすい体質のことを称して、「冷え性」と言う。その中の症状として、「冷え症」がある。
<Q3>漢方は生薬の組み合わせですが、生薬は「なまもの」と思われますが、使用期限において、錠剤は3年間保証が多いが、ツムラ漢方は5年間保証できる根拠は?
<A3>自主設定に基づく安定性試験の結果、ツムラ大建中湯は「3年間保証」であるが、その他のツムラ漢方はすべて5年間安定であることを確認しており、「5年間保証」にしている。
<Q4>冷え症で使用されるツムラのブシ末は、漢方と併用する必要がある(単独使用不可)が、化研生薬のアコニンサン錠(ブシの錠剤)は単独使用が可能であり、その違いは?
<A4>アコニン酸錠は製剤として効能・効果が承認されているため、単独使用可能であるが、ツムラのブシ末は調剤用で承認されているため、単独使用はできない。今後も単独使用の承認は考えていない。<Q5>冷え症の特効薬と言われるツムラ当帰四逆加呉茱萸生姜湯は苦味があり、服用しにくいのはどの生薬ですか?また、他にも服用しにくい漢方がありますか?
<A5>当帰四逆加呉茱萸生姜湯に含まれている「呉茱萸」や「当帰」などが苦味のある生薬です。他にも飲みにくい漢方として、「荊芥連翹湯」、「当帰芍薬散」、「呉茱萸湯」、「三黄瀉心湯」などがある。一般的に「黄連」、「黄芩」、「当帰」、「呉茱萸」などが飲みにくい生薬です。飲みにくい漢方にはオブラートを使用する方法、砂糖又はハチミツをお湯に溶かして服用する方法及び漢方薬が飲みすい漢方ゼリー(龍角散)が最近市販されており、漢方ゼリーと併用して服用すると飲みやすくなる。いずれの方法でも漢方の効果が弱くなることはほとんどない。
<Q6>冷え症を改善する方法は
<A6>偏食をしないで温かい食べ物を摂取する。「なまもの」よりも「加熱したもの」を摂取する。また、半身浴も効果がある。
冷え症に対する漢方療法【ツムラ営業所より】
・漢方治療に必要な「気・血・水」理論で考えると、冷え症のタイプには新陳代謝低下型(気)、血流障害型(血)及び水分貯留型(水)に3分類できる。
・新陳代謝低下型はエネルギー代謝が低下し、熱の産生能が落ちているので疲れやすい。漢方治療として、胃腸機能を整えるため、真武湯、人参湯、大建中湯を使用する。また、補剤として、十全大補湯、人参養栄湯を使用し、補腎剤として、八味地黄丸、牛車腎気丸を用いる。
・血流障害型は血の循環の滞りが原因(漢方では瘀血という)であり、駆瘀血剤といわれる漢方を使用する。代表的な漢方には当帰四逆加呉茱萸生姜湯、桃核承気湯、桂枝茯苓丸、温経湯、加味逍遙散、当帰芍薬散がある。
・水分貯留型は水分が体内に貯留(水毒)でむくみやすいため、利水効果のある漢方として、苓姜朮甘湯、防己黄耆湯、半夏白朮天麻湯、真武湯、当帰芍薬散を使用する。
<Q1>冷え症の疫学調査はありますか。日本では冷え症患者は何万人いますか。また、女性が多いと言われていますが、男女比は、また、女性では何歳代が多いですか?
<A1>疫学調査はあるが、病態が人それぞれの感じ方に任せた形になっており、具体的な数字は不明であり、男女比も不明である。相対的には若年女性の70%は冷えがある。働く女性が増加し、ストレスも影響しており、冷え症は増加している。女性では冷えを自覚する割合は更年期障害が増加する55歳から急速に増える。
<Q2>「冷え性」が一般放送用語になっているが、漢方では「冷え症」となっているが、冷え症は疾患名ですか?
<A2>現代医学的に考えると、「冷え性」は疾患名ではありません。漢方医学的において、体が冷えやすい体質のことを称して、「冷え性」と言う。その中の症状として、「冷え症」がある。
<Q3>漢方は生薬の組み合わせですが、生薬は「なまもの」と思われますが、使用期限において、錠剤は3年間保証が多いが、ツムラ漢方は5年間保証できる根拠は?
<A3>自主設定に基づく安定性試験の結果、ツムラ大建中湯は「3年間保証」であるが、その他のツムラ漢方はすべて5年間安定であることを確認しており、「5年間保証」にしている。
<Q4>冷え症で使用されるツムラのブシ末は、漢方と併用する必要がある(単独使用不可)が、化研生薬のアコニンサン錠(ブシの錠剤)は単独使用が可能であり、その違いは?
<A4>アコニン酸錠は製剤として効能・効果が承認されているため、単独使用可能であるが、ツムラのブシ末は調剤用で承認されているため、単独使用はできない。今後も単独使用の承認は考えていない。<Q5>冷え症の特効薬と言われるツムラ当帰四逆加呉茱萸生姜湯は苦味があり、服用しにくいのはどの生薬ですか?また、他にも服用しにくい漢方がありますか?
<A5>当帰四逆加呉茱萸生姜湯に含まれている「呉茱萸」や「当帰」などが苦味のある生薬です。他にも飲みにくい漢方として、「荊芥連翹湯」、「当帰芍薬散」、「呉茱萸湯」、「三黄瀉心湯」などがある。一般的に「黄連」、「黄芩」、「当帰」、「呉茱萸」などが飲みにくい生薬です。飲みにくい漢方にはオブラートを使用する方法、砂糖又はハチミツをお湯に溶かして服用する方法及び漢方薬が飲みすい漢方ゼリー(龍角散)が最近市販されており、漢方ゼリーと併用して服用すると飲みやすくなる。いずれの方法でも漢方の効果が弱くなることはほとんどない。
<Q6>冷え症を改善する方法は
<A6>偏食をしないで温かい食べ物を摂取する。「なまもの」よりも「加熱したもの」を摂取する。また、半身浴も効果がある。
薬剤師修行ファイルNo.080216:呼吸器疾患臨床研究会
2008年2月研修記録
★クラリシッドの最近の話題【アボットジャパン㈱学術部より】
・急性の咳嗽の原因は、多くの場合呼吸器感染症であり、急性呼吸器感染症患者30例にクラリシッド200mg1日2回を7日及び14日間投与した結果、咳嗽の消失80%、客痰の低下76%と高い臨床効果が認められている。
・成人や高齢者の百日咳感染者が、ワクチン未接種者の感染源となることが注目されている。百日咳はグラム陰性桿菌である百日咳菌の感染であり、鼻咽頭や気道からの分泌物の飛沫感染及び接触感染である。百日咳菌に対してクラリシッドは高い除菌効果がある。
・クラリシッドが高い臨床効果を示す理由として、マクロライド系抗生物質の中で強い抗菌力があり、呼吸器系組織(肺組織)への移行が優れているためである。また、酸にも安定であり、胃酸によって分解されない。
★成人慢性咳嗽と百日咳
・慢性咳嗽とは一般的には8週間以上続く咳である。咳はその持続期間によって、急性、亜急性、慢性と分類され、3週間までが急性、8週間以上が慢性、その間が亜急性になる。咳には痰を伴った湿性咳漱と伴わない乾性咳漱があるが、問題になるのは乾性咳漱である。
・慢性咳嗽の三大原因として、後鼻漏(鼻水が口腔内に流れ出てその刺激で咳が出る)、咳喘息(普通の喘息のように喘鳴はないが、鎮咳剤は無効で、喘息治療剤が有効な咳)及び胃食道逆流による咳がある。その他にはACE阻害剤服用による咳がある。
・臨床的によく遭遇するのは感染後に起こってくる咳嗽である。原因として最も多いのは、かぜ症候群であるウィルスによるものであるが、その他にもマイコプラズマ、肺炎クラミジア感染による咳が報告され、百日咳菌感染による咳もここに分類される。
・百日咳というと今まででは小児の病気として成人ではあまり注目されていなかったが、最近、成人での感染報告がみられ、慢性咳嗽の一つの原因として注目されている。
・百日咳感染症者は他の慢性咳嗽に比して年齢が若く、また末梢血の白血球数が多く、とくに好中球が有意に多い。成人における百日咳の臨床症状は小児での典型例と異なり、激しい咳、時には嘔吐や眼瞼結膜の出血などを伴うような症状を欠くので診断が困難である。そのため、百日咳と診断されず、乳幼児への感染源になることが問題である。
・百日咳の薬物療法として、第一選択が経口マクロライド薬で罹患して1~2週間以内に服用すれば症状が軽減されるが、服用が遅くなると効果は弱くなる。ワクチンが無い時代では罹患率10万人あたり約200人と高かったが、ワクチン導入で10万人あたり約2人と激減した。しかし、ワクチンの効果は約10年であり、抗体価が下がってくる思春期や成人での発症が問題になってきている。ワクチンの再接種も必要になってくる。
・百日咳の診断方法として、抗体価測定(百日咳毒素である東浜株、山口株が約4倍上昇すれば百日咳と診断可能)は正確で簡便であるが、測定結果に時間がかかるため、今後はより簡単で、早期に診断できる方法が必要になる。家族の感染があるため、受診した患者以外にも家族の状況を把握する必要がある。
・抗生物質の適正使用(耐性化の防止)のため、セフェム系薬剤の使用量は、10年前と比較して約40%まで減少している。
★クラリシッドの最近の話題【アボットジャパン㈱学術部より】
・急性の咳嗽の原因は、多くの場合呼吸器感染症であり、急性呼吸器感染症患者30例にクラリシッド200mg1日2回を7日及び14日間投与した結果、咳嗽の消失80%、客痰の低下76%と高い臨床効果が認められている。
・成人や高齢者の百日咳感染者が、ワクチン未接種者の感染源となることが注目されている。百日咳はグラム陰性桿菌である百日咳菌の感染であり、鼻咽頭や気道からの分泌物の飛沫感染及び接触感染である。百日咳菌に対してクラリシッドは高い除菌効果がある。
・クラリシッドが高い臨床効果を示す理由として、マクロライド系抗生物質の中で強い抗菌力があり、呼吸器系組織(肺組織)への移行が優れているためである。また、酸にも安定であり、胃酸によって分解されない。
★成人慢性咳嗽と百日咳
・慢性咳嗽とは一般的には8週間以上続く咳である。咳はその持続期間によって、急性、亜急性、慢性と分類され、3週間までが急性、8週間以上が慢性、その間が亜急性になる。咳には痰を伴った湿性咳漱と伴わない乾性咳漱があるが、問題になるのは乾性咳漱である。
・慢性咳嗽の三大原因として、後鼻漏(鼻水が口腔内に流れ出てその刺激で咳が出る)、咳喘息(普通の喘息のように喘鳴はないが、鎮咳剤は無効で、喘息治療剤が有効な咳)及び胃食道逆流による咳がある。その他にはACE阻害剤服用による咳がある。
・臨床的によく遭遇するのは感染後に起こってくる咳嗽である。原因として最も多いのは、かぜ症候群であるウィルスによるものであるが、その他にもマイコプラズマ、肺炎クラミジア感染による咳が報告され、百日咳菌感染による咳もここに分類される。
・百日咳というと今まででは小児の病気として成人ではあまり注目されていなかったが、最近、成人での感染報告がみられ、慢性咳嗽の一つの原因として注目されている。
・百日咳感染症者は他の慢性咳嗽に比して年齢が若く、また末梢血の白血球数が多く、とくに好中球が有意に多い。成人における百日咳の臨床症状は小児での典型例と異なり、激しい咳、時には嘔吐や眼瞼結膜の出血などを伴うような症状を欠くので診断が困難である。そのため、百日咳と診断されず、乳幼児への感染源になることが問題である。
・百日咳の薬物療法として、第一選択が経口マクロライド薬で罹患して1~2週間以内に服用すれば症状が軽減されるが、服用が遅くなると効果は弱くなる。ワクチンが無い時代では罹患率10万人あたり約200人と高かったが、ワクチン導入で10万人あたり約2人と激減した。しかし、ワクチンの効果は約10年であり、抗体価が下がってくる思春期や成人での発症が問題になってきている。ワクチンの再接種も必要になってくる。
・百日咳の診断方法として、抗体価測定(百日咳毒素である東浜株、山口株が約4倍上昇すれば百日咳と診断可能)は正確で簡便であるが、測定結果に時間がかかるため、今後はより簡単で、早期に診断できる方法が必要になる。家族の感染があるため、受診した患者以外にも家族の状況を把握する必要がある。
・抗生物質の適正使用(耐性化の防止)のため、セフェム系薬剤の使用量は、10年前と比較して約40%まで減少している。
薬剤師修行ファイルNo.0802015:乳幼児喘息
2008年2月研修記録
★キプレスの最新情報【キョーリン製薬㈱サポートセンターより】
・1歳以上6歳未満の小児喘息治療剤として、昨年10月からキプレス細粒4mgを販売している。体重、年齢及び症状等による用量調節をせず、全量(1包;0.5g入り)を1日1回就寝前に経口投与する。同種同効品であるオノンドライシロップは1日2回の服用になっており、キプレス細粒の方がコンプライアンスの向上が期待される。
・キプレス細粒の臨床効果は1歳から6歳未満の小児気管支喘息患者における中等度以上の有効率は81.7%であった。また、1歳から5歳の喘息患者にキプレス細粒4mgで臨床試験を実施した結果、年齢、体重及び重症度による差は認められなかった。
・キプレス細粒は水なしでそのままで服用できる。味はなく、口の中ですぐ溶ける。なお、キプレス細粒は光に不安定であり、開封後(15分以内)に服用する必要がある。また、再分包はできない。
・キプレスは今年1月にアレルギー性鼻炎の効能追加が承認されている。そこで、アレルギー性鼻炎用の製剤として、キプレス錠5mgが新発売(現時点で薬価基準未収載)されることになっている。
・キプレスチァブル錠5は、キプレス錠5mgと生物学的に同等ではなく、キプレスチァブル5はキプレス錠5mgと比較してバイオアベイラビリィが高いため、それぞれ相互には代用できない。
・キプレス錠5mgは新医薬品になるため、14日以内の処方になる。
・キプレス錠5mgが販売されると、キプレスは4製剤になり、小児用製剤にはキプレス細粒4mg(1歳以上~6歳未満)、キプレスチァブル錠5(6歳以上~15歳未満)があり、効能・効果は気管支喘息である。また、成人用製剤にはキプレス錠10、キプレス錠5mgの2製剤があり、キプレス錠10の効能効果は気管支喘息及びアレルギー性鼻炎であるが、キプレス錠5mgの効能・効果はアレルギー鼻炎のみである。
★乳幼児喘息アップデート: ロイコトリエン拮抗薬の役割を考える
・吸入ステロイドの普及により、喘息死は減少しているが、4歳以下の喘息患者の入院は増加しており、治療が不十分である。
・乳幼児の喘息患者の特徴として、好酸球の増加はあまりなく、好中球の増加がある。吸入ステロイドは好酸球の増加には効果があるが、好中球の増加には効果がない。
・ロイコトリエン拮抗薬(日本ではオノン、アコレート、シングレア、キプレスの4製品が市販されている)は、好酸球及び好中球の増加のどちらにも効果がある。薬理作用は気管支拡張作用だけでなく、抗炎症作用がある。最近、気道壁の再構築(リモデリング)を抑制する効果も見出されている。
・発作時の対応として、アミノフィリンの点滴が使用されているが、頭痛などの副作用がある。治験中であるが、ロイコトリエン拮抗薬の点滴は効果があり、副作用がほとんどないため、承認されればロイコトリエン拮抗薬が点滴されることになる。
・ロイコトリエン拮抗薬は鼻粘膜の腫脹を抑制する働きがあり、鼻腔抵抗の上昇を抑え、鼻づまりを改善する。また、鼻汁分泌を抑制することにより、くしゃみ、鼻汁にも効果がある。
・ロイコトリエン拮抗薬は従来から花粉症にも使用されてきたが、今年1月にシングレアとキプレスがアレルギー鼻炎の効能追加を取得されたため、使いやすくなる。
★キプレスの最新情報【キョーリン製薬㈱サポートセンターより】
・1歳以上6歳未満の小児喘息治療剤として、昨年10月からキプレス細粒4mgを販売している。体重、年齢及び症状等による用量調節をせず、全量(1包;0.5g入り)を1日1回就寝前に経口投与する。同種同効品であるオノンドライシロップは1日2回の服用になっており、キプレス細粒の方がコンプライアンスの向上が期待される。
・キプレス細粒の臨床効果は1歳から6歳未満の小児気管支喘息患者における中等度以上の有効率は81.7%であった。また、1歳から5歳の喘息患者にキプレス細粒4mgで臨床試験を実施した結果、年齢、体重及び重症度による差は認められなかった。
・キプレス細粒は水なしでそのままで服用できる。味はなく、口の中ですぐ溶ける。なお、キプレス細粒は光に不安定であり、開封後(15分以内)に服用する必要がある。また、再分包はできない。
・キプレスは今年1月にアレルギー性鼻炎の効能追加が承認されている。そこで、アレルギー性鼻炎用の製剤として、キプレス錠5mgが新発売(現時点で薬価基準未収載)されることになっている。
・キプレスチァブル錠5は、キプレス錠5mgと生物学的に同等ではなく、キプレスチァブル5はキプレス錠5mgと比較してバイオアベイラビリィが高いため、それぞれ相互には代用できない。
・キプレス錠5mgは新医薬品になるため、14日以内の処方になる。
・キプレス錠5mgが販売されると、キプレスは4製剤になり、小児用製剤にはキプレス細粒4mg(1歳以上~6歳未満)、キプレスチァブル錠5(6歳以上~15歳未満)があり、効能・効果は気管支喘息である。また、成人用製剤にはキプレス錠10、キプレス錠5mgの2製剤があり、キプレス錠10の効能効果は気管支喘息及びアレルギー性鼻炎であるが、キプレス錠5mgの効能・効果はアレルギー鼻炎のみである。
★乳幼児喘息アップデート: ロイコトリエン拮抗薬の役割を考える
・吸入ステロイドの普及により、喘息死は減少しているが、4歳以下の喘息患者の入院は増加しており、治療が不十分である。
・乳幼児の喘息患者の特徴として、好酸球の増加はあまりなく、好中球の増加がある。吸入ステロイドは好酸球の増加には効果があるが、好中球の増加には効果がない。
・ロイコトリエン拮抗薬(日本ではオノン、アコレート、シングレア、キプレスの4製品が市販されている)は、好酸球及び好中球の増加のどちらにも効果がある。薬理作用は気管支拡張作用だけでなく、抗炎症作用がある。最近、気道壁の再構築(リモデリング)を抑制する効果も見出されている。
・発作時の対応として、アミノフィリンの点滴が使用されているが、頭痛などの副作用がある。治験中であるが、ロイコトリエン拮抗薬の点滴は効果があり、副作用がほとんどないため、承認されればロイコトリエン拮抗薬が点滴されることになる。
・ロイコトリエン拮抗薬は鼻粘膜の腫脹を抑制する働きがあり、鼻腔抵抗の上昇を抑え、鼻づまりを改善する。また、鼻汁分泌を抑制することにより、くしゃみ、鼻汁にも効果がある。
・ロイコトリエン拮抗薬は従来から花粉症にも使用されてきたが、今年1月にシングレアとキプレスがアレルギー鼻炎の効能追加を取得されたため、使いやすくなる。
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